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![]() DETERMINATIONS |
![]() 高津直由 |
![]() 大野大輔 |
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![]() 松井茂 |
![]() 巽朗 |
![]() 市原大資 |
![]() 足達晋一 |
![]() 市原貴子 |
![]() 松井仁 |
![]() 福永勇次 |
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何か懐かしい様な雰囲気が会場には漂っていた。10数年前、レゲエを中心としたジャマイカン・ミュージックがこの国をロックし始めた頃のイヴェントは、いつもこんな雰囲気に包まれていた様な気がする。情報量の増加と共に、ジャマイカン・ミュージックの嗜好も細分化され、現在のシーンは、ダンスホール、スカ、ルーツ・レゲエで、客層は明確に分断されてしまった。それはしょうがないし、別にいいんだけど、少なくともあの日は、あの頃、レゲエのイヴェントと言えば必ず集まっていた様なタイプの人達が来ていたと思う。 オーバーヒート20周年記念イヴェント。その歩みは日本におけるレゲエの歩みと大きく符合していることは間違いない。この数年はタイミング的に「ソウル・レベル」に代表される様なダンスホール・レゲエのイヴェントが多いが、過去にはミュート・ビート・ミーツ・ローランド・アルフォンソの様な奇跡的なジョイントを実現させてきたEC社長である。スカにも造詣は深い。そのEC社長が直接仕掛けた20年の節目のステージ上には、懐かしい雰囲気と共に、長い時間をかけて自らの音楽を熟成させてきたデタミネイションズが立っていた。 「今日はもう理屈や無く、かっこええスカをみんなで楽しみましょ」。ライヴの冒頭、パーカッション/ヴォーカルの高津の味のあるトークで、充分に楽しむ準備万端になっていた会場は、一発目の「New Day」が鳴り響いた瞬間にモッシュ状態となった。まず演奏が上手い。それがデタミ・ライヴ初体験の僕の率直な感想だった。血肉化された音楽が、漲る自信と愛情と共に奏でられていく。高いミュージシャン・シップに基づくその演奏は、単純にライヴ・ミュージックの素晴らしさを実感させてくれた。エゴ・ラッピンがカヴァーし、話題になった「Wherever You May Be」も本人達登場で再現。客席が大いに盛り上がったのは言うまでもない。 そして、こだま和文、増井朗人、松永孝義の元ミュート・ビート3人に加え、ハカセ、春野高広といった面々が登場した時の感激。音が鳴り出した時の軽い鳥肌。実際、僕と一緒に見ていたオーバーヒートOBの人物は「こんなの普通見れるもんじゃない」といって号泣していた。いい音楽、いい演奏は多くの人に聴かれるべきだ。そんな単純なことを、新事実を発見したかの様な新鮮な気持ちで周りの人たちと語り合った。ランキン・タクシーはむしろいつもより輝いていた様にも思えたし、H・マンも徐々にノリをつかんで盛り上げた。そして最大級の尊敬を以てステージ上に招かれたスカ・フレイムスの宮崎研二、中須章仁。宮崎氏の「彼らほど、本当に考えに考え抜いて、悩んで悩み抜くバンドは他に知らない」という言葉は、その時点の僕には充分な説得力を以て届いていた。 僕はスカもルーツ・レゲエも好きだが、どちらかというと日本のスカ・シーンを熱心にフォロウ・アップしてきた者ではない。だからあまり偉そうなことを言うつもりはないが、僕が好きなスカは当然オーセンティックなスタイルなもののみで、スカ・コアみたいなものまで裾野を広げてしまうと、申し訳ないのだが「何か違う」(っていうか全然違う)という感じになってしまう。 また同時にダンスホール一辺倒な現場にいても、ジャマイカの音楽にはもっと色々あるだろと感じることも多い。いずれにせよ言えることは、こんな素晴らしいライヴ・ミュージックに触れた日には、日本レゲエ界のためにも「ひとつのレゲエの名の下に」っていう様な感じに、2002年は盛り上がって行ったらいいなって気分だ、ということなのだった。だって素晴らしいスカ・バンドがスカ・コアとかと一緒にやるより、サウンド・システムがドォーンと積み上がってた方が良くないか? 日本のレゲエはスカもルーツもダンスホールもみんないいぞ。 (文中敬称略) |