「タンブリング・シーズン」である。

元旦から天気が悪く、乾季で観光シーズンのはずなのに雨の多い一月だった。この時期ジャマイカでも夜は気温が下がるので、セーター着たりブーツ履いたり、日本人同士集まっては鍋やおでんをしたり、と普段できないことを楽しめる。

 さて、年末年始のイベントはどれも盛況だったようだ。ボウンティのショー、「サドル」に出なかったベビー・シャムは、やはりボウンティと冷たい状態にあったらしい。「ホットショット(年末行われたシャギー出演のアップタウン・ショー)でシャムにシカトされたよ」とはボウンティの弁。最近のダンスホールがアメリカナイズされすぎているというボウンティの発言を、自分のCDの批判をされたとシャムが思いこんだらしい。それが二人が険悪になった原因かどうかは知らないが、たしかに二枚組CDという企画は他のDJも真似しそう。

 一方「スティング」のDJクラッシュで勝利をおさめたワーヘッドことマーシレス。3人のDJをキルしたお祝いに、3匹の山羊を殺してカレーゴートでパーティをしたという。「Sting History」は一時期がんがんラジオでかかりまくった。ニンジャのリベンジ・チャンスももうすぐやってくる。

 タンブリング・シーズンでエンターテイメントが少ないといってもそこはジャマイカ、イベントはある。1月恒例の「レベル・サルート」も大成功だった。駐車場とチケット売り場の混乱なども改善され事件もなく、悪評をようやく払拭できたようだ。出演はルシアノ、ケイプルトン、バニー・ウェイラー、ナチュラル・ブラック(「Song With Feeling」がヒット中のガイアナ人レゲエ・シンガー)、キマニ・マーリー(ボブ・マーリーの息子のひとり)、カルチャー、グレン・ワシントン(必聴のシンガー)、ラストはアントニーBでビーニ・マンの飛び入りというオマケつき。

 ショーが終わったのは日曜の朝で、MCのムタバルカが予告した通り教会に行く人達とすれちがってしまう、そんな時間。ムタの毒舌ぶりは健在で「ラスタマンは煙草を吸うな」、ムタが言うと説得力がある。皆手にしていた煙草を地面に捨てたもの。

 こちらも恒例イベント、西インド大学で開催の「スペクトラム」。レベル・サルートと打って変わって若者に人気のアーティスト勢が出演。ダニー・イングリッシュ、タント・メトロ&デボンテ、ベビー・シャム、チーコ、エレファント、ワード21のスク、Mr.レックス、キプリッチ…とBling Blingなアーティストばかり、いいでしょー。中でもウケたのはリッキー・ルーディA.K.A. Bling Dawg(ぶりんだっ)。

 去年からメインのショーやダンスにはどこにでも登場、ちょっとヒップホップ・テイスト感のあるDawgishなDJだ。こちらの飛入りはなんとシズラ。That's The Lick! 久しぶりのステージだ。だけど女のコのミニスカートくらいいいじゃない。ショーはスペクトラムには欠かせないDJビーニ・マンで締めくくり。ビーニ・マンは先日、ガールフレンドのジャネット嬢とアサイラム前で口論となり、暴力事件に発展して逮捕された。迎えに行ったのはもう一人のベビーマザー、カーリーン嬢である。裁判はつづく。

 2月中旬でクラブ「カクタス」がクローズする。通常3〜4年くらいしか続かないジャマイカのタフなクラブビジネスの中で、8年も続いた老舗クラブだ。現在クラブといえば北はマルゲリーツ、南はアサイラム。そして新しい時代の始まりだね。
 Peace, Love, Unity, Jah!