1999年12月号

I'M A BIG KID NOW / RED RAT[GREENSLEEVES / GREL260]

「Oh No..!」から早3年、レッド・ラットの楽しさ満点の2ndアルバム登場。髪の毛は黒から金髪に赤のメッシュ入り、服はやっぱり赤が基本…で内容の方は、前作を上回るオモシロさ。何と言っても豊富なアイディアと多彩なゲスト陣(Goofy、Ghost、
Naughty By Nature等)、そして「Oh No..!」だけでは終わらなかったRed Ratのスキル。ダンスホール・ファンにぜひ聴いて欲しいアルバムです。Oooh Woow!![輸入盤](坪木良典)

COMIN' 4 YOU! / ELEPHANT MAN
[GREENSLEEVES / GREL261]

人気お笑いコンビT.I.M.のゴルゴ松本にソックリ?遂に登場のエレファント・マンのソロ1stアルバム。決してカッコイイとは言えないそのルックス…。だがその迫力ある顔と鋭い眼力、そして気合い十分のDJスタイルと、喧嘩上等のリリックで野郎共の人気者。流行のリズムでDJすれば大盛り上り、そんな彼のヒット曲が沢山収録された元気なアルバムに仕上ってます。ワルを決めたい時にはコレです。[輸入盤](坪木良典)

LIVE / LUCIANO [VP / VPCD1602]

フル・アルバムが待ち遠しいルシアーノ、初のライヴ盤(イギリス・バーミンガムで収録)。アルバム『Messenger』、『Where There Is Life』、『Sweep Over My Soul』からの代表曲にシングル・ヒット曲を交えた密度の濃い内容は彼のアーティスト性を堪能するには文句無し。ライヴ故にレコードだけでは分らない彼の本来の実力もヒシヒシと感じられる。これを聞いちゃうと次はどうしても生で見たくなってしまう。[輸入盤](前田和彦)

REDEEMED / CARLENE DAVIS [VP / VPCD1603]

彼女のアーティスト活動の中でリリースたアルバム数は凡そ50枚にも及び、それに伴った賞の数も他のアーティストを寄せつけない。これらの実績が物語る実力の高さはここでも十分に発揮されている。レゲエ、ゴスペル、フォーク、R&B、ジャズ・ヴォーカル風なアレンジ等の楽曲の楽しさは素晴らしく、また彼女のヴォーカルにも無理がない。ジャケどうりの暖かい感じの楽しさを実感できるアルバムだ。[輸入盤](前田和彦)

INTO A PARALLEL UNIVERSE... / SCIENTIST DUBS CULTURE[RAS RECORDS / RASLP3257]

最近何かと話題の多いKing Jammyですが、こちらもいい加減“King Tubbyの弟子”という枕詞も不用のScientistの最新仕事。本作は彼が業界復帰と同じ頃にリリースされたCultureの『Payday』のダブ盤である。CultureとScientistとのタッグとくれば説明不要。相変わらず彼特有の思い切り声を抜いちゃう大胆な技は切れ味鋭く、聴く者の心に突き刺さる。ジャケが昔のScientistのまんまなのも涙。[輸入盤](鎌田和美)

MODERN ANSWER TO OLD PROBLEMS / ERNEST RANGLIN[TELARC / CD83526]

クラシックやジャズのアルバムをリリースしているレーベル“テラーク”の第一弾レゲエ・アーティストとなるアーネスト・ラングリンの新作。サウンドの方はどうかというと完全なるフュージョン・サウンドでレゲエのレの字すら感じさせない。マァ、ここ最近のアルバムはかなりジャズ寄りだったので、この変化も頷けるが、レゲエ好きのオレとしては何をコメントすればイイのやら。「テクはすごい」とだけ言っておこう。[輸入盤](小池信一)

ROCKING WITH THE LOVE / LOVE GROSER
[DUBHEAD / DBHD0211P]

ダブヘッド・シリーズも今回のアルバムで21枚目となった。今回の作品はブラス・ホーン(トランペット、トロンボーン)をフィーチャーしたロンドンの2人組ラヴ・グローサー。コンピュータライズドされたリズム・トラックに生のホーン・セクションをテーマに乗せたインストゥルメンタル・レゲエ。わびさびのあるムーディーな選曲が沢山。勿論、ダブ・サウンド効果も効いたミックスになっている。[輸入盤](長井政一)

SERIOUS MATTER DUB / U-ROY
[WALBOOMERS RECORDS / WBLP06]

新録。ダブ・アルバム故に、U-Royの声は出たり入ったり。合間にLucianoやHorace Andy等の唄声も浮いては消える。元のオケがヘヴィな音作りなので、音抜きが大胆になる程、より一層ヘヴィに聴こえる。スタジオ・ワンのリメイクも入っているし、エフェクトによる飛び技もばっちり。最近ではレゲエ方面以外からも注目されているRoots RadicsのFlabba Holtが全面的にバック・アップしております。[輸入盤](鎌田和美)

