デタミネーションズ、初の東京単独ライヴでオープニングDJを務めてくれた、こだま和文とリトル・テンポの土生剛両氏からメッセージ。
●こだま和文
昔、中国のとある村に、僧侶や詩人達が集まって漢詩の会を開く寺があった。ある時、ひとりの名もない通りすがりの男が、その寺にふらりと立ち寄った。男は「あなたがたの書いた詩はくだらない」と吐き捨てた。集まっていた僧侶や詩人達は怒り「そんなことを言うのなら、おまえが書いてみろ」と男に迫った。男はその場で壮大な漢詩を一気に書き上げ、立ち去った。寺には今もその男の漢詩が刻まれているという。
デタミネーションズ(以下デタミ)に因んで、なぜこんなパクリ話を思い出したのかわからないが、たぶんそれは、先日観た、原宿アストロホールでのデタミのライブにおけるヴォーカル高津直由の凛としてマイクに向かう姿のせいだろう。一言で言えば″無敵″ということだ。僕が思う無敵というのは誰よりも強いという意味ではない。むしろ、強いとか弱いとか、偉いとか偉くないとかそんな事とは無関係に凛として立てば敵をつくらないという意味だ。
僕の悪友でありA&Rの薮下晃正はデタミの新譜『full of determi-nation』を買ってきてすぐに一言「とにかくシャレてるんだよ!」と興奮していた。内容のいろんな良さを語るにはあまりにもぬけの良すぎる一言だった。薮下の言う「シャレている」というのは高津直由の言う「粋」と同意であろう。
僕の周りでいま、″シャレている″と使う場合、そこにはいろんな良さを感じて高まる気持ちを表現するのが大変で、逆に一言でさらりと言ってのける感があるのを分っていただけるだろうか。
デタミは、今度のアルバムで大きくなった。確かにシャレているし、ルーディーだし、スカな連中だ。でももうそういうことだけじゃないところにデタミは来ている。例えばそれはスカタライツよりも、ドン・ドラモンドのスピリットに近く、スカ以上にアフリカン・ビートを感じさせるということだ。高津の曲「In
The Shade」での演奏はシャレたノイズサンプリングと相まってジャマイカン・ファンクネスな感じさえしてくるのだ。
アストロホールでのライブの時、僕のつたないDJでデタミがスタンバイすることになったのだが、スカタライツの「ファー・イースト」からあえてつないでジャンゴラインハルトの「マイナー・スイング」を最後のディスクにしたのは、デタミに″ジプシー感覚″を感じはじめたからだ。大阪とか日本のとかジャマイカのということではくくれない、救われるべき 人々のためにあるスピリット・マインドを感じさせるということだ。ECの言う″SKAを越えたSKA
BAND″という意味もそのあたりにあるのかもしれない。
●土生 "Tico" 剛(リトル・テンポ)
デタミネーションズの音楽には毒得なニオイがある。そのニオイはいつもオレをスカッ!っとさせてくれるのです。
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