Greetings friends,
●普段からレゲエのニュー・アルバムのリリース・パーティーというものは、あまり派手に行われる事も無く、やったとしてたいていの場合は不味そうなビュッフェ(肉が多い)が用意され、そんな中でそのアルバムを拝聴するといったものが常である。私自身、そういった行事に参加する事は滅多にない。しかし今回、VPはMorgan
Heritageの新作『More Teachings』のリリース記念にあたり、ロンドンはCamden Townにあるお洒落なレストランにその場を設けた。Morgan一族が全員出席の中、前菜からデザートまで、テーブル着席のフルコース・ディナーが振る舞われ、その後は皆がCharling
Cross RoadのAstoriaに移動し彼等のライヴを観賞するといった豪華さである。ロンドンに設立されたVPのオフィスは元Jetstar
/ Dinoで凄腕のMiss Joyと VP / Tuff Gong / Universal America代表、Corner
Productionsの Maurice Hamiltonによって仕切られるとの事。VPのUK進出で私が少々懸念しているのは、他のレゲエのインディペンデント・レーベルが明らかにかすんでしまうという事である。
●かなり長時間に及んだMorgan
のショウは3部から成り立っており、まずはDaddy Denroyが他のMorgans達の先頭に立ち、ナイヤビンギ調の演奏で会場を暖めた。次に若いながらも既に立派なステージをこなすLMSが、ラップとルーツ・レゲエを巧みにミックスしたパフォーマンスを披露。そして最後のMorgan
Heritage、メイン・フロントマンのPeterが合間にところどころ「Morgan哲学」について語りを入れるという、長くてタフなステージを展開。Peterがシリアスな話題を取り上げ10分以上も喋り続け、音楽の流れがスローになってしまったりという場面もあったが、全体的にまとめると、今回でまた新たな彼等の力強さを見たといって良いであろう。またこの日は彼等の最初のプロデューサーでもあるBobby
Digital等、たくさんの著名人が顔を見せていた。
●この原稿を執筆中の現在も、Fred
Locksは今だUKに滞在中、Little Royのところにステイしながらニュー・アルバムの制作に取りかかっている。何でも今度の新作は、本人も認めるあまり評判が良くなかったXterminatorのアルバム程度のものではなく、彼の初期の頃の作品のパワーを引き継いでいるとの事。Little
Royも自身の新作に向けて忙しくしており、更にはOn-U-Soundに書いてきた作品を取り戻す計画もあるそう。4月には2人が出演するライヴ・ショウがラインナップされている。
●3月には
Sizzlaがこちらで3日間のライヴ日程を終えた。残念ながら車のクラッチがイカれてしまい、ロンドンで2日連夜で行われたショウのどちらにも行く事ができなかった。といっても私が本当に見逃したくなかったのは
Prince Malachi、後でお詫びの電話を入れなければ。ショウは全体的にどれも好評だったようである。
●以前にこのコラムで
Notting Hillをベースに活動しているバンド、Wisdomのニュー・アルバムについて書いたが、そのアルバム『Who
Feels It』がようやくリリースされた。彼等はリリースのお祝いにLadbroke Groveにあるクラブ、SubterraneaにてラジオDJDavid
Rodiganが廻す水曜日の夜にかなりレアといえるライヴを行なった。もう長い事続いているこの水曜日のセッションはかなりオススメ、ロンドンに来た際には是非ともチェックすべし。
●UKのヴェテラン・ギタリスト/ヴォーカリスト、Stephen
'Marley' Wrightが限定リリースで彼の3作目となるアルバム、『Let's Do Something For The
World』を発表した。ヨーロッパでの人気は高い彼、UKでもルーツ市場のみならず、もっと一般的に注目を浴びても良いはずの人物なのであるが…。とにかく今回のこのアルバムでそういった現状を打破できるかも。

Henry 'Buttons' Tenyue
●Matic
16から全盛期のUB40を経て、更には Levi Roots等の作品での良質な仕事ぶりで知られる素晴らしきトランボーン奏者、
Henry 'Buttons' Tenyueは現在超多忙の身。元Fashionのエンジニア、Gussie Pと共に制作中のMatics
Hornsのアルバム、「Musical Storm」等、同時に3つもの別々のプロジェクトを進行しているらしい。裏方から、センターステージのスポットライトを浴びるパフォーマーになる決心をした彼は、同行している
Willie Williamsのツアーのオープニングを務めるなど、着々とウォーミングアップをこなし、その評判も得にヨーロッパで上々との事。今後の健闘を祈る。
それでは次号、Take Care Folks...
[訳/有賀由紀子]
|