年中夏のジャマイカも、夏は一番夏らしくジャマイカらしい。海外からの帰省ジャマイカ人も多く、クリスマスとイースターに次いでイベントの多いとき。独立記念日や奴隷解放記念日で盛り上がり、タイトでタフなイベントが各地で目白押し。ダンスホールばかりでなくスカ、ルーツ、ヒップホップ、ゴスペルと色々聴けるシーズンでもある。なのに夏に来ジャマする日本人が少ないのは淋しすぎる。ということで今夏好評だったイベントを紹介してみよう。

●スカ・マニア(キングストン&マンデビル)
 おなじみ「ハイネケン・スタータイム」(懐メロショーのシリーズ)のスカ特集。今回の出演はスカタライツ、プリンス・バスターズ、クラレンドニアンズ等、まさにスカ夢の祭典。観客の年齢層は高く、ゆったりと見られてタイムスリップ的雰囲気を楽しめる。次回の「ハイネケン・スタータイム」はロック・ステディ特集で、10月末の予定。

●Fully Loaded (フォートクラレンスビーチ)
 1万人が集まった「フリー・ローデッド」は超盛況なビッグ・ダンス。この手のアップタウンなダンスは、主催社名と場所と日付さえ看板にあればそれで人が集まってしまう。何十人ものアーティストの顔が載った、カラフルなポスターのステージ・ショーとはわけがちがう。人気DJもいっぱいパッシング・スルーして、司会はスプラガ。DJが司会したりセレクターしたりするのが最近の傾向だ。ここ2年間はTony″メンタリーイル″Matterhornの独断場だったのが、今年のニュー・スターはマイアミからのセレクター、Khaled、スクラッチの荒業で先進国スタイルを見せつける。が、ワイクレフのステージであいにくの雨、ダンスは尻切れ…。

●Reggae Sumfest 2000(モンティゴベイ)
 4晩で5万人入ったレゲエ最大イベント、「サンフェス」。2年連続ベスト・パフォーマンスはケイプルトン。会場を火まるけにし、7回のアンコールを頂戴した。そしてワイクレフ、ジェイ-Z、ジョー、サード・ワールド、スティール・パルス、モーガン・ヘリテイジ、スカタライツ、ベレス・ハモンド、タント・メトロ&デヴォンテ、ルチアーノ、ミスター・レックス、ベガス、エレファントマン、マッド・アンジュ、レディ・ソウ…と書ききれないくらいだ。最近ショッキング・ヴァイブスに出戻ったレディ・ソウ、ステージがロウ(なま)すぎてモベイの市会議員を怒らせたとか。来年の「サンフェス」はビガー&ベター、早めに航空券の予約をして来てね。

●ゴスペル・トレイン(全国各地)
 トミー・コーワンが主催するゴスペル・ショー。ゴスペルの最強チーム、カーリン・デイヴィス、ジュニア・タッカー、パパ・サン、ルーテナント・スティッチー、ジュディ・モワット、シェヴィル・フランクリンらによるゴスペル巡礼ツアー。ゴスペルは当然クリスチャンに強く支持されており、ハーフウエイツリーにはゴスペル専用のカセットテープ屋台があるくらいだ。ハレルヤー!

●チャンピオンズ・イン・アクション(フォートクラレンスビーチ)
 ゲットーのドンが主催するバッドマン・ステージ・ショー。このステージで失敗すると後がこわい、なんてしがらみがあるのかはさておいて、どのアーティストもGive Dem Full 100のパフォーマンスを見せてくれる。この手のショーにはやはりニンジャマン。凝視と静止で相変わらずの存在感だ。今年は最後にボウンティ、ビーニ、シズラが一同に会してステージが終わった。レゲエ平和連合の波がじわじわと押し寄せた感じ。お次はビーニとケイプルトンの和解、かな?

●ビーニ・マン・バースデー・バッシュ(モンティゴベイ)
 ドクターRas Mosesビーニ、27歳のお誕生会。お祝いに駆けつけたのはショッキング・ヴァイブス・クルーを始め、ミスター・レックス、キャプテン・バーキー&ウイッカーマン、ニッティ・クッチー、そして全身黒で固めた(Dressed To Killお気に入りのスタイル)ボウンティ・キラー。7月にボウンティの誕生会に来てくれたビーニへのお礼の参加か。平和モード頂点に達する。

●ルーツロック(MXV・ネグリル)
 ケイプルトン、ココ・ティー、バリントン・リーヴィ、ジョージ・ヌックス、グレン・ワシントンとそうそうたるメンバーでJ$500(千5百円)は良心的。バリントン・リーヴィは3年ぶりのジャマイカでのステージ、グレン・ワシントンに至っては19年ぶりだそうだ。レディ・ソウのステージは前述の「サンフェス」とは違い、カルチュラルでクリーンだった。

●ベビー・シャム新作CD発表会(キングストン)
 バビロンボーイとフラウンズマンで今やジャマイカ島を揺する勢いのシャム。通常アルバム発表会というのはご大層にもヒルトンホテルやペガサスホテルで音楽関係者のみを招いたパーティなのだが、そこはみんなの兄貴、シャムのこと、子供達を優先にしたパーティだった。子供達には新学期に備え文房具のプレゼントつき、CDは会場でJ$500で売るというサービスぶり。最後にシャム感涙、WOW!

●Sashi(ジェームズ・ボンド・ビーチ・オラカベッサ)
 オーチョリオスの近郊にあるこの場所でのイベントは、入場料J$2000(約6千円)と高価だが、観光客ばかりかキングストンからも多く人が集まり、「サシ」は夏のイベントとして定着した。TOK、ミスター・レックスのローカルアクトの後、スヌープ・ドギ・ドッグ、リルキム、ブライアン・マクナイトらが出演。ローカルではレックス、海外ではマクナイト、ジャマイカン・ギャルの選ぶセクシーな男No.1が出るとあって、ギャルデムがステージに貼りついての熱狂ぶり。女のコたちの黄色い歓声に上半身裸で答えるレックス(この人とベガスは裸になるのが好きだ)。ギャルデムはレックスが脱いだシャツの切れ端を奪い合い、ずっと握り締めていた。リルキムのステージは、ジャマイカとアメリカのカルチャーの違いに引く人も多かったけど。

 シャンパンを開けてクルーと飲む、というシーンをダンスでよく見かけるが、シャンパンをケースで買うパトロンがいたのには驚き。ビールのケース買いだって珍しいのに、さすがサシ。ビールといえばレッドストライプにライトが新発売。
 
More Music, More Love! 来年こそは、Deh Deh!