Greetings Friends,
●今月はまず、レゲエ界のみならず、その際どさにおいては恐らくナンバー1であろう女性DJ、Lady
Sawの話題。ウェールズで行なわれたショウに出演する数日前に母親を亡くしたばかりであった彼女であるが、ロンドンに立ち寄りUKのプレスに一足早く、年末リリース予定のニュー・アルバム『Striptease』の話をする事を心良く引き受けてくれた。
キングストンのMaxfield Avenue.にあったCastro Brownの今はなきNew Name Studioで初めて彼女と会ったのがおよそ十年前。それから現在に至るまで、沢山のインターナショナル・アルバムを成功させたりと(VPのサポートがあってこそと言えるが)着々とキャリアを積んで来た彼女であるが、驚くべき事に、かれこれ10年も昔に、ジャマイカ中が注目する事となった彼女についての悪評が今だに影響を及ぼしているらしい。
当時彼女はサンフェスのデビューを飾った後、男性DJも長年同じ事をしてきたはずなのに、とにかくその「猥褻さ」で非難を浴びた。Lady
Sawのステージを見た事がある人なら、彼女がステージ上で他にはとても真似できない事を言ったりやったりするのはご存知の通り。彼女は現在、ジャマイカにおいては毎年恒例のビッグなショウのみに出演しているが、今年はそのショウのライバルとされるショウに出演する・しないで多少揉めた模様。どちらのプロモーターも彼女の独占出演を希望していたにも関わらず、それに見合ったギャラを支払う事を渋ったらしい。とにかくそれが理由で彼女の出演を獲得できなかった、というのは余りにもお粗末な話。恰好がつかないプロモーターはその言い訳として、何とその昔取り沙汰された「モラル問題」を再び持ち出して来たのである。両者は既に存在していた、モンテゴベイでのステージ・ショウから彼女を追い出そうとする団体と共に、モラル云々を声高らかに訴えているのだそう。
そんなこんなで結局彼女は事態が改善されない限り、今年はどちらのショウにも出演しない事となってしまい、そのキャリアにまたひとつ壁を作る事となってしまった。しかし彼女は短命と見られがちなDJという職業において長く生き延びているたくましい女性だから、苦境をものともせず必ず返り咲く事であろう。ファンはまだまだハードコアな彼女を求めているし、ここ最近のアルバムではそのリリックの強烈さが多少トーンダウンしていたようだが、今回の『Striptease』はDJ王国のファースト・レディーの名に相応しく、彼女が本来の姿に戻ったといえる作品である。
●Studio
Oneから新作の話題…去年リリースされたCornell Campbellによる初のCoxsone作品『Magic Spell』に引き続き、Dodd氏は遂に長年忘れられていたAlton
'Brother' BrownとEgbert 'Phonso' Stewartから成るヴォーカル・デュオ、Hamlinsの作品をリリースするに至った。『Magic
Spell』同様、多くのチューンが古い45Sからカットされたものと思われ、音質の良さを期待する人はがっかりかもしれないが、実際、古き良きロック・ステディーの曲が他の媒体で今に残されているという事はまずありえないので仕方がないのである。とにかくチェックすべし。
●India
Arieというグループのシングル、「Video」を諸君はもう耳にしたであろうか? メディアによって作り上げられた理想を追い求めるより、まず自分自身を愛する大切さを歌った素朴な歌である。はっきりとしたレゲエのリズムに心地よいソウルフルなグルーヴ感が加えられ、更に女性ヴォーカリストが何ともいえないジャジーなスタイルで歌い上げている。先日見た限りではナショナル・チャートに32位とまだまだ上昇中、この類の音楽にとってみたら珍しい快挙といえる。
●6月には街の中心部からはかなり離れているStratford
Rexにて、Lucianoが最近リリースされた幾つかのアルバムのプロモーションの為、急遽たった1日だけショウに出演した。サポートにはこちらでのメジャーなショウのデビューを果たしたパワフルなJunior
Kellyと、新しい若手のラスタ・バンド、RasItesが驚く程にプロフェッショナルなステージを披露。そしてDean Fraser率いるFirehouse
CrewがLucianoとゲスト出演したMikey Generalの両者を相手に、いつも通りの見事な掛け合いを演じ、ショウのメインの時間帯をがっちりとまとめ上げた。
●RasItesといえば、この若者達は着々と調子が上がってきているようである。去年はウォームアップであろうか、数々のショウに出演を果たしたり、コンピレーション・アルバム等でいくつかのチューンを披露していた彼等であるが、来る7月16日、晴れてデビュー・アルバムが発売される運びとなった。その名も『Urban
Regeneration』。Danny Rayの指揮のもと、全てJetstarのCave Studioにて収録されたとの事。2001年現在、都会の若者が直面している問題をシリアスに見つめたタフな1枚である。オススメ。
●オランダとカナダを拠点に活動しているダブ・レゲエの鬼才、Ryan
Moore率いるTwilight Circus Dub Sound Systemが、豪華絢爛ダブ・シリーズの8作目『Volcanic
Dub』をリリースした。いつもの彼等のスタイル通り、複雑極まりない、かつ魅力に溢れるミックスが展開されている。過去の作品等、Twilight
Circusに関する詳しいインフォメーションについてはwww.twilightcircus.comを覗いてみる事。
Till Next Time, Take Care.....

Firehouse Crew
[訳/有賀由紀子]
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