昭和歌謡に含まれていた自由で熱く燃えたぎる様々なエッセンスをあからさまにこの現代に於て蘇らそうとすれば、「臭い」、あるいは「狙いすぎ」と評されても仕方がないかもしれない。ところがそれを飄々と何のてらいもなく見事に我が物にしてしまったエゴ・ラッピン。
彼らの作品やライヴを一度でも経験してしまえば、あのドキドキするようなスリリングな曲の展開や情熱ほとばしるパフォーマンスに魅了されて当然だろう。彼らは今年5月には自らのレーベル、Minor
Swingを立ち上げ、セカンド・アルバム『満ち汐のロマンス』をリリース。これが思いもよらぬ程のセールスを記録。今や押しも押されぬビッグ・アーティストへと成長してしまった。万歳。
さて、98年6月にリリースされたファースト・アルバム『Blue Speaker』から彼らに注目していたファンには失礼かもしれないが、ある意味、耳の早いリスナーの間で「エゴ・ラッピンって良いみたい」という噂が出始めたのは、確か99年2月にリリースされ、音楽的にもぐっと幅を広げたミニ・アルバム『Swing
For Joy』からだろう。特に本作に収録されたデタミネーションズをフィーチャーしたムーディーなスカ・チューン「A Love
Song」は、FM石川とFM North Waveでパワープレイされ、FM North Waveに於ては「Sapporo
Hot 100」のチャートで11週連続ランクインし、 最高6位を記録(その後リリースされたミニ・アルバム『色彩のブルース』で更にブレイク)。
彼らとデタミネーションズの関係は、まだ続く。その後も様々なイベントで共演を果たした彼らは、前述の『満ち汐のロマンス』でデタミネーションズの「Wherever
You May Be」(『This Is Determinations』収録のインスト曲)をカヴァー。デタミネーションズのメンバーも参加したこの曲は、中納良恵が詩を書いた素晴らしい歌も加わり、エゴ・ラッピンならではの曲に生まれ変わっている。
● 初めてデタミネーションズの音に触れたきっかけは?
中納良恵(以下N):私は、ライヴに連れてって貰った…20歳位の時に。ペットの市原さんが大学の先輩やったから。それを伝手にライヴ観に行ったりして、デタミの事を知りました。
森雅樹(以下M):いつかなあ、マザー・ホールでのライヴの時かなあ。でも、その前から知ってるか。26歳位の時。最近ですよ。ライヴ、いっしょにして…そんで良かったから、ドラムのダイさんに声かけた。
●森さんはプロフィールのフェイヴァリット・アーティストの項目で、デタミネーションズだけをあげていますね。なぜ?
M:何で?って言われても……、一番好きやから。
●『Swing For Joy』に収録された「A Love Song」でデタミネーションズと共演されてますね。そのいきさつは?
M:(大阪の)ベイサイド・ジェニーの「スケーターズ・ナイト」でいっしょにやって、そんでそこからライヴ観に行く様になって、ほんで「よし、これやなあ」って思って。
●更に今回のアルバム『満ち汐のロマンス』では「Wherever You May Be」(ギターの松井仁による曲)をカヴァーしてますね。そのいきさつを教えて下さい。
M:1曲カヴァー入れようって前から言ってて…。メロディがもう突き刺さった。それでもうこれやなあって感じで。
●作詞する時にインスピレーションとか湧きましたか?
N:うーん、そんな何か深ーい事を深ーい感じ…深ーい内容のある…ような(笑)…事を言いたかったので、ホれたハれたとかじゃなくて、普遍的な…人間の弱いところは誰でもありまっせ、と。それを前向きに行きましょうや、って感じに作りました(笑)。
●長らく廃盤になっていた『This Is Determinations』が先月、やっと再発されました。この作品の魅力について教えて下さい。
M:魅力は…ま、いっつも言ってるんですが、名曲を名演奏しているアルバムであるし…。
N:ええ曲が多いし…。
M:そうやねん。曲がええし、演奏もええし、もうこれ以上何がある?って感じで…。人もええしで、もう大好きです。
N:毒と華がありますね。そんで色っぽい…。
M:そうやねん。そんで且つ色っぽいから、悔しいな(笑)。
●8月末に福岡で行われた「サンセット・ライヴ・01」で共演されて如何でしたか?
M:こんなん早く実現していいのかな、って思って(笑)。いっしょのライヴに出るっていうのはあるんやけど、ステージにいっしょに立つって言うのは、ちょっと想像してなかったからなあ…。
N:いや、いつかは絶対やりたかって、やれてメッチャ嬉しかった。
M:そやな。一生の思い出やなあ。ある意味…ある意味ですよ(笑)。楽しかったですよ。
●最後にデタミネーションズの存在、魅力など何かありましたら…。
M:魅力? 魅力って言われたらなあ…。
N:とりあえず、観て、聴いたら、もう分かるよなあ。
M:うん。ライヴは絶対観たらええと思うし、そんで個人的に人も知ってるからなあ…。そう思ったらめちゃヤバイからなあ。ヤバイな。最高の演奏家集団。
N:なんかあれやな、『ブエナビスタ』観に行った時も、みんな人柄が出たりしたりするし、特にライヴとか…。絶対ええ人だと思うもん(笑)。
M:デタミもそうやな。プレイヤーそれぞれのキャラみたいなもんが出てバンドやと思ってるし…。デタミも1曲1曲ドーンって出た時のイカつさ…イカついねん。
"ミュージシャンズ・ミュージシャン"とも評されるデタミネーションズ、エゴ・ラッピンのインタビューにもある様に、彼らのライヴは絶対的に素晴らしく、文句無く楽しい。その彼らが11月、約1年半振りに東京でライヴを行なう。更に仙台、新潟、大阪も決定と嬉しいニュースが飛び込んだ。これを機会に是非とも彼らのライヴを体験することをお薦めしとこう。
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