明けましておめでとう…なんですね。最近は、スポーツの事を書くと、必ず裏目にでるので、しばらく差し控えたくなる位、だらしないNYニックスですが、年明けの今、どうなってるでしょう? 2000年と言えばヒップホップに限らず何にでも2000をつけていますが、NY的には、99年がヒップホップの新世紀だった気がします。スウィズ・ビーツ等が代表するサンプリング殆ど無しのビートを使った曲が、ヒップホップの顔を塗り替え、ヒップホップのプロダクションの方向を大きく変えたという年だった。逆に大ネタというか、ヒット曲のサンプリング使用曲は、色褪せて聞こえました。実は、サンプリング不使用は、使用料の高騰が大きく関係していて、払いたくないから使わない、というのが始まりだった様だ。つまり、今やサンプリングは、贅沢な事となっている訳だ。まあ、ヒップホップ自体も又ジュエリーや、ベントレーな訳だから、当り前なんだろうけど。中古レコード屋の前に、高級車が並ぶってのも最近じゃ、有り得ない事ではないかも?

●今月のビーフ
 ビギーに余りにも近い人で、今までトラブルが少なかったのが不思議な位のジェイ・Zが12月1日、マンハッタンはキット・カット・クラブで催されていた、Qティップのアルバム・リリース・パーティで、アンターテイメント、アンディアスなどのオーナー、ランス・リヴィラを刺した容疑でNY市警察に翌日、逮捕された。NY警察によると、ジェイ・Zのアルバムのアドヴァンス・テープを、リヴェラの部下がブートレッグ組織に売った事への報復が、この事件の理由だったらしい。実は同日、そのアルバムのリスニング・パーティも行われ、Qティップのパーティから来ていたジェイ・Z一派は、目撃者によると落ち着いた様子だったので、誰もが翌日のニュースには驚いた様だ。その翌2日のNYのリアクションも最大級でローカル紙のトップを飾り、ラジオではジェイ・Zが出頭した午後6時までは様々な噂や、情報が飛び交っていた。どこでも聞かれなかった内部の情報だと、アンターテイメントのアーティストのアルバムに参加しなかったジェイ・Zにリヴェラが腹を立てていたという。またしばらくミステリーが続きそう?

●今月のジュリアーニ市長
 ブルックリン美術館のアート・ショーを、ゴミと呼び、アーティストから嘲笑されているジュリアーニ市長ですが、今月もやってくれました。このコーナーではお馴染のグラフ・アーティスト/エディターのエスポが12月1日、NY市警察のヴァンダル・スクワッド(グラフィティを取り締まる特別班)に家宅捜索され、スプレイ・ペイント、グラフの写真、アンティークのブラスト・ナックル(NYでは、所持が禁止されている)が押収された。実はエスポはその前日、NYのローカルFM曲WLIBに出演、出版したばかりの "The Art Of Getting Over" のプロモーションを行った際、ジュリアーニについてのコメントで、「今週末、ワシントン・スクエアで聖母マリアの格好をしたジュリアーニの絵を用意するので、象の糞を持って集まるように」と冗談を飛ばしていた。それに対してのジュリアーニの報復だったらしいが、礼状はそれに一切関係ない、公共物破損の容疑だった。エスポ本人は同日、保釈金で釈放、エスポのアパートに居合わせたスタッフは、他の容疑も有り翌日証拠不十分で釈放された。完全な嫌がらせ捜査だったが、エスポは黙っておらず、人権蹂躙など不当な逮捕として、訴訟を起こす模様。更に、その週末の4日にワシントン・スクエアで、ジュリアーニの肖像を持って現れ、抗議運動を行った。集まったメディア、ライター、野次馬が、象の糞を肖像に投げた映像が報道され、結局ジュリアーニの負けという印象が強い。しかし、警察がどうやってエスポの所在を掴んだのかは、未だ不明。怖い世の中で?

●今月のジャム
 パーティが12月5日、クラブ・トンネルで行われ、参加アーティストも登場し盛大となった。特にナズが、ステージに現れた時の場内の熱狂振りは凄く、NYでの人気を知らしめた。しかし、なぜ急にビッグ・キャップが登場したのだろう? それでは、これをもってクリスマス・カード、年賀状にかえさせて頂きます?