THE BIGGEST RAGGA DANCEHALL ANTHEM / V.A.
[GREENSLEEVES / GREZCD4002]

『グリーンスリーヴス・サンプラー』と共に今後グリーンスリーヴス社の定番アイテムになる事マチガイなしの人気シリーズ第2弾。ここ一年間にリリースされた現場直結のコアなダンスホール・ヒッツをこれでもかとばかりに2CDに、全40曲の大ヴォリュームで。ケイプルトン、バウンティ、レクサス他、人気アーティストのヒット曲はバッチリ収録。ダンスの現場で熱い血をタギらせている野郎共に送る強力コンピ。[輸入盤](小池信一)

トリプルM/ムーミン[ネオサイト / AICT-1273]

シングル「キミを想う夜」と同時発売となった企画盤。Moomin、Mighty Crown、Master Keyのそれぞれの頭文字を取ってこのタイトル。で、このメンツが揃ったとなれば、察しの通りのミックス物。勿論Moominのベスト盤なのだが、レゲエ、ヒップ・ホップのシーンを代表する彼等とMoominのスペシャル・リンクによって生まれたスリリングな展開は凄い。レゲエ・サイドにはChosen Leeによるフリー・スタイルも収録。(前田和彦)

ムード・フォー・フリーダム/スカロケッツ
[フリーダム・サウンズ / DDCS-1002]

九州地方のオーセンティックなスカ・シーンを牽引する福岡を中心に活動を続けるスカ★ロケッツのセカンド・アルバム。全体的に前作よりも曲調や端々で飛び出すフレーズがぐっと渋くなっている。更にここ最近、西日本各地で精力的なライヴ活動を展開しただけあって、演奏も随分こなれた様だ。勿論、彼らの持ち味である歌謡曲路線は生き続けていて、マチャアキの名曲カヴァー「さらば恋人」で充分堪能。(大場俊明)

カリビアン・クリスマス/V.A.[オーバーヒート / OVE-0077]

「もうクリスマス・アルバムが発売される季節になったのか。最近、一年がやけに早いな〜」なんてオヤジくさい感慨にふけりつつ紹介するのはオーバーヒートからリリースされたレゲエ・クリスマスの決定版『カリビアン・クリスマス』。ホンダのCMでお馴染み、スリラーU&スカパラの曲やサンチェスが唄うセリーヌ・ディオンのカヴァー等、聖なる夜をいろどるスウィートなナンバーばかり。この季節ならこんな音もイイんでないの。(小池信一)

マイティ・クラウン・トリビュート・トゥ・ヴォルケイノ/V.A.[ビクター / VICP-61219]

もはや本誌読者には説明不要のマイティ・クラウンがノン・ストップで贈る、故ヘンリー“ジョンジョ”ローズのヴォルケイノ音源ミックス。選曲はやはりオールディーズ・マスターのCogeeが担当。マイティ自身、ヴォルケイノに対しては特別な思い入れがあるので、半端なものが出来る訳がない。バーリントン・リーヴィの曲が多いのは彼らのフェイヴァリットだから当然だろうが、FPも入れて欲しかった。勿論マスト!(大場俊明)

モ・ダウン・ビート/V.A. [ファイル / LOCD-039]

次から次へと出てくる日本のスカ・バンドのコンピレーション。今ではどれだけスカ・バンドが存在するのか数え切れない程だ。そんな中でも、ここにラインナップされたバンド達は日本の各地のナイト・クラブで人気を誇る実力派達ばかり。ブルー・ビート・プレーヤーズ、9マイルズ、シルヴァー・ソニックス、クール・ワイズ・メン等のオーセンティックなスカから2トーン系まで幅広く、充分楽しめる。(長井政一)

ブリッジング・ザ・ギャップ/チャーリー・ウィルソン
[カッティング・エッジ / CTCR-13142]

ギャップ・バンドのリード・ヴォーカルとしての彼の足跡は、スティーヴィ・チルドレンとしての遺伝子をアーロン・ホールやジョーらへ受け継ぐことで脈々と残されてきた。8年ぶりとなるこの新作もマイナー落ちこそすれ、ケイス、スヌープ、マーク・ネルスン、アンジー・ストーンといったゲスト参加を得て、俄然華やいだ雰囲気に。時代の音に対しても、彼はその確かな喉で大らかに包み込んでしまうかのようだ。(石澤伸行)

ザ・ナチュラル・クールネス/ダナシー
[カッティング・エッジ / CTCR-13140]

フロム・独! 昨年の夏にはここ日本でもシングル「Shop Around」がスマッシュ・ヒットした女性デュオのデビュー・アルバム。米国メイン・ストリームのR&Bへの憧れみたいなものが素直に反映されたポップな楽曲群は、どれも日本人の耳のツボを絶妙に突いてくる。アップではクールに、かと思えばスロウでは情感たっぷりに。若さの裏に備わった表現力を武器に、必ずやテクノの国でも道を切り拓くはずだ。(石澤伸行)

