●世界大会で勝利を得た感想から聞かせて? フトシ(以下F):オレ等のレヴォリューション、そして歴史がちょっと始まったって感じ…。 タッカー(以下T):このクラッシュで皆、一気に注目してくれたからね。 ●まずは、「グローバル・ゴールド・カップ '99」に参加したサウンドについて聞かせて? T:ジャマイカ代表のベース・オディセーは今一番勢いがあるトップ・サウンドだな。ニューヨークのL.P.インターナショナルは昔ブイブイやっていたけど、今はそんなに話は聞かない。イギリスのロード・ゲーリーは若いイキのいいサウンドで、結構やるサウンドだったよね。あまり名は知られていないけど、あいつらイギリスでは一番だと思うな。バーミングハムのラヴ・インジェクションはだめだったな。 ●クラッシュのルールを教えてもらいたいんだけど。 T:まず最初にクジ引きでプレイする順番を決めて、そのあと客の判定によって1ラウンドごとに1サウンドずつ落ちていき、最後に残った2サウンドが15分間のチューン・フィ・チューン(1曲ずつのかけ合い)で勝者を決めるというルールだった。 ●プレイしたサウンドの順番は? T:ロード・ゲーリー、ベース・オディセー、ラヴ・インジェクション、ジャッジメント、そしてL.P.インターナショナルという順番だったな。 ●クラッシュの進行状況と内容を教えてもらいたいんだけど。 T:最初は人が入るのが遅くてね。だけどサウンド達はもうダブをかけて始まってたんだよね。それで夜中過ぎにやっと会場が埋ってきて、そこで順番を決めたんだ。で、本格的にクラッシュが始まって、1ラウンド目は各サウンド15分間のプレイでの競い合い。1ラウンドが終了したらプロモーターが出てきて客にどのサウンドを落とすかジャッジしてもらって、まず最初にラヴ・インジェクションが落とされた。でもそん時は、L.P.もフラップしてて、結局チューン・フィ・チューンで1曲ずつ盛り上げた方が生き残るっていう感じで。客的には両サウンド落とせっていう感じだったんだけど(笑)。けど一応1サウンドだけが落ちるというルールだからね。次の2ラウンドは各サウンド3曲ずつで戦ったんだ。そこで予想通り、L.P.が落ちた。3ラウンドは2曲ずつで、うちとベース・オディセーとロード・ゲーリーでやって、ロード・ゲーリーが落とされた。このラウンドはオレ等が持ってったね。 ●それでジャッジメントとベース・オディセーとの一騎打ちになったというわけだ? T:そう、最後は15分間のチューン・フィ・チューンでやり合って勝者を決めるという事になったんだ。それで最終ラウンドが終了した時、結局プロモーターがベース・オディセーにトロフィーを上げようとしたんだけど、客がその判定に納得いかず、会場からブーイングの嵐が起きて、それじゃもう1曲ずつかけて終わろうって事になって、クラッシュ最後のチューン・フィ・チューンになったというわけ。最初にオレ等が「スタラグ」トラックのブジュ・バントンのダブをかけて、それがもの凄く盛り上がったんだ。その次にベース・オディセーが「プナーニ」トラックのバウンティをかけたんだけど、そこまで盛り上がらず、クラッシュ終了。結局最後は客のジャッジによってオレ等ジャッジメントが優勝者という結果に終わったんだ。 ●最初はやっぱり皆ベース・オディセーの方に傾いてたの? T:最初はベース・オディセーを勝たそうっていう勢いもあったね。オレ等イギリスでやるの初めてで結構盛り上げたし、東洋人がヤルっていうのも注目度があったんじゃないかな。 ●今までジャッジメントが参加したクラッシュとの違いは? T:やっぱ注目度が全然違うかな。それと、そういう大きい大会で日本のサウンドが2つとも勝ったから、インパクトが凄い大きいみたいで。 ●イギリスの人達はジャッジメントの存在は知ってたのかな? T:あんまり知らなかったと思うな。