今回の来日は、キラマンジャロ(フレディ&パパ・ジャロ)と共に、日本人レーベル、サンダーゲートの再始動を祝うイヴェントへの参加のためだったが、本場のアーティストを観れる機会が減少している現状において、こうした″産地直送″のタイムリーな企画が実現したことは何とも素晴しいコト。まずは招弊に携わった方々にリスペクト、感謝です。
というわけで、リハーサル前の慌ただしいT.O.K.の楽屋に訪問。「どんな連中かな?」と多少の緊張感を持って行ったんだけど、手渡された本誌219号、そのコンテンツ・ページに掲載されている自分達の写真を見てはしゃいでいる彼等を見て一安心。悪い人達じゃなさそう、どころか、お洒落で爽やかな印象。初めて日本に来たことを素直に楽しんでいる様子のやんちゃな4人組でした。
●まずはそれぞれの名前とヴォーカル・パートを確認させて下さい。
Clag-T(以下C):バリトーン。
Bay-C(以下B):ベース。
Flexx(以下F):テナー。
Alex(以下A):ハイ・テナー。
●T.O.K.というグループ名の由来は?
全員:"Touch Of Class"(少し洗練、センス良い)の略で、"Class"
の「C」を「K」に変えているんだ。
F:元々はアカペラのR&Bスタイルを演っていて、ボーイズIIメンとかを意識していたから、そうした少しスムースなイメージ、垢抜けた感じなものにしたかったんだよ。その後、ジャマイカンのアイデンティティとしてダンスホール・スタイルをミックスするようになって、その頃から頭文字だけを使うようになった。T.O.K.という名前にはメンバー各々の持つスムースな部分とハードコアな部分が詰まっていて…。
C:そうしたスムースさとハードコアがミックスしたダンスホールを世界に届けたいということでもあるんだ。
●結成は?
全員:92年の11月、キングストン。
B:高校の仲間だったんだよ。
●現在幾つなの?
B:16才!(笑)。
A:12才!(笑)。
B:(笑)みんな23か24才だよ。
●どうやってチャンスを掴んだの?
A:メインストリートのダニー・ブラウニーを訪ねてみたんだ、結局はリンク出来なかったけど(笑)。
B:メインストリートは近所だったし、他にはないヴァイブスがあるからねぇ。
C:でも、そこでちょうどエンジニアをやっていたコイツと出会ったんだよ(笑)。
と一同が指差したのが、今回彼等と一緒に来日したリチャード″シャムス″ブラウニー。そう、この数年に "Baddis"
、"Grass Cyaat" 、"Scarface" 、"Juice"
等の人気リディムを立て続けに発表、自身のレーベル、コール・ミー・シャムスを中心にヒットを連発して、昨年はジャマイカのアワードでも″プロデューサー・オブ・ジ・イヤー″を獲得した、Ward
21と共に現在のシーンを代表する若手トップ・プロデューサー。スカイ・ザ・リミット、ライフ・スタイル等、日本人レーベルの作品でもお馴染みのハズ。
リチャード:ちょうど僕が自分のプロダクションを始めようとしている時に出会ったんだ。ダニーのリディムに合わせて歌ったデモを持って来たんだけど、それを自分のリディムに合わせみたらすごく良くて、ダニーに話して自分とサインすることにしたんだ。彼等には特別な才能と新鮮さを感じたんだ。
全員:オー!(爆笑)
C:年齢も近く、友達になっていたし、キャリアを積もうとする時期も一緒で、自然な流れだったな。
B:リチャードはプロデューサーでもあり、マネージャー、バンドでのベース・ブレイヤー、ステージ用のトラック作り、全ての環境作りをしてくれてる。金勘定も!(笑)
A:全然払ってくれないんだけど(笑)。
●さて、ブレイク曲となった「Chi Chi Man」だけど…。
C:スタジオのヴァイブスで生まれた曲。"Chi Chi Man" というのはジャマイカの中では頻繁に使われているスラングで、ネガティヴなことを代表する言葉だよ。
●この曲は、ジャマイカの政党のJLPが敵対するPNPを批判する際に使われた…、まぁ、PNP党首(PJパターソン首相)が独身ということで、JLPが「奴はバティ・マン、故にチ・チ・マンだ」と攻撃する感じで使っていると聞きますけど、こうして政治的に使われたことに関しては…。
F:全く意図していないし、残念だネ。
C:僕等はただヴァイブスに従って集中して音楽を作っているだけで、そうした事に使われるのを目的に音楽は作っていない。気分悪い話だよ。
●曲はどうやって作っているの?
C:殆どの曲は全員で。スタジオのヴァイブスに任せて、って感じかな。
と、ここで「リハーサル開始!」の連絡。
●時間が来たようなので、今後の予定を。
A:グラミー!(笑)
F:秋にVPからアルバムを出すんだ。タイトルは『My Crew My Dog』かな。色々なレーベルからの曲が入ったものになる。
C:あとリチャードを含めた5人で新しいプロジェクトを作って、「Chi Chi Man」をプロデュースしたトニー・ケリーのLOYとも共同でレコーディングを開始していくんだ。
●忙しいところを有難う。
F:日本からのサポートにはいつも感謝しているよ! 本当にアリガトウ!(笑)。
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