ホレス・アンディの新作が素晴らしい。とにかく全てのレゲエ・ファンが心を傾けるべき傑作だと思う。では、以下彼からの最新メッセージに耳を傾けて頂きたい。


● メランコリックとはどういった契約になっているのですか?
ホレス・アンディ(以下H):順調にいってるね。ここでハッキリと言えるのは、彼らとの関係はこれからも続けていくつもりだよ。
●同レーベルからリリースされたベスト盤はあなたが選曲したものだったのですか?
H:全てをコントロールしたわけではないけど、選曲には参加した。なにせ百曲以上の名作があるからね。そこから21曲に絞り込むのは至難の技だったよ(笑)。
●マッシヴ・アタックの一員として活動はどう感じられますか?
H:すごく満足しているよ。91年に彼等と出会って、それ以来ずっと親友という関係にある。確かに時に音楽についての話で口論する事もあった。お互いリスペクトし合える存在なんだと思うよ。
●因みに彼らから何と呼ばれているのですか?
H:ホレスという奴もいれば、食べ物について説教しながら″プロフェッサー・ハインズ″という奴もいる。″スリーピー″はいつも10分で寝られる人間だから、そう名付けられたんだ。子供の時にね。
●コラボレイトしたアーティスト達で印象に残ったのは誰ですか?
H:私のニュー・アルバムのタイトル曲「Living In The Flood」を書いたクラッシュのジョー・ストラマーとの共同作業が印象深いね。あと日本でコラボレイトしたレゲエ・ディスコ・ロッカーズも印象に残ってるんだけど、残念ながら彼らの電話番号を無くしてしまったんだ。よかったら教えてくれよ(笑)。まあ、これからも色々なジャンルのアーティストとコラボレイトしたいと思ってる。
●ではこのニュー・アルバムの制作の過程を説明して頂けますか?
H:ジャマイカに帰った時、トップ・プロデューサーの一人、クライヴ・ハントに制作中のアルバムの音を聴かせたら凄く気に入ってくれてね。その後すぐに2人でスタジオに入って、オリジナル・ソングを何曲か仕上げたんだ。
●タイトルに込められた意味は?
H:これは、汗流しながら毎日精一杯仕事していても働いた分の手当てが貰えないといった状況を意味してるんだ。これは深刻な問題なんだよ。つまりアーティストに置き換えるなら、どんな名作を残してもそれに相当するロイヤリティーが手に入らないという事と同じなんだ。
●アルバムのコンセプトを説明して下さい。
H:スピリチュアルでポジティブな力に溢れたアルバムを心掛けたよ。自分ではベストを尽くしたつもりだけどね。
●あなたの今までの長いキャリアの中でどの様なポジションに位置するアルバムだと思いますか?
H:間違いなくベストな作品だと思ってるよ。過去にリリースした ワッキーズからの『Dancehall Style』やスタジオ1からの『Sky Larking』や『In The Light』を上回る作品に仕上がった。100%満足しているね。
●中でも印象的なセッションは、やはりジョー・ストラマーとの曲だったのですね?
H:そうだね。ジョー・ストラマーのリリックは本当に心に染みるんだ。何回聴いても最高だよ。
●あなたの熱心なファンは日本にも多いんですよ。その理由をご自分ではどう思います?
H:うーん、照れ臭いね。グッド・ミュージックのおかげ、という事にしておこうか(笑)。
●では今一番活動するのに適した場所、暮らしやすいと思う所はどこですか?
H:ヴァイブスがその場所にあればどこだっていいさ。でもやっぱり故郷ジャマイカが自分にとって一番だよ。食べ物が美味いし、センシもね。いつだっていいヴァイブスがある。
●あなたとマッシヴ・アタックのコラボレイションの成功の後、同様のアプローチを行った作品がいくつか出ましたが…。
H:マッシヴ・アタックのサポートがあり、私のニュー・スタイルが生まれた。それをフォローするアーティストが現れるのはいいことだと思う。ただ余り″真似事″は見たくない。オリジナルな作品を聴いてみたいからね。
●では最近お気に入りのアーティストは?
H:ホイットニー・ヒューストンとボビー・ブラウンのビッグ・ファンなんだ。毎日聴いてるのはオーティス・レディングのラヴ・ソングなんだけど(とおもむろに唄いだす)。
●ご自身の曲で一番好きな曲は?
H:沢山あって悩むな(笑)。やっぱり「Seven Seals」だろう。2番目は「My Lord」。ファンの人なら絶対納得してくれる筈さ(笑)。
●これからのレゲエ・ミュージックはどうなると思いますか?
H:よりポジティヴな方向に進むと思うんだ。私のフェイバリットDJ=アントニーBやケイプルトンがいるから大丈夫。ケイプルトンは今一番凄いDJだと思うね。
●ではこの一年の間に亡くなったレゲエ・ジャイアンツたちの思い出話を聞かせて下さい。
H:ローランド・アルフォンソは本当に素晴らしいアーティストだった。トミー・マクックもね。オーガスタス・パブロは小学校の同級生なんだよ。彼の本名はホレス・スウェービーといってね、私と同じホレスだから先生にはいつも上の名前で呼ばれてた。私はハインズだから ″ケチャップ″というアダ名で皆に呼ばれてた。パブロはアップタウン育ちで普通の小学生だったよ。勿論まだドレッド・ロックスじゃなかったし(笑)。
●最後に日本のファンにメッセージを。
H:ポジティヴな音楽を聴き続けてくれ。日本には来年必ず行くから、その時会おう。私も正しい心でスピリチュアルに生き、アイタル・フードを食べて、グッド・ミュージックを作り続けるから。