2000年2月号
 


Big Youth

 Greetings friends,

今月はまずここ最近、私のもとに届けられたいくつかのニュー・リリースについて書くとしよう。一発目は70年代にUSでカセット・リリースのみのレーベルとして設立された、R.O.I.Rのパッケージから。80年代初期、R.O.I.RのNeil Cooperがレゲエにはまり出したのをきっかけに、レーベルはレゲエとの関係を深めていった。常に興味深い彼等自慢のラインアップの中には、Oku Onura, Jean Breeze, Mute Beat, Skatalites, Cedella Booker Marley, Killer Bees, そしてLee Perry等、様々なメンツが名を連ねた。いくつか好セールスを記録した彼等のリリースは、80年代後半にフランス経由で制作されたCD作品であるが、現在では R.O.I.R自身もCD制作に力を入れており、その中でも諸君の興味を引きそうなのは以下の通り。
 
 90年大阪で行われたSunsplashにおけるBig Youthのライヴ盤(もともとは91年にリリースされた)『Jamming In The House Of Dread』。 87年、Charlie Chaplinを招きネグリルにて、テープによるライヴ・レコーディングを行ったYellow Manの『Negril Chill Challenge』(同年リリース)。ベーシスト兼プロデューサー兼リミキサーであるBill Laswellによる『Dub Chamber 3』は、選りすぐりのワールド系ミュージシャン達と共にアンビエントな音を探求する最新かつ最期のダブ三部作。R.O.I.Rのリリース等、詳しい事は www.roir-usa.comをチェック。

同じく今月、最新作で目立っていたのはBlood & Fire。CD3枚のボックス・セット『Natty Universal Dread 1973-79』はBig Youthの回顧作品。彼の初期の頃の素晴らしい作品の数々が満載である。51曲の内のほとんどが彼のNegusa Nagast, Augustus Buchanan, Nichola Deltaレーベルから自身によってプロデュース/リリースされ、ずっと長い間入手不可能であったのでファンにとっては待望の傑作である。発売は1月末。



Cedella Booker Marley


ドイツのスカ・レーベル、Groverも増え続ける一方の契約アーティスト達による、2000年を締めくくるに相応しいホットな新作を発表。今回の目玉は87年、Gaz MayallのGAZ's Recordsの為にレコーディングされたDamian Kornerによる『Laurel Aitken meets Flod Lloyd And The Potato Five』。長期間発行が中止されていたこの作品は、Laurel Aitkenを再びトップの座に蘇らせ、Two-Toneが落ち気味になって以来初めてスカ旋風を巻き起こしたとして有名である。

 実に面白かったインストゥルメンタル作品、『Wanja's Choice』に続くThe Butlersの新作『Fight Like A Lion』もオススメ。今作はバンドの演奏にWanjaのヴォーカルが復活。ゆったりめのレゲエとダブに挑戦、あとはお得意のスカでバッチリと仕上げている。

 Gerry Lee & The Wanted Menによる『Framed』はちょっと異色で、スカ、ブルーグラス、ジデコ、カントリー・ミュージックをどういうわけか聞きやすい形にまとめた作品。誰しもが気に入るテイストではないが、アイディアはとてもユニークである。

 Ska-Trekの『Move Along』は、その殆どが昔のジャマイカにおける古いヒット・チューンのカヴァー。ライヴだったらそれなりにいいのかもしれないが…。それにしても一体誰がJoe Higgsの「Dinah」のカヴァーをして作品化しようなどと大それた事を思い付いたのであろうか? モメる事ウケアイ。

 スペインのバンド、Dr. Calypsoの『Barbarossaplatz』は、ジャケを見れば一目瞭然、ソウル、レゲエ、ロック・ステディ、スカといった内容。全15曲、それぞれのジャンルのスタイルを上手くきっちりと表現した彼等の仕事ぶりは見事。諸君の中にいるリヴァイヴァリストの興味をそそるであろう一枚、実に良くまとまっている。

 Groverの中で最もイケてるバンド、Intestifiedは、間もなく素晴らしい両面シングルをリリースする予定。この間ここでも書いたKatie嬢をフィーチャー。それに続くと見られるのは、「Folkestoneで行った10周年記念ライヴでの何曲かを収録してあるかもしれないし、してないかもしれない」(ギタリストのSteve Harrington談)ニュー・アルバム。レアな未発表チューン9曲を含む、20枚限定のIntestified 10周年記念プロモCDがはるばる日本まで届く可能性は薄いであろうが、このニュー・アルバムの中でそのうちの何曲かは期待できるかも。とにかくあけてみてのお楽しみ! メールオーダーのカタログ等、Groverのインフォメーションは www.grover.deを覗いてみるべし。

Sugar MinottがここUKでシーンにカムバック。Carroll Thompson、UB40等で有名なヴェテラン・エンジニア/プロデュサー、Bertie 'Stamma' Grantと、トリニダードでビッグになったジャマイカ人シンガー、Silkの2人と組み、新たなテリトリーへの進出を目指すとの事。SugarとSilkは「Freedom Train」がリリースされるここロンドンにベースを置くそうであるが、彼等の目標はアフリカ、ヨーロッパ、そしてアジア。動きが有り次第報告しよう。
 それではまた次号で。Take care...
                           [訳/有賀由紀子]