NBAも終盤になり、パトリック・ユーイングの生還ぶりを見られましたか? 数シーズンに渡って不調だった彼も遂に最後は根性を見せた、という位のファイト振りだが、今年もリーグではマイアミにつぐ2位をキープし続けただけで、プレイ・オフもまた厳しい感じだが、幸運を祈る? ヒップホップ的には2、3月っていつも地味なんだけど、ラフ・ライダースと、キャシュ・マニー・ミリオンネラーズのカップリング・ツアーが全米で行われていて、盛況である。なんでもパフ・ダディとファミリーのツアー以来そして以上のアリーナ・ツアーらしいが、観客はパフ・ダディよろしく人種が完全に混ざっている。ヒップホップはその人種的に何かと攻撃に遇いやすかったが、地方の中流層にも完全に受け入れられた。いわば90年代からのアメリカのロックン・ロールに変った新しい若者文化となった様だ。つまり、今迄、アメリカでヒップなモノは、ロックン・ロールで、ロックン・ロールにどれだけなれるかが、そういうサブ・カルチャーに敏感な層が目指していた訳だったのが、どれだけヒップホップになれるか?という意識に変わっていった。その証拠に若い世代のアジア系や、白人層もイヴォニックスという名称もついたブラックのスラングで話している。もはや、人種の違いを超え、世界的なコミュニティを持つヒップホップだ。
●今月のシュア・ショット(Sure Shot:ハズレなし)
去年は数々の客演で健在な所を見せていたマッシュ・アウト・ポッシュ、MOPの新作が届いた。先行シングルの「G-Building」は、プロモ盤には、クレジットが無いから分らないが、得意のレイジー・レズ独特のロック・トラックの様だ。彼らのレーベルだったレラティヴィティが、ラウドに吸収されたのでラウドはアーティストの整理にかかっているらしいが、こいつらをドロップしたら、モブ・ディープをナショナル・レベルで売った快挙が泣くぜ?
●今月のスニーク・プレヴュー(Sneak Preview:オフィシャル前の予告)
Big Lのファーストに含まれていた「8 Iz Enuff」でリップしていたBig Twamが、DJスピナによる98年のシングルにフォローするレコーディングを行っている。暫く音沙汰がないアップ・タウン出身のラッパーがシーンに登場するのは嬉しい。プロダクションはスピナの続投と、Big
Twam周辺の地元プロデューサー起用との事。彼の兄弟分Big Kwanもアルバム制作中との事。KRSじゃないけどマンハッタンは常にクリエイトしてる?
●今月の出世
そのKRSが、意外なポジションについた。なんとワーナー・ブラザーズ系列のヒップホップのレーベルのA&Rに就任。ある意味での集金機関と、非難もあるテンプル・オヴ・ヒップホップはどうなったの?
●今月のNYPD(ニューヨーク市警察)
ブロンクスはサウンドヴューというマルチ・エスニックで、低所得者が多いエリアでアフリカ系移民、アマドゥール・ディアロ氏が丸腰なのに警官4人に射殺された事件で、2月25日のニューヨーク地方裁判所で無罪の判決となった。直後は、暴動が予測されたが、平和的なデモンストレーションのみで、騒ぎは起きなかったが、NYのマイノリティの感情は複雑だ。この裁判のディアロ氏の遺族のサポーターにもなっている黒人活動家、アル・シャープトンは民事に持ち込んででも正義を勝ち取ると表明、怒りをあらわにしている。しかしNYのマイノリティはすっかり虚勢されてるのか、おとなしい。タリブ・クエリとかなんで抗議コンサートとかやらないのかね? それよりワイクリフとか儲かったらしっかり政治的なチャリティーとかしかやらなくなってダセえよな?
●今月のビッグ・アップ・ニュース編
そのワイクリフが大統領候補、アル・ゴアのホット97のインタヴューでビッグ・アップされた。ワイクリフは、アル・ゴアを推薦する芸能人の一人として名乗りを上げている。インタヴューはゴア夫人がクリントン就任直後、ラップの歌詞などを問題にしてラップ排斥運動をしていた事について言及されていたもので、ゴア氏は「あの時代はヘヴィ・メタルもあって」とはぐらかしていた。ヒップホップのオーディエンスの票をも重要視する時代のアメリカ、マクラの話も少しは実感が湧いたかな?
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