●カフェ・アプレミディでのライヴがグループのライヴとしては初めてのものなんですよね。
石井(以下I):一度、昨年末にこだま和文さんとライヴは行ってますが、長いセットを演ったのは、これが最初ですね。
●今回のライヴ盤の選曲、曲順は橋本徹さん(カフェ・アプレミディ店主)が選んだものなんですね。
I:ええ、一月から三月まで月一で行ったライヴの中から橋本さんが選んだもので構成されていて、収録曲に関しては彼に完全に任せました。
●選曲、曲順に関しての感想は? 自ら選ぶのとは違うんでしょうね。
I:そうですね。新鮮ですね。自分達を客観的に見れて、発見も多かったし。まあ全くシャッフルされている訳では無いし、大体こんな流れですけどね。
●カフェでのライヴの感想は?
武田(以下T):一寸、ビックリしました。目の前にお客さんがいて、境目がないので。人の壁が目の前にある感じ。
●ライヴではリズム・ボックスを使っていますよね。
I:パターンは組んでますが、とにかく画期的なものは使わないというのが、約束事というか。それが面白いので。ポンと押したらプログラミングしたビートが出るだけなんですが、一曲に三種類位は組み込んであって曲間にそれを変えたりしてます。それとパイオニアのDJ用のオモチャがあって、それがかなりラフなカットオフが出来たり、強引な事が出来るので、それでキックだけにしたり、ハイハットだけにしてしまうとか。ディレイもつけられるんで。それとサンプラーですね。
●唄い辛かったりしませんか? 途中でビートが変わったりすると。
T:そんな事も無いですね。変なところで″カーン″と鳴って驚いた事はありますが…(笑)。
●レゲエのアレンジの曲も多いのですね。UKのレゲエに詳しいというお話も聞いたのですが。
I:特にUKレゲエだけという訳では無くて、最近は90年代前半のレゲエも再び良く聞いています。今はその辺が好きですね。
T:私はマリ・ピエールが好きですね。
I:アルバム作っている時に、マリ・ピエールを良く聴いてたからかもしれないね。僕はデニス・ボーヴェルが好きですからね。あの人のクリーンでタフな音は好きです。
●カヴァー曲のチョイスは石井さん主導なんでしょうか。
I:そうですね。あまり突っ込んだ選曲をしてもライヴではあんまり面白くないかなと思ったとこもあったし、クラシックスを、という感じで。
●「Simoon」(YMO)のカヴァーはオリジナルに無い魅力で一杯ですね。他の曲も素晴らしいけど、これが個人的には特に印象的でした。
I:かなり上手く色々なパズルがハマりました。唄も「Simoon」が一番好きなんですよ。YMOの曲というより細野さんのエキゾ時代の曲なんで、西海岸繋がりと言うか、ふとマリア・マルダーがいるじゃないかという感じになって。彼女のファースト・アルバムにはハリウッド系のミュージシャンも参加していたし、それで自然とマリア・マルダーが浮かんできました。
T:最初は、そうは思ってなかったんですけど、唄ってみたら、これはマリア・マルダーだって。詞の内容も似てるし。
●これも唄いにくそうですけど。
T:いや、実はこれが一番唄い易かった(笑)。
I:「Rock
The Casbah」とか「My Jamaican Guy」(グレイス・ジョーンズ)の方が難しいんじゃないかな。
T:「My
Jamaican Guy」はメチャクチャやり辛かった。
I:でも、この曲はぜひ演りたかったんですよ。土着的なサウンドの曲を一曲どうしても演りたくて。四つ打ちにしたかったと言う思いは残っているんですが…。それとこの曲は正規の歌詞が無くて苦労しました。何とかグレイス・ジョーンズのホームページで見つけたんですけどね。パトワともまた違った妙ななまりが多いんですよ(笑)。
まだこの後も興味深い話は続くのだけど字数が尽きてしまった。さりげなく新しいTicaの魅力がたっぷりつまったこのCD。決して耳ざわりが良いだけではないソリッドなサウンドと唄をぜひ体験して欲しい。「百聞は一聴に…」であります。
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