メジャー進出第2弾シングル「太陽」が好調の三木道三と2月28日に新曲「悲しみが消えるまで」をリリースするムーミン。現在のレゲエ界を支える彼らに、彼らの新作とこれからの日本のレゲエ・シーンについて語ってもらった。ロング・インタヴューの為、字も小さいですが、興味の有る方はじっくり最後までどうぞ。
Interview by Shinya Aoki / Photo by Kobayashi Taxi

●三木君は先月、新曲「太陽」リリースしましたね。まずそちらの内容から。

三木道三(以下D):明るく熱くいきたいなと、そういう思いを込めた曲。446をフィーチャーしてね。そんでコンセプトはねぇ、言うたら個人的に太陽が好きで、お天道様をわりかし崇めているところがあるので…。

ムーミン(以下M):お天道様を崇拝してるの?

D:崇拝っていうたら違うけど、太陽系で一番明るいヤツじゃん。出てきたら嬉しい、居なかったら寂しい。あと北風と太陽の話とか好きで、知ってる?

●お天道様が旅人のコート脱がすヤツですね。

D:昔からお天道様のこと歌にしたくて、やっとできたって感じ。

●カップリングの「月光」は?

D:そのー、月も大好きでさぁ。どんな風景に出ててもかなり胸がときめく位好きでさ。アメリカで見てもジャマイカで見ても日本で見ても好きでさぁ。ほんで、わりかし月って人間の血液を引っ張って気持ちまでおかしくしたりするとこあるじゃん。そういう夜に手紙書いたりしたら変だったりさぁ、夜とか月っていうのは太陽と対象的な訳ね。満月になると毛とか伸びてくるしさ(笑)。

M:まぁ、人にとって特別な存在だよね。

●これは「Summer Riddim」以来のムーミンと三木道三のコンビネーション曲ですが。

M:今回は三木君の方にお邪魔したって感じで。前は俺の作品に来てもらって。

●ムーミンは作品としては初の客演ですが、「月光」やってみてどうでした?

M:またやりたいなって感じなんだけど、三木君とさ。この曲は作るまで大変だったんだよね。横浜に一週間ぐらい合宿してさ。

D:できたのは後半の「ダバダ〜」だけ(笑)。

●一週間の合宿の成果がその「ダバダ〜」のフレーズに凝縮されている訳ですね。

D:そうそう!

M:皆でね、(ダンスの)会場で歌いたい。結構さ歌を作ってて、ライヴでどうなるかって想定して。例えば「やーばい、やーばい〜」の前を「なまら」とか、その地方によって変えたりできる訳じゃん。

D:あっホンマや(笑)。岡山やったら「ぼっけ、やーばい…」とか(笑)。

M:今回、三木君的にはどうだった? 最初にイメージしてたモノと。

D:結局、あんな感じになるべくしてなったんやと思うよ。まぁ三木道三とムーミンの三部作の真ん中みたいな感じやな。今回はそのー、B面やからやってみたいって感じでやれてさ、良い意味で。コンビネーションはやっぱ面白いわ、歌うところ少なくて楽やし(笑)。

M:「Summer Riddim」とか結構楽だよね。

D:しんどいわ(笑)! ムーミンは楽そうやけど、俺しんどいでぇ(笑)。

●「Summer Riddim」ってなかなか現場で見れないですよね。

M:そりゃ季節もあるし。

D:年に4、5回くらいかな? 「月光」はいつ歌うんやろ。歌うのかな?

M:歌おうよ。「ダバダ〜」やりたいしさ(笑)。あんまり難しく考えないでドンドン次へ次へと進んで行こうよ。

●今年はお互いにアルバムが出ますね。

D:アルバムは7月に出すから、それの「太陽」はセカンド・カットね。

M:夏だね、夏には間に合わせたいよね。

D:でもなやっぱCDとかの浸透率って軽く見積もっても3ヶ月かかんねんや。曲にさあ、思い入れとかそういうのも入ったりするのも時間かかるしさ。最近ライヴに来てる客で″最近『Miki-FM』聞いて好きになりました″って結構多いし、ホンマやで。

M:凄いよね。その時間の差っていうか。

D:ムーミンのアルバムはいつ?

