●今回の『Dancehall Divas』がプロデュース作品としては初めてってことになるんですか?
ナーキ(以下N):前にあったクリスマス・アルバムやJa
Ja Jah All Starsも制作の時は横にいてトラックの手伝いをやってたりしたけど、フルでは初めてかな。でも今回のはプロデュースというよりも、アーティストが持ってきた曲にこっちも触発されて、ここはこうしようとか、ああしてみようとか一緒に作り上げたという、どちらかといえばコラボレーションって感じが強かった。
●『Dancehall Divas』に参加してるアーティストはどのように決めたんですか? レゲエ以外の音楽をやってる人も沢山いるみたいですが。
N:これは「ジャパンスプラッシュ」や『レゲエマガジン』の時からお世話になってる加藤(学)さんからの要請でダンスホール・レゲエのフレーヴァーを取り入れた女性アーティストによるコンピっていうことが前提で。それで色んなところで募集をしたら、100人以上の応募があって。今回は東京近郊の人を優先的に選ばせて貰ったんだ。アーティストに関しては、三割はレゲエやってる人で他の人はそうじゃないんだけど、基本的に自分の考え方としてジャンルとかそう言うカテゴリーで括るっていうのはないんで。歌える人っていうのは音がどんなのでもそれは単なるアレンジの違い位なものであって、テンポとキーが合えばちゃんとできる人はちゃんとできるんだよ。ダンスホール・レゲエっていうのがテーマとしてあっても多少の言語指導をした位で、そのフレーヴァーはちゃんと出てると思うよ。
●この次に出るソロ・アルバムにも共通して感じたことなんですが、全体的にヴァラエティーに富んだポップな仕上がりになってると思うんですが、それについては?
N:ポップっていうのは、ジャンルが何だっていうものじゃなくて本質的にミクスチャー的な要素を持ってるものであって、やっぱり何かで括れるもんじゃないんだよね。で、今まで自分のやってきたことっていうのは、ジャンル・オンリーになってた時期もあったけど、最終的には自分の持ってる音世界っていうのかな、言ってみればナーキ・ミュージックっていうのを作りたいと思ってやってきてるわけ。勿論聴いてくれる人の中にはレゲエだと思う人もいるかも知れないし、オール・ジャンル的な要素もあると感じる人もいるかも知れない。けど人間の耳にいいものだと聞こえればそれでいいと。何度も言うけどジャンルがどうこうじゃなくてね。だから『Dancehall
Divas』はそんな自分の考えをもとに、ダンスホールっていうフィルターとナーキっていうフィルターの両方を通して皆のオリジナリティを出して貰ったという風に捉えてるよ。
●そのソロ・アルバム『Big Step』についてですが、一曲目の「Ragga Salsa」を始め、ソウルやクラッシックのネタなんかもあって、そんな考え方がハッキリと反映された物になってると思います。
N:「Ragga
Salsa」は、元々サルサとか好きで聴いてたんだけど、レゲエやソウルやR&Bとは違うところの解釈だと思ってて、自分の中に取り込めてなかったのかも知れないけどね。で、NYのラテン・クォーターとか行くとレゲエやヒップホップをやりたい奴なんか一杯いるわけ。それで、あ、これは接点あるなと思って。音楽によるユニフィケーションっていうのが大きなテーマとして自分の根底にあるしね。で、やってみたら凄く面白いものができた。
●では読者やリスナーの方々に一言お願いします。
N:『Big
Step』は自分の状態が凄くポジティヴな時に作ったんで確かなものになってると思う。まさに大きな河を渡る第一歩なんで、次に行く為には皆のサポートがないと。とにかく聴いて貰わない事には何ともなんないし。そして聴いてくれたら何らかのアクションを起こして貰えるとっていうのが、現実としての正直な気持ちかな。『Dancehall
Divas』もまだまだ沢山のアーティストがいるんで、これからも楽しみだし。こういうことをやってるうちに、また何か新しいものが出てくると嬉しいよね。
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