7月4日にリリースされるセカンド・アルバム『Colors』から、心に染みる軽快なラヴァーズ・チューン「Hevenly」に続いてリリースされる先行シングル第2弾「Music Is Mystic」は、ボクサー・キッドをフィーチャーした必殺ダンスホール・チューン。想像以上に現場指向のこのチューンの魅力とは…。 |
![]() 「聴いて貰えば判ると思うんですけど、かなりストレートなダンスホール・チューンなんですよ。″うた″的には早口でディージェイっぽいフロウで…。とにかく、歌い上げるような感じは避けたんですよ」 そう語る″彼女″のイキイキとした表情からも、目の前にあるその曲がいかに自信作なのかが判った(と言うよりも、彼女の曲は全て自信作のハズだ)。そしておもむろにクレジットに目をやると、そこには "Produced by Louis "Flabba" Malcolm" の文字が…。そう、本誌読者には説明不要?なNYのトップ・ダンスホール・プロデューサーのフラバ(モ・ミュージック・プロダクションズ)の手によるモノ、だというのだ。フラバと言えば、昨年のベスト・リズムの一つと言っていいモンスター・トラック "Hurricane" を送り出した人物(アロゼート「Nuh Pet Gal」、T.O.K.「Something New」、エレファントマン「Show Mi Dem」、ケイプルトン「Hunt You」等々忘れ難きチューン多し)。 またあの『Soul Rebel 2000』のCD盤にも入ってる、ホーム・グロウンの生演奏によるコーンヘッド「Young Generation」のバック・トラックもこの "Hurricane" トラックだった事をレミニスした人も多いのでは? で、宿泊先のホテルの部屋で早速その音を持参したラジカセでチェックしてブッとばされた…。その空間はとてもそうしたタフなリディムを再生出来るほどのモノでは無かったが(ひょっとして、周辺の部屋の方にご迷惑をかけてたかも知れない…。この場を借りてお詫び申し上げます)、それでもヤバさは十分に伝わってきた。 「欲しいだけのモノをGet/さしだす U bring drink 今not Yet/踊るだけ踊るのよGo Away!/たちまちMi a like A dancerにSet/みるみる導くBig ラガWaves/あちこち突き抜くKick & bass/ありったけの声で I just say/Let me be alone and enjoy yourself!」 彼女のファースト・ヴァースにまずシビレた。先の発言にもあった通り、これは殆どディージェイ・スタイルだ。しかしながらそのヴァイブスは言うまでもなく彼女だけが発することが出来るもの。最近は″レゲエも歌う″女性シンガーも増えたようだが、″彼女″と他との決定的な違いは、その″うた″にパンチ(死語?)があるということ。要はどんなにイカついトラックでも負けない″うたの力″を持っているということだ。 本能ムキ出しのジョグリン・リディムには、本能そのもののうたで、そして「Heavenly」のようなラヴァーズ・ロックには、切なくも要所要所アクセントの効いたうたで、彼女はどんな音もサバき切る(この辺りの話の続きは、次号の待望のセカンド・アルバム『Colors』のインタビュー記事で)。ライミングを盛り込んだリリックについても、ライヴで一緒に歌ったことのある人なら言わずもがな、だろう。ここでも彼女はフラバの用意したボトムの低い今風ド真ん中サウンド(ドレーが得意な琴っぽい上物も効いてる)に一歩も引かず、見事に乗りこなしている。「Music Is Mystic」というサビのコーラスのスケール感も、本場物の音を確実に自分の物にしている感アリアリ、だ。 「目で見ずに耳で聞かずに感じる Dancehall muzik Is mystic」 そんな″真っ当″でいてカッコいいラインを吐いているのはトキワ時代からの仲となるボクサー・キッド。MJR、スカイ・イズ・ザ・リミット、Ya-Low等々、多レーベルからリリース・ラッシュを掛けている正に昇り調子のボクサーとは、彼女もソロ・メジャー進出後初の絡みとなるが、その掛け合いはもう痛快の一言。これ以上ない″ハマり役″である。そして、こんなにイカつい新曲をタイムリーに放ってきた彼女は先の対談の席でこう言い放った。 「今年はレゲエが盛り上るってみんな騒いでるけど、ホンマ″今年だけ″に終らすのは絶対にイヤ。私はこれまでやってきた気持ちのまま続けたいですね。それが一番間違いない事やと思うから」。いやはやPushimらしい一言、である。 |