1999年12月号

1. DJ CELORY / Mr.Beats Classics(アカイメPP)

自身のグループ=ソウルスクリーム以外でのプロデュース業でも相変わらず忙しいMr.ビーツ=DJセロリのベスト・ワーク集。ソウスクのミックスから、ダボ「O-Re-Ba-Na」、我リヤ「RG力学」、ワードスウィンガーズ「遊言導士」(未発表曲「裏庭Boogie」も聴ける!)、ライムスター「リスペクト(RMX)」からPBW、ジグマスタズ、タリブ・クウェリのあの曲まで、何とも豪華で“濃ゆい”内容。全体の構成がサッカーの試合風になっているのもセロリならでは、の味。今年のベスト・テープ候補!

2. DE LA SOUL / Art Official Intelligence-Bionix (トイズファクトリー)

A-O-I三部作の第二章が早くも到着。「前作を越える」という意味も込められた "Bionix" というタイトル通り、今度のデ・ラも新しい。大半のトラック制作をデイヴ・ウエスト(メイスの従兄弟)に任せつつも、“デ・ラらしいサウンド作り”を貫き、スリック・リック、シーロー(グッディ・モブ)、B-リアル(サイプレス・ヒル)にデヴィン・ザ・デュードという様々なエリアからの“読めないゲスト”を絶妙に配置し、一曲ごとに完結した質の高いキャッチーな楽曲を聴かせる…。正に遅れてきた2001年の“ベスト・アルバム”!!

3. O.S.T. / The Wash (ユニバーサル)
アカデミー賞有力候補作『トレーニング・デイ』に続き、“役者”のドレーとスヌープが拝めるコメディ映画『The Wash』(あの『Car Wash』のパロディか?)のサントラ。ドレー制作曲は4曲で、その他はスーパーフライ、メル・マン、メガハーツといった西のヒットメイカー達が揃って充実した今の音を注入。ドレー&スヌープ、イグジビット、ビラル、D12、バスタに話題の新人ババ・スパークスにノクターナル、トゥルースハーツ、とベテラン/新人、ラップ/歌物がバランスよく配合された旬の一枚。ウォーレンG、ネイト・ドッグの新作も要チェック!
4. V.A. / Def Jam 2001(Def Jam Japan)
自他共に認める“No.1ヒップホップ・レーベル”デフ・ジャムの2000〜2001年のヒット・チューン総まくりのベスト・コンピ。“最新曲”ではDMX「We Right Here」止まりだが、“王者”LLクールJ、“女王”フォクシー・ブラウン、共演映画の公開も決まった“最凶タッグ”メソッドマンとレッドマン、“南部番長”リュダクリスに、新作アルバムが続けてNo.1ヒットを記録したジャ・ルールにDMX、そして“R&B部門”ではケイス、モンテル・ミュージック…と、レーベル・カラーを余すとこなく伝えた、つもり(監修は筆者)。ビギナーの人も是非!

5. V.A. / Dynamite Soul-DJ Mixed by DJ Jin(ビクター)

前々号で紹介した“ソウル名盤復刻シリーズ”「Soul Walker」の第3弾は、ライムスターのDJジンの手による“スタックス”等の重要銘柄音源精選ミックス。『スウィート・バック』の語りから始まる、黒い黒いファンク、ソウル・ワールドは、ネタ曲のピックアップという範疇を越えた(勿論、その部分でも抜かりはない、が)その曲の良い部分をガッチリ聴かせるモノ(しかも36曲も!)。DJジンというフィルターを通したこの2ターンテーブル・ミックスに“ヒップホップ”が感じられなければ、Go See The Doctor!

6.FIVE DEEZ / Kool Motor(Dimid Recordings)
ローン・カタリスツらの活躍で注目を集めるシンシナティのシーン。その彼等と同じワナ・バトル・クルーに属するこの4人組ファイヴ・ディーズは正に最先端、の存在。様々な変名を持つその中心人物ファット・ジョンのクリエイトするビーツは、ヒップホップがアートである事を強烈に意識させてくれるフレッシュな何か、を有している(ハウス、ジャズなどのDJもチェックしてるほど)。そしてペイスを中心とするMC陣の確かなライム…これ以上、何が必要?というくらい完成度の高いアルバム。アングラ云々の議論はムダでしかない純ヒップホップ。

