マッド教授のリミックス・ワーク。それがどれほどディープでグローバルなものなのかは、UKレゲエ狂でなくともどこかで耳にしているハズだ。シャーデー、ビースティ・ボーイズ、ジャミロクワイ、デペッシュ・モード、ソウル・コフィンにランシド等々。その他、レゲエ・ミュージックに関係の深いトコロでは、リンディ・レイトンやプリンセス・エリカ、そして言わずもがなのUB40やホレス・アンディも、そう。それらのリミックスにはラヴァーズ・タッチのモノも含まれているが、基本となるのは矢張りダブ、だった。 リミキサーとしての彼が一際注目を集めるようになったのは、91年のジ・オーブとの仕事だったように思う。当時と言えばUKダンス・シーンでも広く″ダブ″を取り入れる試みが流行していて、アンディ・ウェザーオールやポール・オークンフォルド、ユースといったハウス、テクノ畑のプロデューサー達もON-Uと絡んだりしていて、マッド教授にも当然の様に声がかかる様になった。そこで、本格的なダブ・マスターが見せた″ダブの手腕/効果″は説得力バツグン、だった。 「そうだね。そうした色んなアーティストとの仕事は単純に楽しかったし、ダブの新しい面を提示出来たと思うよ。中でも一番気に入っている仕事は何かって? そりゃあ、マッシヴ・アタックのダブ・アルバムだね。私のキャリアの中でも特別な作品だよ。これからダブは間違いなく進化する。テクノロジーの発達とリンクする形でね」。 マッド教授が語る様に、″ダビーなサウンド″をいち早く世界的に広める事に成功したブリストルのマッシヴ・アタックとの邂逅は今だ忘れ得ぬ″衝撃″である。オーバーヒートから6月21日に発売される "The MADdest Ariwa Collections" シリーズ第三弾『マッド・プロフェッサー2000』で聴ける様なフューチャー・ダブ路線は決してハッタリなどではなく、そうした最先端のクリエイター達からも認められたモノ、だと言う事をお忘れなく! あと最近の″お仕事″では、あの驚きの声の持ち主=ミシカのデビュー作に、柔らかなダブワイズを施したその名も『Mishka In Dub』が素晴らしい! この相性の良さは中々類を見ないほど(そう言えばミシカも″クリエイション″のアーティストだった…)。 また日本人アーティストとの仕事となると、UA、ムーミン、サイレント・ポエツ、ザ・ブーム、ラム・ジャム・ワールド等、その数も凄まじい(ここに日本の音楽家、レーベルの良心が見える!)が、個人的にはヤン富田制作の異色コンピ『シーヤ!』でのダブ・ミックスには相当お世話になりました、というコトを付け加えておきたい。 |