日本では、梅咲く頃というのに、5年ぶりといわれる大雪に見舞われているNYの冬は、まだまだ続くようです。NYニックスも5年以上ぶりにマーク・ジャクソンが帰ってきたのは良いのですが、コーチ・ヴァンガンディは、「NYのプレイヤーは、政治にとらわれすぎていてソフトだ」とコメントする程の低迷ぶり。早くもディヴィジョンで3位という、プレイ・オフすら危険といういつものスタートを切っています。NYニックスの冬も続く?

●今月のアウト・テイク
 映画『ワイルド・スタイル』の未公開フッテージが、CBGBギャラリーで、チャールズ・エイハーン監督により公開された。内容は主にロウワー・イースト・サイドのアンフィ・シアターでのライヴで、中でも本編にも一部使われたビジー・ビーとクール・モーディのフリースタイルは、圧巻である。象徴的だったのは、市内を走る″グラフィティ″が書いてある列車だった。当時がよりこのヒップホップがライフ・スタイルであった亊を証明している。現代の街に溢れるセットみたいなヒップホップは、我々の生活を惨めなものにしている?

●今月のパフ・ダディ
 弁護、検察両サイドの審議と証言が終わり、判決まで僅かな、パフ・ダディの銃の不法所持、収賄容疑の裁判であるが、注目されていた事件の発端の相手″スカー″氏の証言は無しで、供述書が提出されるだけに終わった。しかしここでは、パフ・ダディが銃を所持していた事が明言されていた。その最中、パフィが事件の後″スカー″氏の命に賞金を賭けていたという噂が浮上したり、不安を隠せない弁護団というのが今の状況だ。しかし、パフ・ダディが実刑になると利点もある。彼が今一番苦労している新しいタレント探しという問題が入所する亊によって解決される。今全米に増え続ける刑務所はラッパーの宝庫であるからだ?

●今月の入所
 そして、その増え続ける刑務所にDMXが3月2日に入所した。例の無免、大麻所持の容疑で10日間の実刑判決が下り、上告が却下された。この号が出てる頃には出所し、現在出演している映画のプロモーションを行っているだろう?

●今月のビーフ
 2/28に、ホット97の入り口で蜂合わせにあったカポーンとノリエガの取巻きと、リル・キムの取巻きが、発砲事件を起こした。負傷者は無かったが、原因はCNNのアルバムに参加しているフォクシー・ブラウンが、キムをディスした事だったらしい。同時にNYタイムスのコラムでは、'30年代のジャズ界でもビーフは存在し新しい風潮では無い、と世間での騒ぎを揶揄するライターの意見が掲載された。女王の座を巡るMCの戦いなら、MCで勝負して欲しいんだけど?

●今月のオールド・スクール
 そのバトルから浮上したKRS1の主宰で、テンプル・オヴ・ヒップホップのショウ・ケースが3/2、アーヴィン・プラザで行われた。クール・ハークのDJフォース・MDS、ロブ・ベースとイージー・ロック、ダギー・フレッシュとスリック・リック、そしてKRS本人のライヴ等、10組以上が出演。ヒップホップ界のモラルを呼び掛けるこの企画は、やがて全米ツアーとなる予定らしい。そのKRSの最新シングル「Hot」は、何が本当のヒップホップか再び問いかける内容だが、それが現代の若いオーディエンスにどう響くのだろうか?

●今月の写真
 今春、アルバムをドロップ予定のOG、クール・G・ラップだ。オールド・スクールのカテゴリーに入ることを拒否しての現役振りを見せるか?