7. RHYMESTER / ウワサの真相(Ki/oon)
世紀の傑作『リスペクト』から約2年半で完成した4作目。先行曲「ロイヤル・ストレート・フラッシュ」から、F.O.Hをフィーチュアしたタイトル曲、早くもシリーズ化の「Hey DJ Jin pt.2」(しかも歌ってます!)、プシンとの「The Blackbelt」「The Showstopper」、そしてキック・ザ・カン・クルーとの男の一曲「10 Balls + 2」等々、とてもキー・トラックを絞れないほど充実した、しかもヒップホップ的遊び心満載のトラックがズラリ。リリック表現、フロウの多彩さでも他の追随を許さないマスターピース。ライムスターの“流”を感じて欲しい。

8. RINO LATINA II / R.L II - Carnival Of Rino(モノホン/Xtra Large)

「R.L.II」でメジャー・デビューを果たしたリノの待望のフル・アルバム。ムロがプロデュースしたカーニバル・トラック「はじける一夜」を始め、「夕陽のタンガンマン」、「Aninal F@ck」、「Kaminari」、ムロ、ツイギーとの「病む街Pt.2」、ソウルスクリームとの「Hip Hop 2 Zero 1」といったクラシックスの新ヴァージョンにに、ウヂ、D.Oとの「七龍珠」(ドラゴンボール!)、ユウザロック★、GKマーヤンとの「Next Movie」、そしてDJヒデ作の「東京鉄コン筋クリート」やDJヤス作の「パカゲーナイトフィーバー」、とどれもリノにしか歌えない曲ばかり。待った甲斐ある大作。

9. SHAKKAZOMBIE / So Tight, So Deep(カッティングエッジ)

「よりタイトに、ディープに」というタイトルが示す通りにヒデボウイとオオスミの2MCは更なる高みに登った印象がある。新しい試みに満ちた前作に続くマキシとなる今度の曲はアコースティック・ギターを効果的に取り入れたトラックに、澄み切った2人の声が気持ち良い新代表曲。DJハセベの艶のあるリミックス、そしてシャカの色を熟知したDJハヂメのリミックスの存在も嬉しい限り。因みにCDエキストラでは「Righthere」のクリップもチェック可能。
10. S.P.C. / The Becialist(ポニー・キャニオン)
Skill Plus Creativityつまり″技″と″創造力″で勝負する北(札幌)のベスト=S.P.C.の2ndマキシ。中心人物のDJセイジと秀逸なミックス・テープでも知られるDJタマ、という最高のターンテーブリストのいるグループ/クルーという見方もあるだろうが、彼らは作品の中ではコスリだけでなくトラックのセンスの良さでもしっかり聴かせてくれる。そしてMCのカズマニアック!英語のフレーズをここまで嫌味なくしかもカッコ良くブレンド出来るMCは中々いないだろう。今回も彼のマイク握るスペシャリストぶりが伝わる楽曲×3。聴くベキ!

11. XBS / Mega Bass Express(リアリティ)

ニトロ・マイクロフォン・アンダーグラウンドから今度は「響かす轟かすエクストラエクストラベース!」のラインでしられるXBSがソロで登場。「Guidance」、「Mega Bass Express」、「Elegiacs-Extra Extra」に「Dayz Of Grace」という彼の声の良さとラインの持つ迫力、そしてフロウの引き出し開けっ広げにした4曲はどれも快心の仕上りと言えるモノ(更にイントロ、アウトロ付き)。トラックはワタライ、Mr.イタガキ、マッカチンにアクエリアスがフル・サポートでアガる曲からホゲた曲まで…。あとコスリの声ネタに何と映える声なのかと再確認。

12. DJ KENSAW / Owl Man Meets Dope Emceeez Vol.2 (フレキシー・ネイション)

日本列島の西の方、そうかつて都のあったトコロ=大阪に赤い目フクロウの森がある。オウルマンはその森のレッド・アイ・ルーラー。森に訪れる四つの季節に12吋の真っ黒なドープ円盤を落としてくれる。そして2001ウィンター・コレクションは…前回に続き″東尋坊の用心棒″″福井のトニー・モンタナ″ことワン・ロウと元デスペラード、ワイルドなお尋ね者MC=ケン・ワイルドに新鋭SKE*13を各面にフィーチュアしたモノ。オウルマンはドープしか作らない。しかし、冬には冬のドープがある、ってコトでまた来年!