1999年12月号

GIVE I STRENGTH / GARNETT SILK
[BRICK WALL / BWLP0041]

Bob Marleyの再来とも言われていた今は亡きGarnett Silkのニュー・アルバムは、もう涙が出るくらいに素晴らしい内容です。未発表曲や過去のヒット曲の殆どが生音でリミックスされていて、これを手掛けたBobby Dixonも本当に凄い人だ。カリスマが職人の手によって蘇り、忘れかけていたあの素晴らしさを再び教えられた様な気がしました。これを聴かずしてGarnett Silkファンとは言わせない。[輸入盤](坪木良典)

LIVE AT REGGAE SUNSPLASH / GARNETT SILK
[TABOU1/TB1CD15]

大胆にもアナログも出てるガーネット・シルクのライヴ盤。曲はもう代表曲ぎっしりのベスト盤的内容になっている。その辺りの事はもうガーネットだからね、みんなイイ曲。それより何よりこんなに音のいいライヴ盤ってのもなかなか珍しいんじゃないでしょうか? それってシステムの実況のテープの音の悪さに慣れちゃったからかもしれないけれど。ライヴの空気と名唱がしっかりパックされてます。[輸入盤](鎌田和美)

FREEDOM CHANT / DETERMINE[BRICK WALL / BWCD0043]

地味ながら地道に活動をつづけ、ジャマイカでもコアなことろでは人気のラスタDJの久々のフル・アルバム。Anthony Bに似たDJスタイルで曲によってはかなりおもしろい節回しでDJしたりもする。一時期ではJaroなどのダブ・プレートでも活躍している要チェックのDJなのである。本作は、いろんなレーベルからの寄せ集め的なアルバムではあるが、このDJの良さが充分に味わえるアルバムだ。[輸入盤](板倉隆也)

WEEKEND / NISHA K[BRICK WALL / BWLP0042]

2年程前より、Digital-Bレーベルからちょくちょくリリースを始めた、Bobby Digital大プッシュの女性シンガーのアルバムが登場。個人的にも注目していたシンガーで数少ないレゲエの女性アーティストだからがんばってもらいたいものである。内容も女性シンガーらしくラヴァーズを中心とした作品で、音作りにはBenji Myersも参加していて極上サウンドである。Digital-B音源だから買って安心、聴いて納得。[輸入盤](板倉隆也)

NOT FAR AWAY / TONY ROOTS
[REGGAE ON TOP / ROTLP-015]

UKのReggae On Topレーベルも本作で通算15作目。その15作目に当るのがトニー・ルーツの新作。彼はこのレーベルを中心に活動を続けるシンガーで、本作は既発表の7インチとブラン・ニューをプラスしたもので、それぞれのダブ・ヴァージョンも付いているショウケース・スタイル。録音、ミックス等はコンシャス・サウンド・スタジオで、エンジニアにはコンシャスのダギー・ワードロップが参加。[輸入盤](長井政一)

MOODS OF DUB / DX-1[CRUISE INTERNATIONAL / CICD-001]

イギリスのリーズで活動しているダブ・ユニット、DX-1のファースト。DX-1は95〜96年頃にコンラッド・クルーズ、マイケル・クルーズの二人でスタート。本作には結成当時のデビュー作から最近の作品まで収録されている。内容は全14曲ともインストゥルメンタル・チューンで、曲の各所にダブを取り入れたスタイル。ワンドロップ、ステッパー等リディムは様々。お薦めのダブ・アルバムですよ。[輸入盤](長井政一)

STRICTLY THE BEST VOL.23 / V.A.[VP / VPRL1569]

VPレコードの名シリーズ「Strictly The Best」の23弾。ダンスやラジオで人気のDJモノを集めたまさに美味しい内容となっています。今作の目玉はMorgan Heritage関連の「New Jerusalem Medley」。何とHMGからリリースされた激渋のあの一連の曲がメドレーになっているんです。これは要チェック。その他の収録曲も、7インチを買い逃した人や、ダンスホールを聴き始めの人にはぴったりハマる曲ばかり。[輸入盤](坪木良典)

STRICTLY THE BEST VOL.24 / V.A.[VP / VPRL1570]

人気のこのシリーズも本作でもう24作目になるので、何の説明もいらないはずでしょう。ゴーストによるシェールのヒット曲カヴァー、テリー・リネンのホイットニーのカヴァーといったとにかく人気の曲から、グレン・ワシントン等の極渋系まで。99年台風の目、モーガン・ヘリティジやカシーフ・リンドの“ワイルド・ワールド”オケの物等、バラエティに富んだ歌物ヒット集。とってもお買得。[輸入盤](鎌田和美)

ウィー・ニード・ラヴ/カシーフ・リンド
[オーバーヒート/ OVE-0070]

