テロ攻撃から早くも2ヶ月が経ちますが、アンスラックス(炭そ菌)の脅威や、郵便に携わらない人が死亡したり、不安を隠せない市内の夜は、益々静まりかえるばかり。その渦中、延期になっていた市長選があり、現市長ジュリアーニ氏が推す共和党のブルームバーグ氏が当選。というのも、この非常時に警察や消防との密接な連絡が可能だった、検察上がりの現市長への続投を望んでいた世論が反映したというのが、一般の見方。ブルームバーグ氏は、選挙運動のキャッチ・フレーズで「政治家では無くて、リーダー」を使用していて、経済界の人なのだが、彼にジュリアーニ並の仕事が出来るのか?という不安を、当選後も彼をジュリアーニがサポートするという事で、今回栄冠を手にした。

 しかし、いまだFBIの情報操作が市内の安全を保証しないとか噂は多く、市民の不安は消えない。更に今回の事件でヒーローとなった消防士達も、予算削減のため職を失うとの事でデモがあり、現場付近に警察が作ったバリケードを突破、逮捕者が続出というオマケもある。一体、どうなるんでしょう?

●今月の判決
 もう2年近く前になるが、リリース前のCDをブートレグしたというビーフで、レコード会社社長ランス・リヴェラを刺した容疑で、ジェイZが有罪を認め、執行猶予5年の判決を受けた。尚、法廷外でジェイZが、金額は不明だが、慰謝料と治療費を払うと合意したので、民事裁判はないそうだ。更にジェイZは、今年初めにクラブ・エグジットでの銃不法所持で上げられていて、その裁判も年末に控えている。弁護団は銃を所持していたのは、彼のセキュリティ・ガードなので無罪は確実だとコメント。ムショに入っているシャインの立場は、無い?

●今月の来訪
 社会主義の最後の砦の一つになっているキューバだが、いまだにアメリカとの正式な国交は無い。しかし、音楽など文化的な交流ならオーケーと、キューバでも最近盛んだという噂のヒップホップ・グループがNYにやってきた。

 10/24にダウン・タウンのジョーズ・パブで行われたこのベネフィット・コンサートで、アノニモ・コンセホ、RCA、オブセシオンの3グループがパフォーマンスを披露。ライヴ前後の主催者の話によると、多くのリリックスは政治的、メッセージ性の強いもので、音楽的にもキューバの伝統音楽との融合がメインであるとの事。確かにバックのトラックはラテン・ビートだが、フローは現代のNYのフローを意識したスタイルだった。

 パフォーマンス後のディスカッションでは、NYの若いB・ボーイ達がそのメッセージに感銘して、NYの金儲けの手段に成り下がっているアート・フォームを考え直すという一幕もあった。しかし、入場料は$50と割高で、収益はしっかりキューバに持ってかえるそうだ?

●今月のベネフィット
 WTCの事件の後、多くのベネフィット・コンサートが行われているNYだが、ヒップホップ界の対応もそれなりに早かった。有名な話では、ドクター・ドレが犠牲者の遺族に100万ドル寄付したというのがある。多くのコンサートの収益も寄付に回され、丁度NYに来ていたスヌープも、NYでのコンサートの利益の一部を寄付している。そして、ビースティ・ボーイズと仲間達という名目でも、ベネフィット・コンサートが10/29に行われた。

 メンツは本人、ルーツ、ジョン・スペンサーなどで、MCAがアメリカでのイスラム教徒への暴力に反対するコメントをしていたのが印象的だった。しかし、こういった収益金がどういう割合で遺族に廻っているかという疑惑から、あらゆる形の捜査も始まっていて、本当の悪人もそろそろ浮上する?

●今月の写真
 こんな時期に、地味に発売されたベテラン、クール・G・ラップだ。ウーン?