ごく一部の人しか…。 ●戦法はきっちり考えてたの? T:これに関してはね、その場じゃないと分んないからね。クラッシュの場合2度がけができないから、自分でどんなに考えてても、思い通りに行かないんだよね。今回も先にクジ引く前にも、いろんなサウンドがいろんな曲を既にかけてたし。クジ引いた段階でオレ等は4番目だったし、かけようと思っても次々かけられちゃって、もう計画はオジャンだったね(笑)。クジ引いた時、ベース・オディセーがオレ等より先にプレイする事が分かった時、「アジャー!」って感じだったもんな(笑)。 ●相手がどういう戦法で出て来るかは予想してた? T:みんな最初にできるだけ新しいのをかけて、後半はファウンデーション・チューンにもってこうとしてたんだよね。だからベース・オディセーとかも最初から凄い飛ばして、ニュー・チューンでの潰し合いから入って、後半は渋めのチューンで攻めるっていう感じの作戦をみんな取ってたと思うな。でもオレ的にはニュー・チューンで押そうっていうのは結構あったんだよね。自分はジャマイカのクラッシュ・シーンを前提にやってきてたから、勝負はニュー・チューンでいきたいと思ってたね。後半ベース・オディセーがファウンデーションで逃げきろうみたいな所があったけど、オレ等が強引にニュー・チューンに戻したりしてたから、そういうところが良かったんだと思うな。バウンティ・キラー、シズラ、ビーニマン、ケープルトンとか、旬の曲でいったのが正解だったよね。思ったよりイギリスの人達はニュー・チューンを知ってたし。 ●一般に行なわれているサウンド・クラッシュでは基本的に最初は新しい曲で戦って、最後はだいたい渋めのファウンデーションで勝負を決めるの? T:ジャマイカ以外の場所で行なわれているクラッシュはだいたいそうだね。後半ファウンデーション・チューンでの戦いを持ってくるって所もあるかもしれない。ジャマイカはファウンデーションで勝負を決める事はあんまりないね。 F:チューン・フィ・チューンぐらいだね。 T:だからニューヨークでマイティ・クラウンが優勝したクラッシュで、トニー・マタロンが最後の最後までニュー・チューンでいこうとして、最後のチューン・フィ・チューンでドッカーンといこうと考えていたと思うんだけど、マイティ・クラウンが途中でファウンデーションにガラッと流れを変えたでしょ? そこが良かったんだよ。要するに両方かけれるようにしないといけないって事だな。 ●今年はジャッジメントに続いてマイティ・クラウンも優勝して、本当に凄いニュースだよね。 T:でも、優勝してから他のサウンドのプレッシャーが凄くて…。ベース・オディセーとはジャマイカ帰ってきてから何回かリンク・アップでやってるんだよね。ジャマイカのサウンドは本当に負けず嫌いだからね。わざと音下げてきたり、ベース・カットの妨害してきたりとか、本当にジャマイカ・サウンド界はハードだよ。オレ等が持ってる曲とか研究してるから、かける前に全部かけられてしまったり、結構目に見えない圧力があるよ。 もうスポーツだね。もう本当に気が抜けないっていうか、鍛えられるよ。 ●ところで、マイティ・クラウンが参加したニューヨークでのクラッシュとジャッジメントが参加したロンドンでのクラッシュの違いって何? T:ボクシングでいうW.B.A.とW.B.C.の違いと同じようなものだね。 ●マイティ・クラウンとはクラッシュしたいと思う? T:正直言うとオレのセレクター業も、もう長くないだろうから、やっぱりやるべき事はやりたいなと。因みに今ジャッジメントでは無茶なセレクターを募集しています。 ●12月17日、両サウンドの勝利を祝して「Riddim200号記念イヴェント・パート2」に参加してもらうけど、このイヴェントに対する意気込みは? T:マイティ・クラウンとやるからって特別な事はないけど、緊張感があって楽しくなると思う。