オーバーヒートから発売中のアリワ・シリーズが好評だ。それもそのはず、このレーベルを聴き続けて15年! というアリワ・エンスーの僕も感服するパーフェクトな内容。そのオーナーであり、今やダブ・エンジニアのカリスマ的存在マッド・プロフェッサーを西麻布イエローでキャッチ。話を聞いた。朝成田に着いて、夕方リハして、夜中本番して、翌朝帰国という、日本滞在24時間の超ハードスケジュール! ちなみに空港への送迎はECの運転というVIP待遇(?)だったそうだ。
●飛行機の中では何してたのですか?
マッド・プロフェッサー(以下M):スリープ、スリープ、スリープ(笑)。
●お気に入りのエアラインはありますか?
M:うーん、ブリティッシュ・エアかな。マイレッジが溜まるから。
●今回はサンディーのライヴのスペシャル・ゲストということですが。
M:サンディー? ベリー・グッド・シンガーだね。ECからリミックス用のテープをもらったときツアー中だったけど、戻って3日で仕上げたよ(『アロハ・グルーヴィン』収録)。
●最近の活動をお聞きしたいのですが、例えば先週は何してました?
M:先週? えーと、月曜はロンドンでレコーディングして、火曜はパリで新しいディストリビューターと打ち合わせをして…。今4枚のアルバムを同時進行中なんだ。女性DJのザキア、デニス・ノーランド、ラヴァーズ・ロックのニュー・グループ、ラヴ・クリニック、そして自分のダブ・アルバム。
●めちゃ忙しいのですね。そう言えば新作では2つスタジオがクレジットされてましたが。
M:アリワ・サウンズが新しい機材のスタジオで、アリワにあった古い機材を持っていったのがアー・ウィ・マッド?だよ。
●オーバーヒートからの新作いいですね。
M:サンキュー、サンキュー。
●特にDJ、ダブ、ルーツ、ラヴァーズとバラエティー溢れる『Mad Professor 2000』が大好き。いろんな国の言葉がポンポン飛び出すマッカ・B「The
Power Of The Mind」なんて最高ですね。さぞかしUKでヒットしたのでは?
M:いや、まだリリースしてないんだ。
●大ヒット間違いなしですよ。
M:そうかな。きっともうすぐ出すからね。
●今まで教授名義のダブ・アルバムを何枚リリースしたか覚えてますか?
M:『Dub
Me Crazy』で12枚だろう。それから『Black Liberation Dub』もあって。他のレーベルも入れたら何枚かな? とても覚えきれないよ(苦笑)。
●おそらく教授が世界一ダブ・アルバムを発表したアーティストだと思うのですが、煮詰まったりしないのですか?
M:2週間かけても2、3曲しか上がらないこともあるよ。ガッハハハ。
●弟子を育てたりしないのですか?
M:今2人いるよ。その内の一人ジョー・アリワは、まだ15歳のスクール・ボーイさ。
*
●今日は何枚かダブのレコードを持ってきたのですが、アルバムでもエンジニアでもいいから何かコメントもらえますか?
■『King
Tubby / The Roots Of Dub』
M:こりゃー、ダブの金字塔的アルバムだな。タビーの作品の中でもベストでしょう。フライング・シンバルがピシッピシッと…。
EC:教授はジャマイカに行ったことあるの?
M:あるけどタビーはもう亡くなってた。
EC:僕と米光はタビーズで会ったことあるんだよ。
●とってもクールな人でした。
M:うんうん、そうだろうな。
■『Errol Thompson / African Dub Chapter
3』
M:エロール・トンプソン! 尊敬している。大好きなアルバムだよ(っとギュッとレコードを抱きしめる)。
■『Prince Jammy / Africa Must Be
Free By 1983 Dub』
M:あれっ、これジャミーだっけ? あっ、そうだそうだ。これも素晴らしいアルバムだな。ダブのクラシックさ。
■『Lee Perry / Blackboard Jungle
Dub』
M:うーん、実はこれあまりよく知らないんだ。何曲かは聴いたことあるんだけど…。
●僕はリー・ペリー作品の中で4トラックのレコーダーを使ったブラック・アーク作品がベストだと思っているのですが、アリワもスタートは4トラでしたね。
M:うんうん。
●その頃の曲を収録した『The Early Sessions』も大好きなんですよ。
M:79年頃だね。ほらっ、ジャケに写ってるのが私さ。
●はいはい、分かります。随分スリムでしたね(苦笑)。
M:4トラは注意しないと音が歪んでしまうけど、とてもストロングな音が録れるよ。
■『This Is Augustus Pablo』
●ラストはエンジニアじゃないけどオーガスタス・パブロ。
M:ヴェリー・ミステリアス・サウンド!
●僕は教授とパブロの共演が夢でした。
M:そうだね。彼の死は私も非常に残念だったよ。
*
●今後のご予定は?
M:ロンドンに戻ってすぐイタリアに行く。
●ライヴ?
M:そう、「イタリアン・ダブ・フェスティバル」。
EC:(笑)ナイス・タイトル!
M:イエー、イエー(笑)。その後ベルギーに行って、2時間後にはドイツかな。
●もし時間があったら何したいですか?
M:ゆっくり寝たいよ(苦笑)。
●最後にリディムについて一言もらえますか?
M:グレート! でも日本語だけというのは残念だな。私なんか写真しか分らないよ。世界中の人に読ませたいから英語版も出してよ。
ライヴ当日、教授がコンソールをチョコチョコっといじると、いきなりムッチリ太い低音とクリアな中・高音が炸裂。一瞬にしてイエローがアリワ・マジックに包まれた。ここでビッグ・ニュース!そのサウンド・チェックでブリブリに鳴らしてた教授の新作がオーバーヒートからリリース決定。タイトルは『Trix
In The Mixxxx』。2000年のダブ・シリーズの幕開けを飾る全編ルーツ・テイスト仕上げ。必聴! 10月に再来日するマッド教授から、まだまだ当分目が離せそうもない。
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