"Say Greetings!"
PUSHIM
[ NeOSITE / ESCB-2093 ]
Featuring.....
1. Brand New Day
2. Greetings!
3. 1999
4. Interlude (Woman Says No)
5. Strong Woman
6. 果実の月
7. It's Too Late
8. Vibes Up feat.Jumbo Maatch
9. Singer Pushim Vexed
10. 愛の歌
11. Interlude (See The Light -
I Sing A Song For You)
12. For Your Song
13. 波が…
14. Outro (See You Tomorrow)

 レコーディングは何気に色んなことがあって神経張り巡らしてたんで、全部終わった時はフワ〜っと「終わったあ〜」って(笑)。インタビューでよく「アルバムのコンセプトは?」って訊かれるんですけど、別に何もないんですよ。私の行動自体何も考えてへんし(笑)。ただアンダーグラウンドからメジャーに出てきた、その過程、成長が垣間見られるものになったという自信はありますね。友達とかに「なあなあ、こんなん作ってみてんけど聴いて…」ってノリなんですけどね(笑)。歌に関しては一発録りが基本やと思います。ほら、今なんか後から色々と手を加えられるじゃないですか。でもヴァイブスが切り刻まれるのは嫌なんです。やっぱりそれって自然に自分の中から出てくるもんやし。ライヴだって、そんなヴァイブスがお客さんに伝わって「気持ちいい」ってなるじゃないですか。それは私にとってはレコーディングでも一緒なんですよ。録音した曲は、プロデューサーと私の子供やと思ってますねー。2人によく似た子供って(笑)。

●「Brand New Day」
 一番古い歌なんでメジャーで一発目にこれを出すというのにも抵抗なかったですね。直球な、ヒネクレてない歌です。井出(靖)さんのプロデュース、バンドとのセッションで一番いい形になりました。

●「Greetings!」
 実はこの歌は元々仮録りのテイクで(笑)。バンドの皆が凄い格好いい感じでやってくれたんで、私も踊りながら気持ち良く歌えたんですよ。それが一番いい状態で歌えたから採用したんです。2000年のこの時期にレゲエの曲を出す責任はありましたね。今迄自分がやってきたスタンスのものじゃないですか。でも成長した姿は見て貰えるかな、と。

●「1999」
 一昨年の夏、まだトキワ時代に次の年の事を思って作った曲なんですよね。その意味でも思い出深いかな。自分の中ではちょっとオシャレな感じで(笑)。トキワは本当に全てがいい勉強になりました。彼等とは今でもいい付き合いやし、ね。

●「Interlude (Woman Says No)」
 インタールードになる素材はちょこちょこ録ってて、これは「Strong
Woman」の時に録ったものです。そうそう、元々は歌の中のイントロだったんですよ。コーラスをやってもらった佐々木久美さんにはコーラスとかもう「食らいましたー」って感じで。



●「Strong Woman」
 ランブルフィッシュにいたKazさんと一緒に作った曲なんですけど、彼が繊細な女性の気持ちを曲にするのが上手い人で。「プシン歌ってみて」って持って来はったのを、私なりに語尾とか構成を考えてやってみたんですね。で、やっぱりいい歌だし、自分にないものがあるし、素敵な曲なんでリメイクしたいなと思ってやってみました。

●「果実の月」
 いつもリリックの中に自分の中で引っ掛かる言葉、例えば死語と呼ばれるものとかを取り入れるようにしてるんですね。で、この曲の場合は一歩間違えたら歌謡曲チックになってしまうな、と思ったんですけど、結果的に凄く満足いく詩になって。朝本さんのトラックを初めて聴いた時は泣きましたね。この人がどういう事を私に望んでるのか、と冷静に考えました。どうメロディを踏んでいこうか正直悩んだところもありました。″うららかな″とか″うたかたの″とかスキャットみたいな日本語を入れつつ、都会の匂いのする曲、というのを心がけました。

●「It's Too Late」
 メジャーのお話が来た直後、NYでリフュージー・キャンプとやらないか、という話になって録ったものです。リフュージーはレゲエのフレイヴァーを持ってるし、ぜひセッションしてみたいなーと思って。ああいうゆったりした曲をダンス・チューンに変えていくのが面白かった。大阪やJAでの録音と変らない雰囲気の現場で(笑)。

●「Vibes Up」
 ヴォイシングは日本でやったんですよね。ジャンボ(・マーチ)が丁度日本に帰ってきた時に。一緒にやってて身内が一番安心やな、と思いましたね。こういう形で出せて良かったですよ。一番私の原点に近い曲ですしね。ミックスはジャマイカでスティーリー&クリーヴィにやって貰ったんですけど、彼等は私の事を曲を聴いた段階では男やと思てたらしくて(笑)。挨拶した後もしばらくして「エッ、お前がプシンか?」と二度見(笑)みたいな感じでした。

●「Singer Pushim Vexed」
 アルバムの中で一番最後に録った曲です。沼田(充司)さんのトラックはいつも凄くて。この時もシリアスなものかダンスチューンにするか考えたんですけど、ドーンと構えた大人な感じの曲に仕上りましたね。



●「愛の歌」
 去年の始めに作った曲です。子作りの歌とも言います(笑)。ここでいう″愛″はダブル・ミーニングなんですよ。ステージからお客さん皆への愛と、個人的に捧ぐ愛をかけて。ライミングやこういう作業は本当に楽しいですね。この曲は唯一リリックから入って次にメロディ、という作り方で仕上げました。堀口(馨)君とサシで仕事出来て良かったです。

●「Interlude (See The Light 〜 I Sing A Song For You)」
 いつもステージの時に新たなものを取り入れるようにしてるんですが、これは『音楽成就』の時にステージに出る前に歌ったものなんですよ。"See The Light" というのが次の「For Your Song」に掛ってるしインタールードにしよう、と。コーラスは佐々木久美さんです。

●「For Your Song」
 メジャーでの初めての録音やったし、色んな意味で緊張しましたね。小節数が裏で入るから合わへん、とか(笑)。「どうしようどうしよう」とかパニックになって。でも全部解決して、凄くゆったりした気持ちで歌えました。トラックを聴いた時、やっぱり最初は頭が固くなる。で、真剣に理解しようと思うと柔らかくなれるんですよ。「レゲエやん」と思って歌えばいいかな、ってとこもあります(笑)。

●「波が…」
 ディーン・フレイザーの印象ですか? 可愛いおじちゃん(笑)。挨拶も "Greetings!" やったし。でもすっごく真剣で、表情豊かな人で、コーラスに自分のアレンジを指示する時なんか印象的でした。歌詞の意味もちゃんと気にしてて、ジャマイカ人やけどテキトーじゃないな、と思いました。コーラスは″波がー″とか″なにはー″とかアルファベットで書いて伝えたんですよ。ジャマイカのレコーディングは本当に″その日の出来事″って感じで私の性に合ってます。

●「Outro(See You Tomorrow)」
 「Brand New Day」の "Mellow Vibes Mix" を作って貰った時に、出来たものです。「Brand New Day」で始って終わる、って感じでアルバム全体の締まりも良くなったかなと思いますけど、どうでしょう? また、明日も聴いてねって感じで(笑)。

 といった感じで成長した″色んなプシン″が詰まったこのアルバム。聴く度に勇気付けられ、また切ない気持ちにもなる本物のソウル・ミュージック。一人でも多くの人の手元にこの素晴らしいアルバムが届くことを、僕は願ってやまない。何故ならこれは本当にココロに響く音楽、なのだから。Vibes Up!