2000年6月号
 


Pater "Morgan Heritage"

 Greetings folks,
3月に行われたKentish TownはForum でのMorgan Heritageのショウはとにかく熱かった。自分達の才能や素質、メッセージに充分な自信を持ち始めた彼等は、今や他を寄せ付けない位の、まさにトップ・クオリティと言えるライヴを披露するグループと断言してよいであろう。まずはMorgan兄弟の若手3人組、L.M.S.がルーツ、ラップ、ポップスを見事に調和させた演奏で会場を暖める事に成功。年上の方のHeritageが商業的なサクセスを得るべく、頑固過ぎる程にレゲエ・ルーツ&カルチャーをそのベースに置く傍らで、L.M.S.は兄達の物足りない部分を素直に補っているようである。数年後、L.M.S.がメジャーなポップ・スターとなっていても、私は驚かないであろう。次に出てきたDaddy Denroy Morgan、彼等と同じ方向性でやっていくには少々歳を取り過ぎたという事実は否めないが、それでもステージに立つ彼を見ていると、この一家の音楽的才能がどこから生まれたか、そのルーツを再確認する事が出来る。彼はグループの一番若い世代と変わらない位、まだまだ好奇心旺盛で、もしかしたらそれを上回っているのではないだろうか? うまく素材をブレンドさせた演奏は素晴らしく、たまたまやったファンク・ナンバーでも観客のリスペクトと拍手を受けた。そしてもちろんMorgan Heritage、彼等は何をやっても向かうところ敵ナシ。自分達のオリジナルを歌い演奏する正統派バンドとして、彼等には自分達の進むべく方向性やそのスタイルへ驀進していくだけのエネルギーと情熱がきちんと備わっている。選曲もうまくバランスが取れていたが、ただ一つ欲を言えばGrampsにキーボードの後ろからもっと前に出て来て欲しかった、という事くらいか。最後には Mother Morganがステージに上がり、感謝を込めて一言、二言しゃべり、このファミリー・アフェアーを締めくくった。本当に見応えのある、素晴らしいショウであった。彼等は観るたびに大きく成長していくようである。


Roy "Morgan Heritage"


同じくギグを重ねる度にその成長ぶりが著しいのは地元バンド、Intensifiedである。既にヨーロッパで多数のギグがスケジュールされており、近日中に彼等はそのキックオフとなるスイス、フランスへと飛び立つそう。また彼等は最新アルバム、『Faceman Sound 』でヘヴィ・メタル雑誌(!!!)からRecord Collectorまで、それはそれは様々な分野の活字メディアからかなり好感的な評価を得ている。日本の諸君は、彼等をそちらに呼ぶべくプロモーターにアプローチするべし!!

この原稿を執筆している今現在、元Coxsoneのサウンドマン…現在は国際的に有名なルーツ・スターであるLevi Rootsはジャマイカを訪問している真っ最中である。島でヴァケーションを楽しむ一方で、次のシングルのヴィデオ撮りも行うらしい。同行スタッフに、自分をとオファーしたが残念ながら今回、写真家は必要ないとの事。無念。


Wisodom

数週間前、Benji Bejahmanに偶然ばったりと出くわし、あまりの嬉しさに今だ興奮気味の私である。彼はパッカーショニストであり、私が長年知っているLadbroke Grove出身のルーツ・バンド、Wisdom BandでMarcus Millionと共にフロントマンを勤める人物である。彼等はレゲエ業界のありとあらゆる所から高い評価を受けているセカンド・アルバム『Who Feels It』を完成させたばかり。10年前に「Signs Of The Times」でデビューして以来、Wisdomは主にツアー活動に力を入れ、ヨーロッパ、スカンジナヴィア、アフリカ、中近東アジアと幅広い。最近ではジャマイカに於てMighty Diamondsと共に仕事をしていたというから、彼等の扱うクオリティは想像出来るであろう。Anchor StudioにてPaul Daleyがミックスを行なった「Who Feels It」は今現在、まだ市場に出回っていないがリリースされ次第、真っ先に諸君に報告するとしよう。
 それではまた次号。
Take very good care of yourselves.
                           
[訳/有賀由紀子]