唯一日本でサウンド・マン的な駆け引きが出来るのはマイティ・クラウンだけだからね。 ●それでは最後に日本のファンに一言。 T:もちろんレゲエを広めたいという気持ちもあるけど、オレは日本人の為にやってるわけじゃなくて自分がどこまでできるのか、言わばチャレンジとしてやっているから。まあこれで喜んで頂けるならいいかなと。例えはちょっと違うだろうけど、野球の野茂とか、サッカーの中田も、自分の為にやってると思うんだよね。とにかく今は若いサウンド・マンにオレ等の行動をもっと見てほしいんだよね。ランキン・タクシーとかナーキとかが始めた日本のレゲエもここまで来るようになったわけだから。あと、ジャマイカでやり始めた時、ジャッジメントの事を「小ジャロ」とかいろいろと批判する人とかいたけど、そういう人はオレ等を見直ししてくれましたか? F:まあ、あまりギャーギャー騒がずに、ジャスト・スタートって感じで…。これからの動きを見ててほしいね。 |
●この世界戦で勝てると思った?![]() サミーT(以下T):「ワールド・クラッシュ」の一カ月位前ロンドンで行なわれたクラッシュでジャッジメントが優勝したから、かなりのプレッシャーだったよね。マイティ・クラウンも絶対に勝たなければ駄目だという気持ちになってたから。その前迄は勝たなくても一発かまして俺達のヤバイ所を見せて次に繋げようという位の考えだったけどね。はっきり言って「勝てねぇ」という気持ちもあったね。キラマンジャロにしろ、トニー・マタロンにしろ、俺等がずっと影響を受けてきたサウンドだからさ。 マスタ・サイモン(以下S):サウンド・システムの歴史を作って来ている連中とまともにぶつかったからな。「勝てねぇ」という気持ちと「勝てる」っていう気持ちが半々で、俺等の持っているモノを思いっきり出してやろうという気分だった。 ●マイティ・クラウンのパワーを100%発揮したってわけだね。 T:120%だな。だって俺イヴェント終わって3日間声出なかったからな。 ●実際勝った感想は? S:気持ちいい。勝ち上がりだよ。一瞬にして無名が有名になっちゃったからな。 T:あの瞬間ヤバかったなあ。世界に羽ばたけって感じだよ。 ●クラッシュに参加したサウンドについて聞かせて。 T:実はベース・オディセーはヴィザのトラブルで参加出来なかったけど、奴等は回りから来年仕切るサウンドだって言われているね。ジャロはやっぱオリジナル・ファウンデーション、誰もが知っているキラ、マン、ジャロ! S:あれはクラッシュ専門の戦争サウンドだよな。 T:ベース・オディセーもそんな感じ。で、トニー・マタロンはどっちかと言うとジャグリン・サウンドだな。だけどあいつクラッシュ好きなんだよな。 S:マタロンはアディーズにいた頃たくさんクラッシュ経験してるしな。あいつはWAR好きのセレクターだな。 ●ワールド・クラッシュの事を聞かせて。 T:会場に着いた時、外に三千人位いたからね。すっげえ燃えたよ。とにかく俺達皆で入っていったらジャロの奴等がいて、その時ベース・オディセーが参加できないって事が分ったんだ。その後マタロンが到着してもう皆すぐにクラッシュ始めてぇって感じだったんだけど、プロモーターが会場に入りきれないお客とのトラブルでなかなか来なかったんだ。 S:DJブースが二つあったんだよね。 T:片側はマタロンとジャロで、もうひとつが俺等とクラッシュに参加できなかったベース・オディセー。実は五年位前にジャロとベース・オディセーのクラッシュで人が死んでるんだ。だからそういう分け方をしたみたい。で、今年NYでアドナイ、ジャロ、マタロンがクラッシュしたんだけど、その時決着が付かない状態で終わってるからジャロとマタロンがマイクだけでのやり合いが始まって、俺等もいっとこうかという事で参加して、そこからドッカーンって感じ。 