1999年12月号

BEN THE ACE / Dragon 2000 Mix Tape Vol.1
~Funk Special
(Spellbound)

ネタ師/トラック・メイカーとして名を馳せるNY在住のベン・ザ・エースが放つミックス・テープ新シリーズ "Dragon 2000" の第一弾はクールなファンク物。ゴズィーラのテーマで幕を明け、ラ○・デ○ガ「Tight」ネタ等、タイムリーなトラックがズラリ44曲(トラック・リスト有)。彼と言えば以前 "Pヴァイン" からも秀逸なセレクション物コンピを手掛けていたがこの一本は "ミックス・テープならでは" の決定版になりそう。全体の流れ、ヴァイブも文句ナシ!

DJ MISSIE / Hip Hop Volume1

『Drop The Needle』等の傑作ミックス・テープでもお馴染みDJミッシー(From B'T-X,Tokyo Relax)の新作は、90年代前半のクラシックにコダワった逸品。オン・タイムで聴いてた人はモチロンのこと、今からこの辺りを攻めてみようというビギナーの人にとっても嬉しい内容。聴かせドコロは選曲だけでなく、ハメの効いたスクラッチ(これが本当に格好イイ)を含めた構成の素晴らしさ。要所でフィーチュアされているDJノリーのコスリも効果的で売り切れ必至の一本に。

熱帯雨林 / Entotsu All Stars Live (えん突つ)

今年2月24日Kuaileで行われた、ご存じ "熱帯雨林" の公式ライヴ・テープ。フィーチュアリング・アーティストはえん突つオールスターズでMC陣は新作が待ち遠しいリノ・ラティーナ2にガマ、GKマーヤン、ユウザロック★、ツイギーでセットに付いたのはDJアメケン、DJヤス、DJユゼ、504、DJミッシー他。幾多の名フレーズを交えてトバしまくるリノを筆頭にニュー・アルバムのお披露目も兼ねていたツイギーまで "生" でしか味わえないエキサイトメントを満載。

TONY TOUCH / The Piece Maker (トイズファクトリー)

ここ日本でもミックス・テープやパーティを通じて信頼度の高い人気DJトニー・タッチが "MC" としての初アルバムをドロップ。とは言え全曲、バリバリに一線級のMC(バスタ、エミネム、ウータン、D.I.T.C.からケイン、Gラップ、KRSワンまで!)をフィーチュアし、それがプレミアやマグス、アルケミストらのブランニュー・ビートに乗っかるのだから期待するなという方が無理な話。主役のスパニッシュを交えたライムの快調さはジブラとの共演曲でも聴けた通り。日本盤のみトータルが唄うシングル曲のMuroによるリミックスが追加収録!

RAH DIGGA / Dirty Harriet(east west)

フリップ・モードのリル・ママ、満を持しての1stソロ。地元NJのクルー=アウトサイダーズにも身を置いていた彼女は数々のアングラ・シットからフージーズの2ndまでに登場しそのスキルを見せつけてきたが、全てはこのアルバムに過ぎなかった。90年代最後のクラシックと呼び声も高い「Tight」を始め、ビートマイナーズ、ピート・ロック他による魂心のトラック群に切れ味抜群のフロウが映える強力盤。話題のバスタ参加曲は「Pass The Dutchie」の替歌だったりする。

BIG PUN / Yeeeah Baby (ソニー)

今年2月に帰らぬ人となったビッグ・パンの2nd。ブレスが少ない事でも有名なあのロンゲスL・フロウでエネルギッシュにキメまくる様は当然ながら今も生々しい。テラー・スクワッドのアルバムの雰囲気にやや近いダークな部分と、前作以上にきらびやかなバウンス路線が絶妙に配合され最後まで聴き手を飽きさせないのも流石はミリオン・アーティストといった感じ。MOPからドネル・ジョーンズまでゲストの絡みも的を得ていたのだが…。R.I.P.いいアルバムだ。

