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1. NAS / Stillmatic (Sony) 色々なイミで話題の5作目。ドレー、アルケミスト以外で2001年に印象的だったプロデューサー=メガハーツ作の先行曲「Got Yourself A Gun」を始め、プレミア、ラージ・プロフェッサー、トラック・マスターズ、L.E.S、スウィズ・ビーツら縁の深いトラック・メイカーから初タッグとなる面子まで、各々が“かつて神童と呼ばれた男”の引き出しを続々と開けていく様は痛快そのもの。メロウ・トラックでの語り口からパーティー・チューンでのアゲ方まで、彼の美学はしかと味わえる。傍目にも“理想的なキャリアの重ね方”を実践している彼の今が詰っている。 |
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2. GHOSTFACE KILLAH / Bulletproof Wallets (Epic) 過去2枚のクラシック・アルバムからも教えられたようにゴーストフェイスはWU一族の中でも最も“アルバム向き”な男。今回も、カール・トーマスをfeat.した先行曲「Never Be The Same Again」を中心に、ソウルフルでエモーショナルな顔を見せ、あのストレートなフロウもギラリと光る内容に仕上っている。売れっ子アルケミストやRZA、マセマティックス、カーロス・ブロウディらプロデューサー陣との相性の良さも言うまでもなく、兄弟分であるレイクォンの立ち回りも効いている。またもや“マスター・ピース”。 |
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3. METHOD
MAN & RED MAN / How High The Soundtrack (Def Jam) ご存知“デフ・ジャム”を代表するケムリの兄弟ことメソッドマン&レッドマンの初主演映画(爆笑コメディ、だそうです)のサントラ。エリック・サーモン制作の「(How High) Part II」や、ハイテックfeat.ジョネル「Round & Round」の新たにメスを加えたリミックス、そしてウォーの名曲をそのオリジネイター及びサイプレス・ヒルと共にキメた「Cisco Kid」というシングル3枚がかなり調子いいが、他の新曲関係も充実。あと「Bring The Pain」等2人のクラシック・カッツも収録され、かなりベスト&ブランニュー的な一枚に。煙“ヌキ”でも楽しめます! |
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4. LUDACRIS
/ Word Of Mouf(Def Jam) 客演仕事でも大忙しのヴォイス・オブ・アトランタことリュダクリスのメジャー第2弾。ダブル・プラチナムに輝いた前作よりもスケール・アップしたワザと笑いを前に、「サウス物はちょっと…」と言う人もいないでしょう。ティンバランド、オーガナイズド・ノイズ、ジャジィ・ファー(ネイトドックとのアレ)、P・キングにスウィズ・ビーツと旬なビーツならお任せ、のクリエイターが腕を競うように肩を並べているのも解せる娯楽大作。スリーピー・ブラウンからジャッギド・エッジまでゲストも多彩。土臭さが逆にイヤ味じゃない。J・Dとのあの曲も“隠し球”で。 |
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5. WARREN G / The Return Of The Regulator(Universal) “ユニバーサル”に移籍しての通算4作目、数いる西海岸のG系プロデューサーの中でも“音質”や“音の定位”では誰にも負けないオリジナリティを誇り、ラッパーとしても確かなスムースさを持ち合せている彼だけに今作も間違いはない。盟友スヌープ・ドッグ、ネイト・ドッグからP-ファンクの総師ジョージ・クリントンまで、ほぼ全曲にゲストが入る構成もお約束でアルバムとしてのバラエティも文句ナシ。タイトルにもあるようにあの不朽の名作1stの頃のような初心を見せてくれているのも嬉しい意欲作。 |
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6.MR.DIBBS
/ Abduction of theTimes 6.66(Mary Joy) ハイ・テック、ファイブ・ディーズらの存在でクローズ・アップされるようになったシンシナティのシーン。となればその地の出、であるこのコスリストを越えたアーティスト=Mr.ディブス(1200ホーボー)を忘れては×。本人曰く「何百回も腐るほど聴き込んでから創った」という、あの『Tags Of The Times 3.0』(今年のベストの1枚!)のミックス盤となる本作には彼ならではの“性格のねじ曲がった”毒々ワールド。自身もDJとして参加しているアトモスフィアやファット・ジョンとのスキット、オリジナル・ブレイクス等々、聴きドコロ満載の変態ミックスCD。 |
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7. V.A.