S:最初はプレイする順番を決めるところから始まったんだ。 T:チューパー(ジャロ)が一番目にやりたがってたんだ。 S:あいつは、「俺が去年のチャンピオンだから俺が先にプレイする」って言ったら客がブーイングし出して、プロモーターが「じゃあ誰を最初聴きたいか」と客に尋ねたら俺等に声が上がって一番目に決定。その次にマタロンを客がプッシュして、でジャロはディフェンディング・チャンピオンだから最後にやれ、という事になったんだ。 ●やっぱり順番ってクラッシュの勝ち負けに影響するの? S:どっちもどっちだな。 T:俺は一番目はやりたくないってのがあるんだけど。何でかって言うと、二番手とか三番手だと最初にプレイした奴のかける曲とかMCで言うことが聞けるから、それに対してカウンター・アクションができるでしょ。だけど俺等は1ラウンド目から会場をドッカーンと爆発させたね。俺等がウケ過ぎて二番目のマタロンは最初ブーイングされてたけど。でもそのうちヤバイ「バダ・バダ」トラックとかで盛り上がって、俺等もあいつのプレイを聴きながら楽しんでた。俺から見たチューパーはフラップだったな。最初はあまり良くなかったと思う。だけど、さすがはジャロ、そっから持ち上げてくれたね。 ●マイティ・クラウンの1ラウンド目はどの辺りの曲がウケたの? T:もう一発目からだね。あと「チェース・ヴァンパイア」のセグメントは最初から最後まで盛り上がったな。 S:ウェイン・ワンダーとバウンティ・キラーの「ルック」も凄かったな。今ダンスホールで一番ウケてるからな。とにかく1ラウンド目は各サウンド30分交代だったんだ。 ●1ラウンド目はどこが有利だった。 T:1ラウンド目が終わってレフリーが客にどのサウンドが良かったかって聞くんだよ。俺等は結構バッチリだったけど、順番的にジャロがそのラウンドの最後にやって盛り上げたから、やつらのインパクトで俺等のインパクトも多少薄れたところはあると思うな。 S:プレイする順番はこの辺りで影響してくるな。けど、あとからテープ聴くとかなり俺等ヤバイ・プレイしてたよ。まあ、1ラウンド目は五分五分だったな。2ラウンド目はジャロが持ってった感じだけど。 T:2ラウンド目の15分は最初は良かったんだけど、俺等のブースがとにかく音が酷くて、何しろ客が盛り上がり過ぎてブースもターン・テーブルも揺れてる状態でプレイしてたんだよ。で、2曲かけてレフリーに言って場所交代。あいつらのブースでプレイ再開。 S:そして場所交代したら今度はターン・テーブルの針がブッ壊れた。 T:正直に言います。僕がターン・テーブルのアームをブッ壊しました(笑)。それでエンジニア呼んで直してる間、俺等最後の5、6曲ターン・テーブルひとつでがんばったんだよ。2ラウンド目はトラブルがあったけど最後にかけた曲が結構盛り上がったな。マタロンはいつも通りで、2ラウンド目はジャロが一番盛り上がった。 ●そのあとの進行状況は? T:3ラウンド目の15分はまた俺等がドッカーンと火を付けたな。コートニー・メロディの「ニンジャ・ミ・ニンジャ」とかサミー・ドレッドの「M-16」とかの渋めをプレイしたんだ。俺等が客に「誰がリードしている!?」って聞いたらみんな「マイティ・クラウン!」って大きな声援があったもんな。あれはクラッシュの流れを変えたな。 S:マタロンはまたジャグリン系をプレイして、ジャロも俺等の流れで渋めのチューンをかけて3ラウンド終了。 T:マタロンは2ラウンド目位から喋りが多すぎて、墓穴掘ったな。 ●マタロンは何を喋ったの? T:ジャロはガーネット・シルク、アーリーB、デニス・ブラウン、ニッティ・グリティ、テナー・ソウとか死んじゃったアーティストのスペシャル・チューンを沢山持っていて、マタロンはそういうチューン持ってないわけだよ。それでマタロンがジャロに対して、「死んだ奴が生きている人間殺せるわけねえだろ!」