JERU THE DAMAJA / Supa Human Klik (Knowsavage)

かねてから不仲説が囁かれていたギャング・スターとジェルー。そしてジェルーことマイクの神が宿った達磨大師(その実、ラスタなのだが)は独立した。トラック・メイカー、エンジニアを兼任し、セルフ・レーベルで心ゆくまで練り上げたのがこの3rd。その自前オケは予想以上にタイトで、持ち前のバトルライムをキッチリと活かし切っている。フォクシーに向けた例のディス曲の続き等、相変わらず辛辣な言葉の数々が耳に突き刺さるが、アートとしての高潔さは保たれている。良作。

V.A. / ライム・オデッセイ 2001(Pヴァイン)

ディープ・ハウスだけでは語れない多様性が目立つ "ガイダンス" (デ・ラ関係の音源もあった…)が独自の視点で制作編集した地下物コンピ。AGとカット・ケミスト、IGオフ&ハザダス、ハイ&マイティ、ダイレイテッド・ピープルズ、ア・フーラ、ミッシング・リンクス、スウォーレン・メンバーズ等、勢いのいいメジャー新参組を含め、既発曲もクラシックの名に値するトラックが選び抜かれている。故ビッグ・Lの「Ebonics」やコモンの初期曲のリミックスも今だ新鮮。LAのP.U.T.SとDr.ウープスの存在も見逃せない。

マイカデリック / Funk ジャンク創刊号(P-ヴァイン)

「マイク8段イル・サムライ、星一徹のちゃぶ台より危ない」等の危険球ライムで問題の、ダースレイダー、サナダジンからなる2MCユニット=マイカデリック。その先行曲「この男凶暴につき」を含む10曲入りの初アルバムは強烈にニオい立つ "濃い濃いライム・ワールド"。ニヤリと笑える部分も含めて「これはファンクだ!」と言い切れる最近では稀な怪作。DJオショー、DJイタオの捻出するトラックもかなり個性的だ。

ノンフィクション / Black Helicopters(マタドール)

アーソニスツと同じビッグ・インディーズ "マタドール" に移籍したノンフィクションのNEW。今回はネクロ絡みではないが、タイトル曲は和物ネタで話題を呼び、日本語ラップのアカペラとのブレンドが秘かに流行っている始末(イーデンやデッドプレズもそう)。対するB面「The Got」はこれまで通りの良質アンダー路線でストリングスの上物もいい感じ。イル・ビル、ゴアテックス、サバックレッドの3MCはやっぱカッコ良スギ。イル・ビルのソロEPも要チェック!

ラッパ我リヤ / Do The Gariya Thing(ビクター)

ドラゴンアッシュとの「Deep Impact」の大量オンエアで人気爆発の我リヤ(いいことだ)。例の『Mad Max』他、その露出量も普通じゃなかったので久しぶりという気はしないが、実は久々のNew。しかもメジャー移籍第一弾。フマキラーのトラックも冴えてる表題曲は改めて彼らの名刺替りとなる必殺チューン。DJワタライのクールなリミックスがまた我リヤの放つムードと合わないようで合ってるスグレ物。"機関銃ライム" もライムフェチ全開。『Do The Right Thing』ネタのジャケも最高。売れまくって欲しい。

キエるマキュウ / ナゼナラ(第三の忍者)

CQとマキ・ザ・マジックのドクトク義兄弟ユニット=キエるマキュウのシングルもこれで3枚目(ライムスターのリミックスでも大変なことになってた!)。今回も2人の人間性の面白さ、病み加減が十二分に出た名言(パンチライン)の連続。「ナゼナラ」は単純にフロア映えするグッド・ヴァイブのトラックだし、裏面曲「抜け忍」も妙に心に引っ掛かるギターのループが抜け忍の孤独さを演出?何気なく全編にガヤ(というか普通のべしゃり)が流れているという構成にもヤラレる。