今一番熱いリディム "Bellyas"、そして同じく昨年上半期を盛り上げた "Bada Bada" を生み出したトラック・メイカーにしてアーティスト集団、その名もWard 21。彼等が何故に″21世紀のレゲエ・シーンをリードするに違いない存在″と呼ばれるかは、そのオリジナル・リディムで歌われた「Model & Pose」等を聴けばワカるだろう。

 とにかくそのセンスは極めて2000年的。ハイファイなノリに徹し、高圧的なキーボード。リフとチョップしたベース・ラインで引っ張りつつ、ヴォイス・サンプルすらもグルーヴに取り入れるその手法は明らかに新世代トラック・メイカーの仕業、である。これはUSのヒップホップ/R&Bシーンで活躍中の″打ち込み主体のトラック職人″であるティンバランドや、ラフ・ライダーズ、ネプチューンズといった″JAレゲエから影響を受けたと思しき連中″のクリエイトするサウンドからのフィードバック現象と呼んでも差し支えないモノ、だろう。

 だが、現在の彼等Ward 21 には「これが今のJAの音なんだ!」という気概がみなぎっている。アーティストとしてのキャリアは確かにマダマダかもしれないが、カヴァーのアイディアやフロウに見えるセンスの良さはいなたさを超越したものを感じさせるのだ。スケアデム・クルー・クラス、イヤそれ以上のスゴい奴等に成長する事は間違いない。

 では、そんな彼等のこれまでの足跡を簡単にご紹介するとしよう。Ward 21の構成員はリーダーの″スク″ことアンドレ・グレイ、ソングライターである″クンリー″ことクンリー・マッカーシー、″ランブラッド″ことラナルド・エヴァンス、″ミーン・ドッグ″ことマーク・ヘンリーの4人。で、その平均年齢は26才、と言えば他の″若手″と呼ばれるDJ、シンガー達と比べて決して若くはない事に気付くだろう。
 
 実は彼等各々のキャリアは80年代中盤〜後半、サウンド・システムのオペレーター等の″裏方″からスタートしている。スクとクンリーの2人はロード・ソニックでオペレーターを始めクンリーに至ってはファブ・ファイブのロード・クルーとしても動いていた。そしてスクは、ジャミーズ・スタジオの近所に住み、幼い頃からそのスタジオに出入りしていたマーク・ヘンリーを通じて94年にキング・ジャミーに弟子入りし、ダブ・カットのエンジニアを任されるようになる。

 クンリーと、かつてアッシーにいたランブラッドもその頃スクに誘われジャミーの下に集まり、彼等は各々アシスタント・エンジニア、アレンジャー、サウンド・システム・オペレーター、セレクターとして活躍する(ミーン・ドッグは94年のバウンティ・キラーのツアーにもエンジニアとして帯同された)。スクはその間、数々のレコーディングを通じてトラック作りのノウハウを体得、98年頃からトラック・メイキングにも関り、"Hot Lover" 、"Swing" 等のオリジナル・リディムを生み出した。

 そしてWard21という名のクルーが自然発生的に完成した99年には400曲以上のヴォイスが録られた。例の "Bada Bada" で一躍″旬のトラック・メイカー″の仲間入りを果たし、Ward 21も「Haters」のビッグ・ヒットでアーティストとしてもブレイクを果たした。また彼等の存在は暫く大きなトピックのなかったジャミーズを盛り立てシーンを活性化させ、彼等自身がクリエイティヴ・コントロールの舵を握る新銘柄、メンタリー・ディスターブドもヒットを連発。ブラック・スコーピオ等の他レーベルでの仕事も目立ってきた(あのカエル・スタジオのレーベル、スカイズ・ザ・リミットからの「ゲス・ホワット?」もそう!)。

 という訳で彼等は2000年のシーンを思いっ切り騒がせてくれるハズ。期待しスギて損はない。