2000年にリリースされたレゲエ、ヒップホップの音楽シーンを彩ったBest Of Bestを発表。前年同様、編集部と本誌でもお馴染の執筆者(レゲエはランキン・タクシー、石川貴教、渋谷知憲各氏、ヒップホップは二木崇氏)、そしてセレクターのHemo、Killa Bam Bam両氏を加え、座談会形式で厳選。20世紀最後の年を飾るに相応しい真のストリート・ミュージックが出揃った。

【SELECTORS】

●ランキン・タクシー/日本におけるサウンド・システム、DJのオリジネイター。2001年春、ニュー・リリースあり。
●石川貴教/Gloria店主。本誌にて「Raw Singles」を担当。毎回独特な視点でレゲエ・ミュージックを斬るライターでもある。
●渋谷知憲/通称サンダー・キラ。Taxi Hi-Fiセレクター&Thunder Gate主宰。実はボブ・マーリー&プロレス・マニア。
●キラ・バンバン/Sun Setセレクター兼レゲエ・レコード卸会社勤務。冷静な判断力を持つ。
●ヘモ/セレクター。Shibuya FMのレゲエ番組「Escape To Jamaica」や渋谷のクラブ、BX Cafe(第一金曜日)等で活躍中。
●小磯 謙/Overheat Musicに勤務し、丸10年。ブラック・ミュージックをこよなく愛するなんでも屋。
●大場俊明/本誌編集長。我の強い選者達をまとめる司会進行役。


1. Baby Sham / Wow...The Story
(Artist Only)

フル・ヴォリュームの2枚組。ダンスホール・ファンには耳タコの大ヒット曲が並ぶ1枚目と、オール新曲に近いヒップホップサイド(ハウスっぽいのも多い)とも言える2枚目との対比が面白い。両方共に楽しめるあなたは、2001年以降のミュージック・ライフを十二分にエンジョイ出来る事だろう。全て最高とは言わないが、素晴らしい出来のチューンを数曲含む2枚目の存在なくしては、このアルバムは "This Years Modell" とは成りえなかったのだった。(石川貴教)


2. Beenie Man
「Art And Life」
(Virgin)

3. Capleton
「More Fire」
(VP)

4. Ghost
「Love You」
(Music Ambassador)

5. Buju Banton「Unchained Spirit」
(Epic)

6. Lexxus
「AKA...Mr.Lex」
(VP)

7. Junior Kelly
「Rise」
(Charm / Jet Star)

8. Spragga Benz
「Fully Loaded 」
(Benz Speculous / VP)

9. Sean Paul
「Stage One」
(2 Hard / VP)

10.Sanchez
「Simply Being Me」
(VP)

【海外アーティスト・アルバム】


ランキン・タクシー:今年の1等賞はビーニ・マン『Art & Life』でしょうか? ベイビー・シャム『Wow...The Story』でしょうか?みたいな感じですか(笑)。

石川:毎年で悪いけどサンチェス(笑)の『Simply Being Me』。最高じゃないけど、これだけいいってのは凄いじゃないですか。あとレクサス『Mr.Lex』とケイプルトン『More Fire』も入れなきゃ。それとリッチー・スティーヴンス『Perfect Love』もいい作品でしたよ。

キラ・バンバン:あとゴーストの『Love You』もいいですよね。

全員:あ〜。

ランキン:ゴーストっていいんだけど、あのジャケット考えると減点(笑)。あの写真見ていいかな、なんて思って買う奴は一人もいないよ(笑)。でも外見は悪いけど、中身はいいぞってなアルバムだな。

小磯:社内ではアルバムが出るまでの盛り上りが凄かったよ。うちから国内盤出そうよって。

ランキン:あとブジュ・バントン『Unchained Spirit』が入って…。

渋谷:前のアルバムほど聴いたかって言うと聴いてない。これ!って曲が一曲入っていればもっと良かったのに。

バンバン:現場の人にはピンと来ないかもしれないけど、一般の人には一番お薦めしやすいですよね。モーガン・ヘリティジとかルシアーノとのコンビネーションとか入ってるし。実はヤバいですよ。

小磯:あとね、ルチアーノの『Live』が好きなんだよね。バンドがいいからライヴの良さってのが凄く伝わる。

石川:ジュニア・ケリー『Rise』は?

バンバン:あれはいいですよ。シングル以外の曲も結構いいですよね。

ヘモ:エレファント・マン『Comin' 4 You』とショーン・ポール『Stage One』。二人とも今年って感じだし。

渋谷:でも、もうトップ3は決まってるじゃないですか。ビーニ・マン、ベイビー・シャム、ケイプルトン…でブジュ・バントンが来る。

バンバン:ヒットの数でケイプルトンって気もするけどね(笑)。収録曲が全部ヒット曲ってのは他にないですよ。

渋谷:ケイプルトン嫌いな俺が意外と楽しんで聴いたしなぁ(笑)。でも、フレッシュだからベイビー・シャムが一位!

石川:ベイビー・シャムって内容以上に、2000年ぽいって意味で評価したいな。

ランキン:来年はこうなって欲しいという願望を込めて一位はベイビー・シャムでいいんじゃないですか?

石川:来年は彼のこの作品の様な方法論を使って、もっと若いアーティストが出てくるかもね。それを期待してベイビー・シャムってことで。