2000年5月号
 


Beres Hammond at The Forum Kentish Town

 Greetings friends,
今月は Lee 'Scratch' Perry のまたもや出たコンピレーション・アルバムの話題から。今回の作品『Born In The Sky』は、前作の Larry Marshal、『I Admire You In Dub』が好評だったMotion Records からのリリース。最近ではどのレーベルでも1つや2つはUpsetters の作品を提供している今日この頃、彼の熱狂的なファンには嬉しい限りであるが、正直言ってその殆どが似たり寄ったりでこれもその内の一つ。いっその事コンピレーションのコンピレーション作成にのりきってみては!?

2月にウェスト・ロンドンの Subteranea にて行われたCulture Promotions によるBob Marley の追憶コンサートは、Earl 16、Levi Roots、Michael Prophet、Willie Williams、そしてFred Locks、Little Roy、ここ最近めっきりご無沙汰だったBob Andy の3人組によるステージ等、豪華なラインアップで兎に角素晴らしかったの一言。必然的にクラシック・チューンからクラシック・チューンのオンパレードとなり、我々観客を大いに楽しませてくれた。しかしこれらのアーティスト達について私が最も感心したのは、彼等が現在もかれこれ20年前と同じヴォーカル・レンジで歌い、同じ存在感を保ち続けているという事。ステージの仕切りもバッチリ、並ならぬ努力が注がれたショウであった。拍手。

Judge Dread の地元Snodland が彼に敬意を示し、先日建設された小規模な団地住宅前の小道が "Alex Hughes Close" と名付けられる事となった。ナイス!


Lee Perry at Ariwa


バラード王兼素晴らしき作曲家として役割を巧みにこなすBeres Hammond が2月のUKでのショウのチケットを全て完売させた。彼は間違い無く何年もの間、今だトップの座をキープしているヴォーカリストであり、Kentish Town はThe Forum でのギグでそれを証明してみせた。只、1つだけ批判をするとすれば、彼は最近の楽曲を殆ど披露しないという事。毎年彼のギグに足を運んでいるレギュラーなファンからは多少不満も残るであろう。今回も『Full Attention』、『Lifetime Guarantee』、 『Love From A Distance』、『A Day In The Life』等のアルバム、そして一番最近の『Music Is Life』からも一切歌わず、ガッカリである。『Music Is Life』と言えば、私はまだこのアルバムにハマりきれていない。Wyclef Jean フィーチャーの「Dance 4 Me」がこのアルバムの目玉となっているのだが、残りのチューンは全て明るくて陽気で楽しいリズムを展開していた十年前のレゲエにBeres が戻った感じ。いいアルバムではあるが、彼の代表作、とまではいえない作品である。

あやうくBeresのツアーのオープニング・アクトを務めたLouisa Mark について触れるのを忘れるところだった。ティーンエイジャーでありながら早熟で才能に溢れていた彼女は、ラヴァーズ・ロックの先駆け的シンガーの一人としてそのキャリアをスタートさせ、「Caught You In A Lie」「Keep It Like It Is」「Six Sixth Street」等の作品でUKレゲエ界においての地位を確立させていった。その後暫くは家庭を築く事に専念していた為、長い間リリースが全く無かったにもかかわらず、今回の彼女のステージに会場は興奮の渦と化した。他のシンガー達を圧倒する高く鋭い彼女の歌声は、豊かさに磨きがかかり絶品であった。この力強いステージ一つを見た限りで言えるのは、近い内にきっと誰かが彼女をレコーディング・スタジオに引き戻すであろうという事。彼女程の実力者がシーンから離れているのはもったないものね。

先日地元紙で広告に出されていた中古のTeacのCDプレイヤーを買いに行った時の事である。店員と会話をしているうちにその彼が1960年代、レゲエ・バンドに所属していたという話になった。彼等のバンド名は Mood Reaction。1969年に白人レゲエ・バンドとしては初めてPama と契約し、「Too Much Loving」、「Change Of Heart」といった2枚のシングルと、アルバム『Live At The Cumberland』をリリースしたそう。そして何とこのバンド、2000年に再結成し、それからずっとライブ活動を続けているとの事。昔からの根強いファンを含む彼等の支持者もそこそこ増えており、急ぎで作成したアルバム、『Reggae 69』が地元のTone Zone Records より既にリリース済み。Trojan が真剣に彼等にアプローチしてきているらしく、沢山のライヴの話が殺到しているとの事。22年前の活躍以上に、これからのMood Reaction は大いに期待できそうである。
 Till next time, take care........
[訳/有賀由紀子]