2000年4月号  

 


Joe Higgs

 Greetings friends,
諸君にとってはもう古いニュースかもしれないが、それでもショックは隠せない。様々な世代のシンガー達やその他大勢の人間に多大なるインスピレーションを与えていたCurtis Mayfieldが去年のクリスマス直前、この世を去った。車椅子のお世話になる結果となってしまった数年前のステージでの事故から完全に回復していなかったが、感謝すべき事は、この偉大な男はまだ生きているうちからその人生と仕事ぶりが世間から評価されていたという事である。

Curtisの突然の死去も驚きであるが、ベテラン・シンガー/ソングライターであるJoe Higgsの死去にはもっと驚きである。1940年生まれのHiggsは他の同世代のアーティスト達と同じように、50年代当時人気のあった伝説的なタレント・コンテスト(現在も規模は小さくなったものの根強い人気)に出場、Higgs and Wilsonの片割れとしてそのキャリアをスタートし、たちまち有名となった。Studio One、Prince Buster、Tre-asure Isleを経て最終的にはソロ・アーティストとなったHiggsであるが、それ以前は政治家の Edward Seagaの下で仕事をしていたという珍しいキャリアも。彼はWailersのヴォーカル・レッスンを担当し、彼等をStudio OneのMr. Doddに紹介した人物としても有名で、後にWailersと系統が似ているWailing Soulsの為にも同じ様な仕事をしている。数々の貴重なレコードやヒット曲をよそに、彼が最後までアンダーグラウンドにその名を落ち着かせていたのは、恐らく彼がとっつきにくく、相当気難しい人間であったという事が言えるであろう(およそ11年前、彼が昔の私のアパートにて過ごした週末は色々な意味で思い出深い)。彼の初期の3枚のアルバム、『Life Of Contradiction』('75)、『Unity Is Power』('79)、『Triumph』('85)はどれも全て素晴らしく、真剣に書かれたリリックと心温まるヴォーカルに良く考慮されたアレンジが施されている。後の『Family』('88)と『Blackman Know Thyself』('90)もそれぞれHiggsを語るにあたって重要な作品である。彼が数々のプロデューサーの下で作成した無類のシングルは、おそらく今後決定盤としてまとめられる事であろう。その人生の最後の15年間をほとんどアメリカにて過ごした Higgsは、短期間のガンとの戦いの末、99年12月18日、ロスにて息を引き取った。

先月、私の元に日本より珍しいCDのオファーがあった。Mighty Massa氏に感謝。Ska Flamesの Tohru Shigaki氏の助けを借り、Massaがミックス、アレンジからその殆どの演奏をこなしたというアルバム、『Love A Dub Style』は長年のサウンドマン、Jah Shaka(よーく見るとジャケット写真の一枚に日本人クルーと共に写っている)をお手本とした現在のUKルーツのスタイルにかなり近い、不屈のダブ作品である。

Blood & Fireからの最新リリースはCornell Campbellの『I Shall Not Remove』。内容は主に70年代、Bunny Leeの為にレコーディングされた作品からのセレクションである。欲を言えば「Gorgon」と「........Greenwich Farm」を丸々聞かされるよりも、もっとCornellらしい作品をチョイスして欲しかったが、それでもいつも通りとても良くまとまっている。このアルバム中、一番のオススメは「Bandulu」であろう。


Judge Dread
ちょうどこのコラムを書いている最中、Jetstarのプロモーション/ブッキング担当のDonald Deans氏から電話があり、今年予定されている二つのショウの事を教えてくれた。まずビッグなのは7月29日、Wembly Arenaを会場とする「Ska Festival」で、すでに出演が決定しているのは、Desmond Dekker、Prince Buster、The Skatalites、Laurel Aitken、Rico、Bad Mannersその他。もう一つは9月10日、ロンドンはKing's Crossにある、旧Scala Cine-maにて行われる「Judge Dread Tribute Night 」の第2弾である。ラインナップ等はまだ未定だが、情報が入り次第報告しよう。詳しい事はDonaldに直接電話で問い合わせを。0181・961・5818、もしくは07930・128190(携帯)まで。

先日ドイツのGroverレーベルより、新作CD3枚とメールオーダー専用のカタログが届いた。CDはまだきちんと聞いていないが、カタログ中ではレーベルのメールオーダー/営業を担当しているMoskitoによって全ての商品が紹介されており、なかなかの出来具合である。さらに詳しい事は、彼等のウェブ・サイトをチェックしてみては? アドレスはwww.grover.de

やっと待ちに待ったBobby 'Digital' Dixon プロデュース、Jah Maliの『Treasure Box』を聞く機会に恵まれた(今現在、リリース日は未発表)。前作の『El Shaddai』に比べると全体的にキーが低くシンプルで、凝ったアレンジ等よりも歌そのものに重点を置き、リラックスした感じが伺える。個人的には前作ほどグっとくるものを感じないが印象は良く、JetstarのA&RのNashに至ってはその全てを気に入ってるようである。

明日はMax Romeo、Little Roy とThe Twinkle Brothersのショウを観に行く予定。今度報告しよう。
 Take Care.                             [訳/有賀由紀子]