日本レゲエ界屈指のキャラクターの持ち主、リョウ・ザ・スカイウォーカー、アキ&ソルトフィッシュ、三木道造三がこの夏こぞってマキシ・シングルをリリース。まずはメジャー進出のリョウから。

 

 カジノ891からのリリースも順調(NGヘッドとの「Style & MC」も要チェック)な″西向く侍″リョウ・ザ・スカイウォーカーが満を持してメジャー・デビュー!
 その新天地となったのはシュガー・ソウル、スチャダラ・パー、テイ・トーワ等、個性的なアーティスト/クリエイター達が集うレーベルとして知られるWEA AKAレコーズ(そう言えばシュガー・ソウル、ラム・ジャム・ワールドのアルバムにも参加してた!)で、記念すべき第一弾シングルがこの「Sunny Day Walk」になる。プロデュースは本誌読者には説明不要の大物=ボビー″デジタル″ディクソンで、最近では珍しいゆったりどっしりしたベースラインに、ワン・ドロップとナイヤビンギ・ドラムが印象的なトラックに。クリアーでいてパンチのある音の打ち出しと抜き差しは″さすがボビー!!″だし、とにかく聴く程にアジの出てくる仕上り、だ。

 肝心なリョウのフロウもダイナミックの一言。日本シーンきってのライム・テクニシャンの彼だけに今回も、あの嵐の様なファスト・フロウ&ライム遊戯を期待した向きも多いだろうが、それは彼の数多い引出しの中の一つに過ぎない事が、このシングルで明らかになるだろう。太陽の熱い日差しを浴びて心を解放する…そんな光景が目に浮かぶナイス・チューン、である。ではここで彼の最新インタビューを(インタビューはツアー中で多忙を極める中、ファックスで行った)。

●「Sunny Day Walk」は今迄のマテリアルに無かったタイプの曲だと思うけど、この曲をやろうと思ったのは?
リョウ・ザ・スカイウォーカー(以下R):今迄レゲエに触れた事のない人への階段になればいいと思って。

●次に控えてるミニ・アルバムの内容を簡単に教えて。
R:初めての人への挨拶代わり。俺の喜怒哀楽が詰まっています。

●参加プロデューサー、トラックについてコメントを。
R:王道あり、実験あり、偶然あり、広い意味でそれぞれレゲエになってると思います。

●ジャマイカ、日本各々のレゲエ・シーンについて思うところを。
R:ジャマイカはもうどう転んでもレゲエなので心配なし。日本のシーンにはもっと自由を。

●メジャーに活動の場を拡げるにあたっての展望は?
R:あくまで今まで通りの姿勢で、メジャーの人間をこっちに引っ張りこんでひっくり返していきたい。もっとレゲエを!

●今、一番気になるアーティスト、プロデューサー、トラックを挙げて。
R:アーティストは自分、プロデューサーは″アネックス″のガダフィ、トラックは "Gravity" 。

●8〜9月も各地で「Style & MC」のツアーが予定されているが、ライヴについても一言。
R:細かく色んな所にいくので騒ぎに来て下さい。またがるVibes!

●最後に今後の予定を。
R:死ぬまでKeep Moving。

 というワケで、9月にはリリースされるミニ・アルバムは先の「Sunny〜」(シングルのみボビーの弟子=デヴィッド・アングリンのミックスとダブも入る!)の他、シャカゾンビのツッチー制作曲、朝本浩文制作曲(DJハセベの『Adore』に入ってたエミコをフィーチュア)の他、ダブやリミックスも収録されるとか。うち一組はあのドライ&ヘヴィーに決定。とにかく並じゃない大志を抱いたレゲエ・ワルセイダー=リョウの活躍に期待しよう!

●アキ&ソルトフィッシュ
 続いてはアキ&ソルトフィッシュ、約一年ぶりのマキシ「明日は明日」。これまでもロックンロール・チューン等、ファンの意表を突くシングルを夏に合わせてリリースしてきた彼らだけあって今回は一体?と思われる向きも多いと思うが、本作は一言で言ってラヴァーズ・タッチの″やさしい歌″。アキソルは御意見無用でぶっトバすスタイルで不良達の支持を集めていると思われがちだが、これまでのアルバムやステージに接した事のある人なら、ファンがいかにアキソルの″うた″を求めてるか、シンガロングしたいか、よく判ってるだろう。

 明日は明日、ただそれだけ
 てめえで決めろ てめえの運命
 明日は明日、ただそれだけ
 見つけだせ、何か それがさだめ

 アキソルだからこそ説得力を持つこのサビは歌わずにいられないのでは? 抑制が効いたうたの中にも男気をギラリと光らせる辺りは真骨頂。ラガマティックス等多方面での活躍で知られる本物のマルチ・ミュージシャン=森俊也を共同プロデューサーに迎えた、くり&そつ(つまりはアキソル)制作のトラックも◎。リミックスの方はイイ意味で80年代後半のジャミーズの雰囲気にアキならではの遊び心を加えたトラックで現場ウケも期待出来る。もう一曲の「Draw Card」は一転してフレッシュな掛け合いが楽しめるハードな一撃。謎が謎を呼ぶギタリスト=小林恒の狂気のギター・ソロにも注目。最後に本人達からのメッセージを。

 「今回もまたこんな感じなモンが出来ました。まあ良かったら聴いてやって下さい。オレんたぁはいつも自分勝手にやりたい様にやってるもんだで、こんなオレんたぁの事を期待しててくれてる人たちには迷惑をかけることも多いかも知れんけど、申し訳ないと思っとる。でも、最終的には絶対みんなの期待を裏切らんで、これからも楽しみにしとって!」

●三木道三
 
 
マキシ三連発、最後を飾るのは待望の風来坊、三木道三、徳間ジャパンに移籍して、正に待望の「斬る!ジャパニーズ」。名曲「JAPAN一番」をアップデートした日本国、日本人応援歌となるこの曲は、リリックの展開が新しく、フロウも変幻自在で、待ってた甲斐アリの濃ゆ〜い一曲。トラックを手掛けたのはあのJA人間国宝=スティーリィ&クリーヴィで、ベースが異常な程に前に出たニュー・リディム、その名も "Kill Japanese" 斬れ味も凄まじい。

 併録曲「肌の色」は早くもステージで何度も試し斬りされた、三木道三らしい大らかなラヴ・ソング。そう「肌の色は違うけど…」というアレのこと。ムーミンの絶賛の「I Say」すらも越えたか、という歌いっぷりと、日本のフェスティバルでもおなじみ809バンド&スライ・ダンバーによるスケールの大きなミディアム・トラック "Skin" が溶け合う様は感動的ですらある。またこの2曲は大和レコーディングスより各々7吋盤も出るが、それぞれ500枚ほどのプレスとか。これは早めに押さえとくのが手! 詳細は大和レコーディングスのHP〈www.yamato-rec.com〉で。また関西方面の人は『カスタマ』誌の連載ページ″三木道三のいやなんぎやで″もチェックしよう。


 その他話題のリリース物ではキーコの「晴れ」辺りか。チョウゼン・リーをフィーチュアした「Spiral Squall」のダンスホール・ミックス(上代学が担当!)なんてかなり調子いい。