21才になったサラブレッド・シンガー、カシーフの5作目。前号のインタビューでも語られていた通り、今作は全曲オリジナルという意欲作。父=ウィリー作のマキシ "Wild World" リディムで歌う冒頭曲から、彼のアーティストとしての成長ぶりが伺える。スウィートな声質はそのままに、よりレンジを拡げたヴォーカル・ワークに敬愛するベレスを手本とした芯の強いリリック…。ファンが最も聴きたかったカシーフがここに。(二木崇)

ドリーム・カム・トゥルー/カーナ[ラウンジ/ LRSD004]

一作ごとに深化するカーナ・ワールド。今回はライヴ・マテリアルとして有名な、あの合唱チューン「Dreams Come True」が更に大胆で美しいアレンジで登場。サビの歌い回しの切なさを前に、もう“R&Bシンガーとして”云々とか馬鹿な事を言う輩もいまい。ツッチーの手によるドクトクの空間芸術リミックスも◎なら、KK作の別曲も超ファンキー。カーナの作品への責任感の強さを感じずにはいられない好作。(二木崇)

ボブ・マーリー・デュエッツ〜チャント・ダウン・バビロン/V.A.[マーキュリー / PHCW-1710]

アイランド・レコード40周年記念として企画されたアルバムで、ボブ・マーリーの音源に彼に敬意を払う現在のアーティストとのコラボレーション集。やはり目玉はシングル・ヒットしているローリン・ヒルとの「Turn Your Lights Down Low」。他にもルーツとの「Burnin' & Lootin'」やバスタとの「Rastaman Chant」等、企画が見事にハマった曲も多い。本作によって多少はレゲエへの偏見がなるなるかもしれない。(大場俊明)

ダンスホール・チェッカー/V.A.[P-ヴァイン / PCD-3934]

12吋盤が即完売になった、あのV.I.Pのダブを超越したフロア・アンセムが新版を加え、NYマスタリングを経て遂にCD化。Mr.ドランクに続いてリミックスを担当したのは売れっ子ワタライで、新たにシュガー・ソウル、デヴ・ラージ、リノらのマイク・リレーが! またロング・ミックスでは両ヴァージョンの全パートが聴ける、という何ともゴージャスな一枚。V.I.P物ではファンタスティック3の盤も漸くお目見え。(二木崇)

ヴードゥー/ディアンジェロ[東芝EMI / TOCP-65218]

サントラやシングル展開での頭出しはあったものの、それでもシーンはこぞってこの新作を待っていた。場合によっては、売りも要求されかねない位置にある彼だが、その期待に違うことなく伸びやかに振る舞ってみせる。彼のレイドバックしきったグルーヴには豊かな包容力が備わっているが、クラシックな約束ごとも内包していて、艶のあるヴォーカルと繰り返し訪れるグルーヴの波には、相も変わらず常習性が高い。(石澤伸行)

ザ・サタデー・ナイト・エクスペリエンス/ジョディ・ワトリー[ユニバーサル / MVCL-24018]

1年半ぶりの新作、と一言で紹介するのがはばかれるほどの変貌である。来日公演時にはスタイリッシュなステージ捌きで、往年の歌姫としての存在感をアピールしまくっていたジョディだが、本作ではドラムン・ベースやブラジル・サウンドを大幅に導入、その声をもひとつの楽器として処理するといった方法論で攻め続ける。表情こそクールだが、トータルなクリエイターとしての熱い創作意欲を感じさせる作品だ。(石澤伸行)

オン・トゥアネ・アン・ロンド/チャイナ
[東芝EMI/TOCP-65216]

在仏女性シンガーの2作目。ディ・ディ・ブリッジウォーターの実娘である。前作ではグールーやボブ・パワーらと組み、シーンへの目配せを効かせた作りを見せたが、本作では無邪気にチキチキものに手を染めることは避けられ、用意されたトラックも彼女の感情移入を好サポート。“I Put A Spell On You”“Moments In Love”をネタに、物憂い表情で歌い込む姿が、そのフレンチなイメージを増幅させる。(石澤伸行)

イントロデューシング・IMx/IMx
[ユニバーサル / MVCE-24203]

グループ名をイマチュアから改め、2年ぶり5枚目の新作を発表。「子供から大人への脱皮」といった類の課題は前作でクリアーした彼らだが、本作でも旬のサウンドをバックに大きな前進を見せる。基本となる音のフォーマットはシェイクスピアあたりを参照した変則ビート。そこに彼らのメリハリの効いたヴォーカルが絡み、上々の躍動感を生む。世の女子にピタリと照準を合わせたアイドル・ビームが眩しい。(石澤伸行)

ハイドラウリック・ファンク/アフリカ・バンバータ
[東芝EMI /VJCP-68180]