スピリット・テイルズ/スティーヴン・シモンズ
[V2 / V2CI-91]

スウェーデンのニュー・クラシッカー。本盤は、3年前に『Alone』というタイトルでリリースされたものに、米国デビューを記念し数曲の日本未発表トラックを追加したもの。内省的な響きを持つ歌と音は、今も変わらず得難い魅力を湛えるが、ラファエル・サディークやソウルショック&カーリーンらが手掛ける新曲からは、彼の今後の新展開が確実に感じられる。好事家垂涎の「Alone」フィネス・ミックスも収録!(石澤伸行)

ラッシュ/Neo[フォー・リズム/ DMCA-30248]

R&Bコンピ『ワイヤード2』への参加やOritoの作品でその名を広めた女性シンガー、Neoのお披露目作品。ローソンのオーディションで優勝した実力は本物で、18歳とは思えぬ伸びやかで艶っぽい歌声を聴かせてくれる。トラック制作には、嶋野百恵等で知られる藤本和則や村山晋一郎、UKからD-Influence、そして日本レゲエ界からHome Grown(feat. NG Head)が参加。彼女は今後、絶対伸びる原石だ。(石澤伸行)

時間旅行/ミス・マンデー[イド・レコーズ / IDRE-MS1002]

前作「もっと...」が地元横浜を中心にヒットした女性ラッパーのセカンド。前作で多少感じたかしこまった印象もすっかり抜け落ち、ライヴ同様、堂々としたマイクさばきを披露。表題曲や「Gimme Gimme」(feat. Cone Head)のパーティ・チューンで本領発揮と言ったところだが、レゲエにアレンジされた井上陽水の「夢の中へ」(feat. Butcher)のカヴァーでのDJスタイルもばっちりハマっている。(大場俊明)

ゴスペル・ミレニアム・クリスマス/V.A.
[BMG / BVCP-21163]

「魂の高揚」をテーマに(?)シリーズ化、今回は今世紀最後の「聖なる夜」をお題に編集されたコンピ。浮わつきがちなこの時期の気持ちに歯止めをかける、とでも言おうか、聴く耳にはついつい力がこもってしまう瞬間の多い内容だ。SWV、ア・フュー・グッド・メン、ジェフリー・オズボーン、ヘザカイア・ウォーカーらが歌う珠玉のナンバーたちには、“スピリチュアル”なる言葉の真の意味を考えさせられる。(石澤伸行)

ラマ/ペペ・カリフォルニア[ファーラヴ / SPCDF-001]

「ジャンルに拘ることなく良い音楽をマイペースにリリースする」というコンセプトのもと、レコード・ショップ・アット・スパイラルが立ち上げたレーベル“Farlove”からのファースト・リリースがこのペペ・カルフォルニア。牧歌的な雰囲気で且つ心地よいなごみサウンドとエレクトロニックな音響テイストをセンス良くブレンドさせ完成された一枚で、東京的シーンを象徴した作品とも思える。次作のリリースにも期待。(高橋晋一郎)

キャン・ユー・フィール・イット;トラックス・クラシックス/ラリー・ハード[日本クラウン]

先日待望の来日も果たしたハウス・ミュージック最大のキーパーソンの一人、ラリー・ハードがトラックスからリリースした伝説的名曲ともいえる「Can You Feel It」の全ヴァージョン、そして同レーベルからリリースされた彼の楽曲を選りすぐったベスト盤。とにかく前述した「Can You Feel It」のマーチン・ルーサー・キング牧師の演説入りのテイクが激レアとされていただけに、この収録は奇跡的快挙だろう。(高橋晋一郎)

ジャザノヴァ・ザ・シングル・コレクション/ジャザノヴァ
[ソニー / AICT155]

ドイツのフューチャー・ジャズ系レーベルとして知られるコンポスト。その中心的アーティストとして君臨する3人のDJと3人のアーティストで構成されるジャザノヴァがリリースしたシングルの中から選りすぐりの11曲をコンパイル。安易なボサ・ビートが氾濫しまくるシーンの中でもデジタル・ベースのサウンドと生楽器のフイレヴァーがオーガニックに融合した確かなクオリティーが凡百のそれとは群を抜いた出来。(高橋晋一郎)

リミックス・セレクション;フリースタイル&クロスオーヴァー/V.A.[トイズファクトリー / TFCK-87818]

「remix」誌の小泉、若野両氏によってコンパイルされるシリーズ第4弾。ここ数年の音楽性のフリースタイル化、ジャンルのクロスオーヴァー化に焦点を当てた結果、ニューヨークからはマスターズ・アット・ワーク、ウエスト・ロンドンからはセイジ、日本からはバヤカ等がクレジットされている。こうして聴いてみると改めて世界規模で日々進化を遂げ、よりその表情を豊かにしていく様がはっきりと体感できる。(高橋晋一郎)