とか言ってたんだ。マタロンの言いたい事は分るんだけど、それがうまく客と気持ちが合わなくて、みんなにブーイングされちゃったんだな。 S:要するにマタロンは怖い訳よ。ジャロは他のサウンドが持ってない死んじゃったアーティストのビッグ・チューンで今迄色んなサウンドぶっ潰してるから。 T:あいつジャグリンかけてたけど、あの「ルック」のカウンター・アクションはヤバかったな。仕込みで作った俺等に対しての歌なんだけど、結構ウケてたな。 S:NYの色んな地名をビガップした曲なんだよ。それが奴の最大の武器だったな、ニューヨークにずっと住んでたから。 T:それを最後に「さよなら、マタロン」てな感じだったな(笑)。 S:ジャロは1ラウンド目は駄目だったけど3ラウンド目の最後は結構ジャロ・ムードになってた。 T:ジャロがいつもかけるファウンデーション・チューンとかジャグリンも、ちょっとかけてたな。今流行ってるマッド・アンジュの「ワ・ディス・ファーダー」とかさ、マッシュしてた。やっぱり3番目にプレイして盛り上げるとインパクト残るからな。それで3ラウンドが終わって次はチューン・フィ・チューン、各サウンド一曲交代で戦うんだけど、マタロンがもうブーイングされまくって、遂に彼は自らクラッシュを諦めてしまった。「俺はファウンデーション・チューンを全然持ってないから下りる。だけど最後に2曲だけかけさせてくれ」と言ってクラッシュを断念。「2年目にしては俺良くやっただろ? 拍手くれよ」みたいな言い訳を最後にマタロン、フィニッシュ。それからジャロ対マイティの一騎打ちになったんだ。で、今までジャロのテープとか耳が腐る程聞いてるから、だいたい奴がかける曲分ってたんだよね。ただどういう順番で来るかが分んないわけよ。やっぱ俺等からすればジャロは怖いよ。ヤバいスペシャル沢山持ってるからな。そしたらスーパー・キャットかけてきたから、俺等も負けずにランキン・ジョーとニコ・ディマスのコンビネーションをかけたんだ。マタロンが終わった後は、ジャロの曲に対して意味のある曲をかける様に、とにかくカウンター・アクションができる曲をセレクトしたんだ。テープを聴いてもらえば分かると思うけど…。 S:皆は俺等が持ってる曲を知らないから、またそれがウケたんだと思う。 T:客からすれば肌の色が違うアジア人があのジャロと張り合ってるぞって感じで興奮して思いきっり盛り上がったよ。俺も客が好きそうなレコードをプレイしてたな。それで1回ジャロがユータン・グリーンのダブをかけたんだ。 スティッコ:そうだ。ユータン・グリーンでジャロがブーイングされたんだよ。 T:その瞬間「こいつやっちまった!」と思ってすぐにカウンター・アクションでスキオン・サクセスの「ドン・デッド・オレディ」(お前はもう既に終わった)をかけて、またもやドッカーンといったな。チューン・フィ・チューンはレフリーのルールで本当は10曲ずつかけてクラッシュは終わるはずだったんだけど、ジャロがあせって「10曲じゃ少ねえ、あと一曲ずつやらせろ」って言ってきたから、俺等も受けて立ったんだ。それで最後にジャロがDJのルーイ・カルチャーをかけて、ブーイングくらって、俺等も負けじとバウンティ・キラーをかけたんだけど、結局それはウケなかったんだけどね(笑)。だけどこの曲はこのクラッシュの為に仕込んだプレートだったから、どうしてもかけたかったんだよね。まあ最後だけ俺等もやっちまったんだけど、バウンティじゃなくて、もう一曲用意していたファウンデーション・チューン…曲名は秘密なんだけど、それをかけていれば完璧にジャロをブッ潰していたんだけどね。結局その後にかけたジャロのドン・カルロスもウケなくて、遂に世界クラッシュが終了。で、最後にレフリーがマイクで客に勝者を聞いたんだ。まず最初に俺等。結構大きな声援があって、「おーヤベエ、もろ盛り上がってる俺等!」