ジャンボ・マーチ、タカフィン、ボクサー・キッド…そう、正にトップDee Jayの名に相応しい3人(通称:J.T.B.)が、マイティ・ジャム・ロック名義での初めてのフル・アルバムが遂に完成。本誌独占、本人達による全曲解説。

 ここに収められたのは、同レーベルのこれまで(約1年半)の快進撃の軌跡であり、3人の類い稀な個性とスキルを持つDee Jayの魂心のチューンの数々である。捨て曲などある訳ない、強烈に中身の濃ゆい全15曲。では、本人達による曲解説の前に、まずはMJRを組織するセレクター/MC、KyaraとRockのコメントから。

アーティスト3人(J、T、B)に対する想いを聞かせて下さい。
Kyara(以下K):僕達は本当に周囲の環境や人材に恵まれていた(苦労もありましたが)セレクターだったと思います。特に "Tokiwa" 以前から友達であり、ライバルでもある6〜7年の付き合いのこの3人のDJは、今となっては、自他共に認める力を持ったDJへと成長しています。これからも周囲を気にせず最高にヤバイ現場主義の″キケン″なDJであり続け、パワーを与え続けて欲しいです。
Rock(以下R):プロデューサー(裏方)的にはあの3人の受け皿となって、もっと色々な曲を作っていきたいですね。個人的にはよく遊ぶ、近所に住んでる昔からの友達です。
 MJRの音からはこうした″タイトな間柄″が滲み出ているように思う。マイティ・ジャム・ロック、それはあらゆる面でガッチリ繋がった″ダンスホール・レゲエ集団″なのだ。だからこそ、この作品はMJR名義で出る必然性があった。

MJRの″作品/音源″的なコダワリを教えて下さい。
K:あくまでも現場仕様でJA産ダンスホールと並べても違和感のない自分達の好きな音を…という理由から、現在殆どの曲のミックスをJAのスタジオで行なっています(ミックスを口実にJAに行くのも楽しみの一つです)。
R:現場のプレイに耐えられる音。

アーティスト側から見た"MJRの音"の違いは何ですか?
Takafin(以下T):2人(Rock & Kyara)の持つセンス。
Boxer Kid(以下B):違いというか、他がどうかではなくMJRはレゲエに関してやりたい事をやる、やりたくない事はやらないという所。音に関しては、やっぱりこのトラック・メーカーに作って欲しい、という人に作ってもらう所。
Jumbo Maatch(以下J):センス。

 
つまりはそういう事なのだ。では以下、曲解説に…。

「Done Dem Out」Jumbo Maatch
J:自身初の生ライヴ一発録りやったんで軽く緊張したけど、逆に緊張感が良い結果を生んだので良かった(注:ご存知ホーム・グロウンによるスカ調の生トラック)。

「3 The Hardway」J.T.B
J:実はこの曲のサビはジャンケンで順番を決めて俺、タカ、ボクサーの順で1行ずつ埋めて作った。
T:ライヴを想定して3人でサビを作り、それぞれヴァースを作った。現場で歌う時も予想通りの結果を出していると思う。
B:最初は3人でライヴに出る時に、何か共通するサビやまとまりが欲しくて作った。ライヴでは一番疲れる曲。

「Shot Dem Up」Jumbo feat. Minmi
J:前々からシンガーとのコンビ(フィーチャリングじゃなく)をやりたいと思ってて、やるなら気心の知れた奴が良かった。ミンミは結構昔から知ってて、ここ2〜3年JAで友達になったんで、俺から直接頼んで作り始めてんけど、結局半年位かかった。出来はイメージ通り(以上?)にいって非常にエエ感じ。

「Jenny」Boxer Kid feat. Corn Head
B:フロム横浜の一番の悪友Corn Headとの初のコンビ。女の子にはこうあって欲しくないと願う経験者(?)が語る一曲。

「Worrior」Takafin
T:アルバム中、自分の曲の中で一番新しい曲。ムーヴメントが大きくなるにつれ、良い事も増えていくが、その反面、利用するという考えだけで現れる者も多いのでそういう奴らには屈せぬという意志を "Warrior" という形で表現した。

「Dancehall Rock」Jumbo Maatch
J:これは自分の中で2度目の転機となった曲。スティーリーはやっぱスゴい。

「High High」Takafin
T:バリバリのダンス・チューン。低いテンションではVibesは生み出せないので、現場では嫌な事は忘れハイになろうや!って感じ。アルバム用の録り下ろし曲。

「Shuukaku-Sai」Boxer Kid
B:初めてのミディアム曲。わかる人にはわかる愛煙家への一曲。わからない人にもわかってほしい。

「Crystal Green」Takafin
T:MJRのミックステープ#3の録り下ろし曲。Takafinというより煙の化身からのメッセージを含んだガンジャ・チューン。プシンのコーラスもいい感じで、ホーム・グロウン制作のトラックもバッチリ。

「Which Man Yu Want」Jumbo Maatch, Boxer Kid
B:Jumbo Maatchとナンバー1ダンスホール・クイーンを奪い合う曲。直訳すると「どっちがいい?」。
J:このアルバムの中で一番(2つあるけど)古い曲で、やっぱ今聞いたら声がちょっと…(注:「Killer Pride」の事を指している)。

「Adrenaline」Takafin
T:″興奮″という言葉を、2つの視点、つまり現場のダンスでの興奮と、SEXでの興奮、どちらの見方も出来るように作ったダブル・ミーニングの曲。

「No.1 Underground」Boxer Kid
B:自分が、ではなく″この音楽がナンバー1である″と歌う曲。26937543=B.O.X.E.R.K.I.D.の意(携帯電話)。

「Highest Mountain」Takafin
T:他のどのジャンルの音楽とも比べものにならないタフな音楽がレゲエだ!という内容の、レゲエ好きがレゲエ好きのために贈った歌。MJRミックステープ#4の録り下ろし曲。ジャマイカンのコーラスもピッタリフィット。

 以上、″濃い音、歌″を濃いままでブチ込んだ限りなくロウ(Raw)な本作は、今年を代表するダンスホールDJアルバム、なのだ。くれぐれも各ショップのバイヤーさんは "Vorious Artists" のラックに入れないようお願いします!

アルバム初出の「Stone High」リディム曲、「Shot Dem Up」「Warrior」「Jenny」+ヴァージョンは、11月に4曲入り12インチ盤でもリリース決定。更に年末にはミックステープ#5収録のBoogieman, Boxer Kid, Takafin、そしてJumbo Maatchの新曲をリリース予定。