M:俺は4月の上旬に出すよ。シングルが2月28日に、タイトルは「悲しみが消えるまで」。

D:アルバムちょうどええよ! 夏にやろうと思ったら4月に出さなあかんわ。よう出すね、ムーミンは。なんか新しい人とかやんの?

M:コーン・ヘッドとか、カヴァーも2曲入れる予定。

D:「Kissing You」(キース・ワシントンのヒット曲でバリー・ブームがカヴァー)、知ってる?

M:カティ・ランクスとのね。

D:ナード・ランクスのもあるの知ってる? バリー・ブームだけのやつもあってさ。あれメチャかっこええわ。

M:うん、その曲をカヴァーするんだよね。

D:やっぱ好きなんや、同年代やな。でも、レゲエは5年前、10年前と同じ音楽とは思えないな。例えばボブ・マーレーとベイビー・シャムが同じジャンルとは思えないよ。ちょっと違うよね。

M:違うよねぇ。

D:エレファントとジミー・クリフは…ちょっと似てるかな(笑)、ぶっちぎれ度が。良くも悪くも歴代のファンを裏切り続けながらお構いなしに爆進する音楽やな。レゲエの良いのはリメイクとかすごく良いからね。聞いてて調子良いからね。俺もカヴァーしたいわ。

●日本のレゲエについてはどう考えてますか?

D:「Riddim」は昔から頑張ってるけど、実際とりあげてくれるメディアが圧倒的に少ないからね。何が良いかといったら、ここまで人気が出てきたのも、上からの操作じゃなくて横の繋がりであったり地方独自のものだったりで、ちょっとずつ膨らんできたから根は深くて強いよ。

●地方のサウンドも徐々に規模が大きくなって。

D:うん、自分らの好きなジャンルの音楽をクラブでかけまくってるやろ。で、日本各地どこ行っても誰かがパーティしてる訳やん。遊びに行ったらみんな友達で最高やろ。間違いなくない? こんなオモロい音楽ないで。

M:アーティスト同士もみんな仲良いしね。

D:レゲエは地方色ありつつも、皆ワン・ファミリーって言ったら照れ臭いけど、そんな感じやな。

●去年、レゲエ祭が日本各地でいっぱいありましたしね。

M:それとジャマイカの存在は大きいね。ああいうところで会うとちょっと親しみっていうのあるし。

D:「あの時はどうも」っていうのが良いよね、良い財産やな。

●日本全国どこ行っても安心して歌える状況は整ったと。

D:いやぁ、まだまだ次があるから。まだ若干時差があるけど、全国あがってきてるから、もう一段階、二段階してズボっと日本列島一気にあがっていって欲しいな。

●そうなると全国各地にいるアーティストの作品のリリース量も増えてきて面白くなりますね。

M:(シーンが)いきなりボンっとしなくても、この流れのペースでさ、自然に行けばいいよね。

●21世紀のレゲエ界は明るくなりそうですね。

D:明る過ぎるやろ、しかも熱過ぎるよ。二人ともアルバム出すしね。

M:プシンやチョーゼン・リーも作るらしいよ。

D:NGヘッドもやで。

M:『Bad Bad』シリーズも新しいの出るし。

D:カエル・スタジオも3枚ぐらいCD出すらしいよ。そう考えると今年ヤバいな。来年はさらにヤバそう。

●では最後に一言どうぞ。

D:うーん、今年もよろしく。あと大和レコーディングスの全国ツアーが終了して各地大盛況で楽しかった。各地のみなさん、クルーのみんなに感謝。メラメラ燃えて回して燃えるぜ!

M:今年も頑張るんで現場で会いましょう。