春の呼び声とともに、プシンの新作「ヘブンリー」が届いた。今回はそんな春のうららかな陽気にぴったりハマるラヴァーズ・ロック・チューンだ。

 ラヴァーズ・ロックの魅力を一言で説明すると、ゆったりしたレゲエの心地よいリズムとその上にのっている甘く美しいメロディーの絶妙なバランスにあるのではないだろうか。例えば、アリワ・レーベルにおいてサンドラ・クロスやコフィが録音しているカヴァー曲やジャマイカのジョー・ギブス物には、そんな魅力に溢れているものを多数聞くことができる。今月25日に発売されるプシンのニュー・シングル「ヘブンリー」もそんな魅力が充分溢れている作品だ。

 これまで「ストロング・ウーマン」という曲はあったものの、ポジティブなヴァイブを感じさせる楽曲が多かったプシンにとって新境地とも取れる切ない女心を歌った恋愛物で、まさにラヴァーズ・チューンのこの「ヘブンリー」。

 ″火傷しそうな恋を〜″という言葉から始まるリリックは、是非とも歌詞カードをチェックしてもらいたい(読めば分かると思うけど、プシンらしい言葉使いはこの曲にも発揮されていて、大阪弁の言葉を歌詞に巧みに盛り込んでいたりしている)。そしてメロディーとサウンドの美しさもこれまでのプシン・サウンドとは一線を画すものに仕上がっていると言えるだろう。

 今回の作品は純国産のプロダクションで、プシンそしてプシンのバンドであるグリーン・ティングス・サウンドの面々がプロデュースにあたっており、全て生楽器でレコーディングされ(プシンのヴォーカルも一発録り!)生独特の躍動感のあるグルーヴが醸し出されている。

 ミックスは、リトル・テンポ、ドライ&ヘビー等でも知られているウッチーこと内田直之が担当し、UKとジャマイカの良いところがうまくブレンドされたオリジナルなサウンドとなっている。

もちろん、お得意のダブ・ミックスも収録されているので、そちらもチェックしてもらいたいが、実はCDにはもう1ヴァージョン収録されていて、"Ponteg Night Version" と題されたこのヴァージョンは、オリジナル・ミックスとは別の曲と思ってしまうような楽曲になっている。ピアノ、アコースティック・ギターそしてレコーディング用語の″ドンカマ″の語源であるリズム・ボックス、ドンカ・マティックのみでレコーディングされたこのヴァージョンは、ジャジーで大人(?)な雰囲気が漂っている。

 オリジナル、ダブ、そしてこの "Ponteg Night Version" とひとつの楽曲でありながら全く異なる魅力を、それぞれが持っている、それがプシンのニュー・シングル「ヘブンリー」と言えるだろう。