/ Shock To The Future 97-01(Future
Shock) 設立5周年となる“フューチャー・ショック”がその第一章にあたる過去を総括すると共に、新録リミックス、未発表曲、レア音源も交えて制作したコンピ、オジロザウルス、ソウル・スクリーム、ウヂ、ワード・スウィンガーズ、ジブラの裏ベスト的なピックアップのクラシックの数々から、勧告のリアル・ヒップホッパー=ジューソックとマッチョの共演曲のDJトモ・リミックスや、ジブラ「Body Girl」のF.O.H.を加えた新ヴァージョン、ワード・スウィンガーズのDJケンソウ・リミックスまで聴き逃せないトラックがズラリ。 |
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8. LUNCH TIME SPEAX / B:Compose(Sony) ランチ、待望のファースト・フル・アルバム。“エル・ドラド”時代のベスト盤も確かに濃かったが、それ以降の彼らの充実ぶりはこの今を切り取った作品でこそ触れられる。DJデンカの魂のこもったビーツの数々とゴッチ、タッズのアツいやりとりは、もうそれだけで十分にオリジナル。感動した! 勿論、デヴ・ラージ、ジュニア1000(アポジモータース)、DJダイスケ各々のトラックの粒立ちも素晴らしい、捨曲ナシの傑作。ゴア・テックス、フリックとの曲も面白い! とにかく聴くベキ。 |
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9. FUSIONCORE
/ Sexappeal(サブスタンス/ビクター) 「恐スギるコア」なMCデュオ=フュージョン・コア。名曲「コアの方舟」、「サクラサク」、エル・ドラドからの「暴走機関車」の代表曲を網羅し、最新シット「Do Or Die」まで一気に聴かせる辺りは彼ら流。パンチラインをガンガンかましつつ、実はリリカルなIQとMr.ポウの2人はアルバム・スケールでもここまで聴かせる。ナル、コガワ他、トラックメイカーのいい仕事ぶりもこの人間味溢れる男クサい劇直的世界を盛り上げているよう。と言っても決して男向き、って訳じゃない。全員必聴。 |
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10. LITTLE
/ Mr.Compact(Sony) キック・ザ・カン・クルーのリトルの初ソロ・アルバム。クレヴァを始め、アズーロ、DJオアシス、DJセイジ、DJタツタ、GMカズ、フマキラー、DJシュウホウ、ミスター・ドランク、タイチマスターといった制作陣の持ってくる様々な色を持つビートに機敏に対応し、そのスキルの高さを見せつける“俺節”アルバム、という部分に最近のキック・ファンはビビってしまうかも知れないが、これがソロMCとしての彼の本来の姿、なのだろう。また、そういう強い芯と、いやらしさがあってこその「いいの」のニュー・ヴァージョンも映えるのだから。 |
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11. V.A. / Private Mission a.k.a. Naniwa Flavor 2(Oosacker Ent.) “浪速フレイヴァー”の第2弾。大阪、神戸のシーンで活躍するヴェテランから新進アーティストが顔を揃えた、というポイントは変わらないが、前回よりかなりグレード・アップした印象は強い。参加しているのは、注目の韻踏合組合のチーフ・ロッカ、ラージ・プロフィッツ、クラ、ノア、ヒーロ・ダ・ジョーカー、バカ・デ・ゲス、ヒグラシ、万超等で、声やフロウといったスタイルの部分よりも、韻を含め言葉に重きを置いた各々の世界観が一枚に無理なく収まっている。KGKらオケ職人も充実している。ここ=関西にあるドクトクの磁場を感じて頂きたい。 |
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12. DOBERMAN INC / Dobermann(Doberman Recordings) “オーサカ・ファイネスト”こと、ウエスト・ヘッド、マブ、TMGの5MCと、DJリョウ.com、DJマサキ、DJジョージからなるドーベルマン・インク“いきなり”のデビュー・フル・アルバム。ビート・レジェンド(DJベンケイと共にネリー「Ride Wit Me」をリミックスした他、ワード・スウィンガーズ「Western Stance (728 Bounce Mix)」をプロデュースした人物)が全曲のトラックを手掛け、そこに先の5MCが様々なコンビネーション(ソロ含む)で絡む、というヴァラエティでアルバム1枚を最後まで飽きさせずに聴かせる力は相当なモノ。日本語ラップ嫌いも“持っていく”魅力がここにある。今後の動きにも要注意! シーン騒然!! |