エレクトロ大王=バンバータの最新録音集は、そのDJプレイ同様、ヒップホップ、ファンク、テクノ、ドラムンベースとあらゆるパーティ・ミュージックをクロスオーバーしたハイパー・サウンドで一杯。しかしPファンクへのオマージュ「Flash Light」のカヴァーを含め、どこを斬っても“Funk”なのは流石。長年のファンならニヤリとくるタイトルを含め久々に満足いく仕上り。『Planet Rock Dance Album』も必聴。(二木崇)

サウンズ・オブ・サイエンス/ビースティ・ボーイズ
[東芝EMI / TOCP-65340-1]

ヒップホップ・バンドとしてのビースティ・ボーイズのスタートが1983年というから、もう17年間も活動していたのか。その間に奇跡とも思える素晴らしい作品をよくぞ数多く残してくれたものだ。本作は彼らのパンク時代から現在までの軌跡(未発表、新曲を含む)をCD2枚にまとめた初のベスト盤。こうして通して聴いても、彼らの17年に及ぶ偉大なる遊びにずっぽり引き込まれてしまう。今後もついていきます。(大場俊明)

コード4109/DJクラッシュ[ソニー/ AICT-132]

'99年の春に行われた彼のアメリカ/ヨーロッパ・ツアーでのプレイをそのまま凝縮した様なミックスCD。クラッシュ自らの楽曲やDJヒデ、DJサクらとのプロジェクトである流のナンバーを織り交ぜながら進めるワン&オンリーなドープ・セッション。他にフィチャーされたニック・ウィズやジョン・クレマー、ジャザノヴァらの楽曲もクラッシュ特有のストイックでダークな雰囲気の中で妖しく溶けている。(高橋晋一郎)

ランゲージ/ジョー・クラウゼル
[トイズファクトリー/ TFCK-87982]

ディープ・ハウス・シーンを席巻したスピリチュアル・ライフの総帥である彼が待望のファースト・ソロ・アルバムを完成させた。アフリカン・リズムが複雑に交差し、パーカッシヴなビートが次々とうねりをあげてくるオリジナルなスタイル。カテゴラリーはハウスでもワールド・ミュージックでも何でもいいけど、彼が作り出した名曲の数々はDJやフロア、勿論ホーム・リスナーにもジャンルレスな感動を与えている。(高橋晋一郎)

フューチャー・リキックス/インコグニート
[マーキュリー/ T]

彼らのアルバム『No Time Like Future』のリミックス集。リミキサーに選出されているのは、お馴染みのマスターズ・アット・ワークを始めカール・クレイグといった大御所からグロバール・コミュニケーションズのトム・ミドルトンのような目下注目株、アイランド・ブルーからデビューするスペセックの様な新人まで多彩なアーティスト達。リミックスとして充分に価値のある作品が収録された好編集。(高橋晋一郎)

アナログ・ウァームス・アタック/ミスター・オイゾー
[トイズファクトリー/ TFCK-87988]

仏国を代表するDJ/アーティスト=ローラン・ガルニエのPVを撮った映像作家が、サウンド・クリエイターとしてデビューしたのはもう随分と前の話。そのオイゾーはリーバイスのUKのTVCM曲「Flat Beat」のブレイクを経て、ようやくアルバムを完成させた。あの壊れたベース音を基調にユーモアたっぷりのエレクトロニカが展開される様は、さながら白日夢の如し。もはやテクノを越えたオイゾー・サウンド。(二木崇)

スウィング・フォー・ジョイ/エゴ・ラッピン
[ミラーボール / RD / RDR-1024]

関西が誇るノン・ジャンル系ユニットのニュー。アコギ一本の曲に始まり、トライトーンズのベースが参加したジャズ・ナンバー、デタミネーションズのバッキングが光る本格派ロック・ステディ、1st収録の名曲「Calling Me」のBoo(S.B.S)によるリミックスと盛り沢山の内容が嬉しい。特に日本語詞の「官能漂流」等はロックでありながら、めちゃソウルフル。常に体温を感じさせるヨッシーの唄は本当に素晴らしい。(二木崇)

テンプル・オブ・ダブ/V.A.
[スピードスターインターナショナル / VIJL-60048]

ダブをテーマにドライ&ヘヴィ、ナチュラル・エッセンス、チャリ・チャリ、クボタタケシ、インドープサイキックス、ダブ・スクワッドら気鋭のアーティストが集結。そのクオリティの高さにも満足できるが、注目したいのはそれぞれのアーティストのダブ解釈の広さ。テクノロジーの進化と洗練されたセンスが生み出すサウンドは欧州や米国、そして本国ジャマイカにも無い新種のダブ。リスペクト。[輸入盤](高橋晋一郎)