って感じたんだ。だけどジャロの方がもっと大きな声援があるんじゃないかなって思ってたんだ。それでレフリーが客に聞いたところ、前の方にいた客等から「ブー!」っていう声が大きく聞えたんだ。総合的に俺等のインパクトのほうがデカかったんだろうな。その瞬間「やったあ! 世界一だあ! やりました!」って感じだな。 ●本当に凄い事だよね。このクラッシュで学んだ事、また自分自身変わったところはある? S:今まで俺等がやってきた事は嘘じゃなかったと思うな。 T:今まで俺をバカにし続けてきた奴等をギャフンと言わせてやるぜと思ったよ。どうせこいつら三日坊主だろ、とかボンボクラとか言ってる奴等の噂聞いたり、向こうの奴等は日本人は何もできねえとか言ってる奴等もいたから、絶対いつか見返してやるって思っていてそれが実現したって感じだな。俺等は世界でも通用するというのをやっと実感したし、規模が広がったな。あと、あれからクラッシュのテープ聴いて、あの時この曲かければ良かったとか、こういう事言えば良かったとか、反省しながら学んで次に繋げて行こうと考えているよ。 ●クラッシュの前、戦法とかねったり、他のサウンドの出方とかある程度読んでたの? S:読みは当たってたな。最後は絶対渋めの曲で競い合う事は予想してたよ。あとはその場で頭を働かしてやったな。さっき言ったみたいにプレイする順番でまた変わってくるからな。やっぱ考え通りには行かないからな。 ●もしベース・オディセーが来てたら、変わってたかな? S:それはなんとも言えねえな。あいつらもマタロンみたいにニュー・チューンでいろんなサウンド殺して来たからな。 ●ベース・オディセーとは今後クラッシュの予定はある? T:もしかしたら11月27日、ニューヨーク、クイーンズのキュー・クラブでベース・オディセーとブラック・キャットと対戦するよ。カナダ、ワシントン、ニュー・ジャージー、アトランタも行くし、多分マイアミでやるストーン・ラヴのアニヴァーサリーも出る。12月3日、俺の誕生日にフィラデルフィアでもプレイする。その前にロディガンとやる予定があったんだけど、ワールド・クラッシュの噂を聞いてキャンセルされた。だけど俺等もロディガンの事リスペクトしてるからいずれは一緒にやりたいとは思っているよ。 ●イギリスでの世界戦で勝ったジャッジメントをどう見ている? S:ジャッジメントも凄い事したよ。 T:本当ナフ・リスぺクトだって。ジャッジメントも俺等も優勝した。これはマジで革命だよ。日本のサウンドが二つの世界クラッシュで勝ったんだからな。みんな俺等のクラッシュを見たがってるな。アメリカ、ジャマイカ、日本でも。 ●実際ジャッジメントとはクラッシュしたい? S:やるならやるよ。 T:どんな奴等でもいい。要は俺等客の前でやるのが好きだから。楽しみながらさ。面白いモノをキープして行きたいよね。 S:クラッシュでも、何でも引き受けるんじゃなくて、もっと賢くやっていきたい。 ●マイティも8年間やって来て、今後の日本でのムーヴメントは? T:俺等は日本にいてレゲエに出会ったし、やっぱ日本はこれからも大切にして行くよ。俺等がやってる間にレゲエ・ブームが一回あったけど、今シーン的にまだまだ弱いじゃん。 S:わざわざジャマイカまで行って、金つぎ込んでダブ録って、日本でかけたらウケなくてバカバカしく思ってしまう時もあるけどな。だからこそ俺等が分らせてやんなければいけないんだよ。実際俺等しか今いないと思ってるから。 ●今後の意気込みは? S:やっと始まったって感じだから、これから更にがんばるよ。勝ったからって次負けたら終りだからね。次はそうとうヤベえ事やんねえと無理だよ。 T:これはゲームだからな。負けたらゲーム・オーヴァーだろ。そこが難しいんだよ、このゲームは。世界一になったのはいいけど、俺等を落とそうと考えている奴等が一気に増えたからね。 |