ジャマイカの朝刊紙「グリーナー」から毎年年末に「ベスト・オブ・ジャマイカ」という別冊紙が発行される。一般から募集したジャマイカの項目別人気投票発表の雑誌だ。項目は自分で作ってもいいし、人・物・場所、なんでもいいのだ。ベスト・ジャークチキンからベスト産婦人科、ベストおまわりさん、ベスト公衆トイレなんて項目もあって面白い。これがなかなかセンスあるチョイスなのだ。

ハネムーナー向けベスト・ホテル=ネグリルのロックハウス。

ベストなサンセットの場所=当然ネグリルかと思いきや、ポートロイヤルが知られざるサンセット・スポット。

ベストな隠れ場所=ポートアントニオのネイビーアイランド。

ベストな滝=ポートランドのサマセットフォール。

ジャマイカで一番値の出る画家=ジョン・ダンクレイ。国立美術館のダンクレイとカポのコーナーは必見。

ベスト陶器=オチョリオスに店舗とアトリエのある「ワシ・アート」。元気いっぱいのカラフルなティーカップ・花瓶・絵皿など、ジャマイカのアーティストによる陶器製品を販売している。嬉しいことに日本まで配送(有料)もできる。デボンハウスにもお店がある。

ベスト・ファーストフード=バーガー・キング。マックの方が店の数は多いのに圧倒的にバーガー・キングが人気のジャマイカ。ローカルのファーストフード・チェーンでは「アイランド・グリル」。ハーフウエイツリー地区とソヴェリンプラザにあり、明るくて入りやすい店だ。

ベスト・カフェ=ブルーマウンテン地区にある「ギャップ・カフェ」。実はジャマイカにはコーヒーを飲む習慣のない人が多く、おいしいコーヒーを飲める店はかなり少ない。ギャップ・カフェはUCC農園のあるアイリッシュタウンと、更にニューキャッスルを通り越した標高1200mの所にあるカフェレストラン。道も悪くキングストン市内から1時間半程かかるが、それでもここの一杯のコーヒーにはその価値がある。ジャマイカのベスト・ヴュー、ブルーマウンテンで飲む世界最高級のコーヒーを是非一度。

ベスト・レストランに輝いたのは、ポートロイヤルにあるシーフードのレストランで「グロリア」。ここで揚げたてのフライドフィッシュを食べたら「ジャマイカ料理はちょっと…」なんて言わせない。


 ベスト・レゲエグループはモーガン・ヘリテイジ。ジャマイカ・レゲエ界の良心的存在。本紙ベスト・ニューDJに選ばれたのはアロゼイド。「女のコを泣かせる男」必須条件であるブラウニン(上流中産階級に見える)ぶりを武器とする彼だが、下町出身のタフなやつ。

 ベスト・ニューアーティストはジュニア・ケリー、2000年最もファニーなダンスホール・チューンに選ばれたのはセシールの「Changez」。ベスト・ヴォーカリストはベレス・ハモンド。クリスマスの夜にはベレスのライヴがTVで放映されて大好評。

 ジャマイカ人に意外にも人気のないのがルシアノ。「サドル」でも夜明け前のいい時間帯にステージに出て、ブーイングをくらってしまった。

 2000年に著しく良くなったDJとしてホークアイ。本当に貴方はトゥインギトゥワンガ。ベスト・カムバック・アーティストにシャギー。「It Wasn't Me」は現在いつでもどこでもかかるチューン。ビーニが早くも「It Wasn't Me」を出したけど、あなたは浮気をしたら正直に認める、というか居直るタイプ? 現場を見られても「してない」とスウィートな嘘をつくタイプ? リズムは「オーガズム」、このセクシー・ヴァイブがジャマイカ人にウケた。

 流行語大賞は「Bling Bling」でベストDJに選ばれたのは今年も男性がビーニ・マン、女性がレディ・ソウ。ビーニ・マンは長年連続ベストDJに選ばれているが、実際のところ、ビーニ、ボウンティ、ベビー・シャム、ケイプルトン、ニンジャ、いまの本当のベストDJは誰?


 クリスマスに行われたボウンティ主催のショー「サドル」は、全盛期のスティングを思わせる程の観客が入り事件もなく大成功。ボウンティのビッグぶりを誰もが認めたが、進行の悪さと出場予定アーティストの不在(シズラ、ケイプルトン、ベビー・シャム、レクサスがノーショウで、現在その理由についての噂が飛び交っている)で、落ち目になっていたスティングの方が今回良い印象を与えたのだ。スティング2000の目玉は数年ぶりのDJクラッシュ、ニンジャマンVSマーシレス! 

 「どっか逃げちゃうんじゃないのマーシレス」なんて言われていたものの…誰もが忍者優勢で終わると信じていたこのクラッシュ、
マーシレスが奇跡の盛り返しを見せ勢いついて楽屋にいたボウンティをステージに呼び、98年以来のDJ因縁の対決の始まり。

 WarheadマーシレスはWargod忍者とWarlordボウンティを相手にステージ上でWar War War。仲裁にビーニが登場したが、マーシレスが3人共やっつけやがった、というのが観客の印象。「さてと、ママのおいしい朝食が待ってるからさ」。マーシレスの勝利のお言葉です。帰りは車で勝利の行列をつくり、その勇姿ぶりを見せ付けながら会場を去って行ったとさ。JAH!