Greetings friends,
●今年に入ってから出た再発行モノでベスト作品は、今のところ
The Wailers の『Catch A Fire』であると断言して良いであろう。当時もっと幅広いファン層を獲得すべく、「ロック」ファンを魅了せよとの要請を出した
Island 社長、Chris Blackwell の思惑どうりに作成された Wailers のデビュー・アルバムは、オリジナルの演奏にUKのミュージシャン達による仕上がりのタッチが施されるといったものであった。今回出たこの作品は2枚組で、もう1枚はもともと彼等がジャマイカで演奏・収録をしたまったくのオリジナル・ヴァージョンとなっている。ちなみに
Island 版がどのように作成されたかの詳しい内容は、ドキュメント・ビデオで観る事ができる。とにかくこのオリジナル・ヴァージョンにより、今まで聞きなれていたアルバムをまったく初めて聞くような衝撃を受けた。本来のWailers
の姿、そしてその栄光を更に発見したようで、何とも嬉しい限りである。とりあえず、Tuff Gong クルーの次の企画は Wailers
のダブ・アルバムでキマリ。若しくはそこそこ有名なジャマイカ盤のB面特集っていうのも、十分いけてるかも!
●今やUKでは人気の高いアーティストである
Lee 'Scratch' Perry と Johnny Clarke。両者とも5月に予定されている Culture Promotions
主催の単発ギグにそれぞれ出演が決まっている。ひとつだけクレームをつけさせてもらうとすれば、ギグのフライヤーにJohnny
Clarke の事を 「Studio One伝説の男」と記載しているという事。「伝説の男」は事実だとしても、彼が Dodd
氏のもとで作成した作品を持ってたり一聴した事がある人は是非とも私までご一報を!
●この原稿を書き終える頃の週末は、最近再結成を果たした全員白人のレゲエバンド、Mood
Reaction のギグに足を運ぶつもりである。作成を焦ったデビュー・アルバムの内容よりは確実に充実したギグになる事を約束しているし、次作にはもっとじっくり時間をかけるとの事。ギグの感想を御楽しみに。
●Twin
Bros レーベルからリリースされた『Greatest Hits』のプロモーションの為、Spanner Banner が先日ロンドンを訪れていた。Homer
Harrisプロデュースによる「Live And Learn」に代表される初期の作品から、1990 Conscious Lyric
Rockers Award で見事賞を獲得した「Life Goes On」等、後年の栄光的な瞬間に関わった作品まで、彼のアーティストとしてのキャリアが詰め込まれている作品である。なんと兄弟のPliersがChaka
Demus と共に放った大ヒット・チューン、「Tease Me」の彼自身のオリジナル・ヴァージョンまで収録されているとの事。また今回同行した若きヴェテラン、Anthony
Malvo も彼の代表作といえそうな作品を近日中にリリース予定。新しいアーティストが出て来ては消え、が絶えない今日この頃、
Malvo が今だ現役で活躍しているのは頼もしい限りである。詳しいインフォメーション等は Twin Brothers 迄
e-mailにて:twinbros@btinternet.com

Spanner Banner
●Sizzlaの話題のニュー・アルバム『Black
History』がリリースされた。そのタイトルが全てを語っているように、痛烈でありながら敏感なメッセージ、そしていつもの情熱的なパワーが全開。このくたびれた私の耳をもって聞いても、もしかしたら彼のベストといえる作品となり得るかも、という気がする。
●ジャズに興味がある人にオススメなのが、アヴァンギャルドな
John Zorn のニューヨークのレーベル、 Zadic よりリリースされたユダヤ人トリオ、Satlah のCD2枚。Radio
3の番組の為に Shoreditch のCargo Club にてライヴを行なった彼等、フィナーレには Zorn 自身がソロ・サックスで登場。騒々しく面白いくらいにトゲトゲしい
Satlah がギリギリの線のところで自分達の音楽をうまい具合に我々に親しみやすく演奏した一方で、Zorn はひたすら自己満足的な演奏を披露。とはいえ方々で評価の高い彼、私なんかよりずっと名が知れてる人々が彼の事を絶賛しているのである。ま、いっか。とにかく、Satlah
は要チェックである。

Anthony Malvo
●自らのレーベル、Sound
Box から初のリリースとなった「Free Your Mind」と Sir Coxone Sound の 「Shock Of
The Century」 の2作品が大好評だった Levi Roots。今回の新作は、自分がプロデュースした作品をまとめた「Jah
Will Never Let You Down」。ジャマイカとUKから多数のアーティストを起用、Sound Box の7インチを買い逃した人はこのCDを押さえておくべき。詳細はwww.LEVIROOTS.COM
をチェック。
●日本ではジャパンスプラッシュと関わった事で知ってる人も多いと思う
Jamdown プロダクションが、間もなくとても面白そうなプロジェクトを実現させる。古いジャマイカの45sからのサンプリングを使用して彼等のクルーが新たなトラックを作成、そのトラックに素晴らしきヴェテラン・シンガー達の歌を乗せるという試み。既に
Alton Ellis と Winston Francis がテープ撮りを済ませたそう。まだ未完成のものをちょこっとだけ聞かせてもらったが、感想を述べるのはきちんと聞いてからにしよう。とにかく期待大、とだけ言っておく事にする。
Till next time, take care.........
[訳/有賀由紀子]
|