DJ Shark / Assasin (12 Moons)

DMC関西代表、テクニクスのミキサー、SH1200（DX）＝Shark Model、ビート・トリックスでの活動にソロ・アルバム『Inqbation』等で知られる“長浜のビート・アサシン”DJシャークの初テープ作品。ミリ“4分後”等のドープなオリジナル・ビートを中心に、ターンテーブリストとしての凄みも漂わせたミックスは“圧巻”の一言。本人曰く「ドロドロにドープなところを狙った」モノだけにウェスト・アンダーにハマってる人もバッチリの内容。今月の“ヤラレた”一本はコレに決定！

Guru's Jazzmatazz / Streetsoul (東芝EMI)

5年ぶりとなる3rd。前2作では "Be Bop To Hip Hop" を合言葉に影響を受けたジャズ・ジャイアンツとのセッションを中心に、ギャング・スターとは一味違うやり方で魅せてきたが、今回はその路線はハービー・ハンコック、ボビー・ハンフリーの2曲のみ。その他メイシー・グレイ、エリカ・バドゥ、ルーツ、クレイグ・ディビット、ジュニア・リード（！）、レヌビアン等のアーティストをフィーチャーし、“グールー流ストリート・ソウル”を展開。プロデューサー＝仕掛け人及び表現者の立ち位置はこれで明らかになった筈だ。力作。

Jungle Brothers / Beyond This World "Best & Rare" (ワーナー)

残念なことにジー・ストリートからドロップ・アウトしたJ-Beez。オマケにワーナー時代の名作『Done By The Forth Of Nature』（2nd）及び『J.Beez Wit The Remedy』（3rd）も廃盤に。そして代りに“現行カタログ”に新たに加わったのが、その2作からのピックアップとリミックス、レア・トラックで構成されたこの日本独自の編集盤（後に欧州でのリリースも）。監修は筆者とロウ・ダメージのDJタンコが担当し、アートワークはこれまた大阪のZenone & Mon（2人は「Style & MC」も手掛けた）が。『V.I.P.』からのファンもぜひこの頃のアーシーな彼らの魅力にハマって頂きたい。復活を心より祈る！

Scarub / ヘヴンバウンド （メリージョイ)

3メランコリー・ジプシーズのライヴ盤及びVTはチェックした（レビュー出来なくて御免）？　その一員でLAで若手No.1リリシストとの呼び声高いスキャラブの新作がまた凄いことになっている。トラック提供ではイーライ、イルーシヴ、グラウチ、OD、セスワン（Puts）等が名を連ねているが、残りの半数以上を彼自身が制作し、壮大なイマジネーションと確かなライミングが溶け合ったスキャラブ独特のリリカル・ワールドを構築している。レジェンス恐るべし…。盟友マースの新作も傑作。

DJ Clue Presents / Back Stage（ユニバーサル)

ロッカフェラ王朝の首領＝ジェイZの全米ツアーの模様を収めたドキュメント映画のサントラ盤。ジェイZ＋マイアを始め、一族のアミル、メンフィス・ブリーク、ビニー・シーグルからレッドマン、ホットボーイズ、CNN等の録り下ろしの新曲がズラリと19曲。そして曲間を現在はトラックメイカーとしても売れっ子のDJクルーが "Mix Tape King" 丸出しのディレイの効いたMCで埋める…という構成を含め、顔役＝ジェイZの貫録が伝わる最新ヒップホップ／R&Bショウケース。テープ感覚で楽しんで欲しい。

GKマーヤン/ Keep On Movin' Vol.1 （えん突つ)

「調子はドーダイ、いかれたキョーダイ」等、記憶に残るパンチラインを放ち続けるノックアウト・アーティスト＝GKがキャリア初のアルバム。勿論、その内容はテープ・スタイルの『G.K. Funk Maryan Soul』とは異なり、インタールードを含め、全12曲。エルドラドからの「土地土Forever／かけめぐる新宿ブルース」（共に制作はデヴ・ラージ）、えん突つからの「続・大災害／This Like That」（共に制作はDJヤス）といったクラシック・シングルの他、スイケン、ガマ、ゴアテックス、マカチン、ダボとの「Relax Matha Fucka」やイノヴェイター制作、ウヂ参加の「アーバン・トラップ」等、男気チューン満載の“染みる”一枚。

Capone-N-Noreaga / The Reunion (トイズファクトリー)

その名の通りの“リユニオン”作。相棒カポーンが務所暮ししている間に "Super Thug" 等のヒットで、ソロMCとして充分過ぎる程の成功を手に入れていたノリエガだが、やはり再び2人揃うと何か違う。異様な“緊張感”を漲らせた本作にはプロデューサーにDJスクラッチ、プレミア、SPK、アルケミスト、LES、グリース、ロード・フィネス、等が集結。前作で決定づけたクイーンズ・スタイルを次のレヴェルへと押し上げた。これまで以上に“本気”なノリ、“殺気倍増”のカポーンに注目！ 日本盤にはワタライのリミックスも！

King 3LDK / Psychosoul Overdrive（V2)

Dassen 3での活動の他、多方面でトラック・メイカー／DJとして活躍中の3LDKが自身のレーベル、オートロック・レーベルよりミックス・テープ、12吋盤「New(s)」に次いでフル・アルバムをドロップ。スイケンをFeat.したその先行曲の他、本作と同時カットのトラック物「Break Kit」、DJケント（フォース・オブ・ネイチャー）との「Agent K」やMCジョー、マーク林（ブルービート・プレーヤーズ）参加曲、と話題に事欠かない一枚だが、彼独自のスタンス（＝異端児）が滲み出たトラック群、その味わい深いビート（それが主役）こそを聴いて貰いたい。

V.A. / Chill Side（ID）

DJタイジ、DJトモ等がDJを務めるレギュラー・パーティ "B-Dash" 等で知られる横浜のクラブ＝LOGOSが立ち上げた新レーベルの第一弾。参加したのは札幌のハドロックファーム、仙台の夜光虫、名古屋のマダラ、大阪のワード・スウィンガーズ、福岡の802フレイヴァー、そしてレーベルのお膝元となる横浜からはコーヘイ・ジャパン＆DJフレッシュとDJタイジ（K.O.D.P.）。正直、力の差がはっきり出ている感は拭えないが、こうしたムーヴメントが現場レヴェルで発信される（しかも首都圏外で）ことは重要。10月中も各地でリリース・イヴェントがあるので要チェック。

イルムラ / Back Bone（東雲）

昨年、B-Boy Park“MCバトル”にて無名の存在ながら3位に食い込み、その名を広く知らしめた富山出身のILL MC＝イルムラの初EP。レコーディング作品では、ポチョムキンのEPにフィーチャーされていたのも記憶に新しいが、ここでの彼のスタイルは更に新しく、自らのプロデュース・ユニット、“最先端恐怖企画”の劇的なビートの洪水と張り合う様な言葉の嵐で聴く者を圧倒する。いわゆるヒップホップの“記号”を全て無視したかの様な痛快作。