●今改めて『Next
Millenium』の内容について聞かせて下さい。
バウンティ・キラー(以下B):ベスト・アルバムとは言えないが、最高な出来に仕上がったとは思う。個人的にはメジャーからの一作目『My
Experience』がベスト・アルバムだと思っている。
●『Next Millenium』で共演したラッパーやプロデューサーの印象を聞かせて下さい。
B:ノリエガ、モブ・ディープ、キラー・プリースト、ノナ・ヘンドリックス、ワイクリフ、ナシーフ、デイヴ・ケリー、そして参加してくれた皆とはアルバムを作る前からずっと共演したかった連中なんだ。いっしょに仕事が出来て凄く嬉しいよ。曲を作る前からじっくりと仕込み、曲の方向性を皆で考えていたから思い通りに仕上がった。一年以上かかったよ。
●新作『5th Element』は、前作と対を成すダンスホール・アルバムと捉えてますが…。
B:『5th Element』は『Next Millenium』の続編みたいなアルバムだよ。だけど『5th Element』の方はレゲエのリスナーにアピールした物なんだ。自分自身はレゲエだけに拘っている訳ではないけど、世の中にはレゲエと他のジャンルのミックス・フレイヴァーを嫌がる人達もいるんだ。だから今回はストレートなレゲエ・アルバムでリスナーの反応を見たいと思って完璧なダンスホールに仕上げた。ちょっとしたエクスペリメントだ。
●『5th Element』の内容について教えて下さい。
B:「Mr. Wanna Be」、「Bulls Of Chicago」、未発表曲ではバーリントン・リーヴィとの「Free」、「War
Lord」のリメイク・ヴァージョン、タイトル・トラックの「5th Element」、「Woman Collaboration」、ジュニア・リードとのコンビネーション等、ストレートなレゲエ・ダンスホール・アルバムだよ。
●タイトルに込められた意味を改めて説明して下さい。
B:ダンスホール・レゲエがまだ辿り着いていない次のレベルを意味している。レゲエ・ダンスホールの主軸として、7〜8年間生き残り、今だにメイン・ストリームで活動しているDJは、俺とビーニマンしかいないんだ。次のジェネレーションに向けて、また次のレヴェルに昇るという意味を込めて付けたタイトルなんだ。レゲエ・ムーヴメントの″フィフス・エレメント″が今ここにある。そして次のレヴェルに昇る時がやってきたんだ。大きな力を感じていよ。
●DJを始めた頃と今の自分を比較して変わった所はありますか?
B:昔は金持ちになりたいとか名声を得たいとか思っていた事はあったかな。だけど今はそういう考えはなくなったよ。別にDJをやってスーパー・スターになりたいとも思っていない。それにスーパー・スターになれば幸せな人生を掴めるとも思ってない。DJを始めた頃はまさかこんなにリッチになれるとは思っていなかったんだ。ただ自分を信じながらDJという才能を活かしたいと思い続けてやってきただけなんだ。これからも自分のありのままの姿でいきながら、ロドニー・プライス(彼の本名)という一人の人間としてナチュラルに歩んで行こうと思っている。
●今、レゲエ・ミュージックはどうあるべきだと思いますか?
B:今のレゲエ・ミュージックはワールド・ワイドに広がっている。シチュエイションは順調に進んでいると思う。ただ、レコード会社はボブ・マーリー、ビーニマン、バウンティ・キラー等のネーム・ブランドの付いたアーティストしかプロモートしていない。もっと色々なレゲエ・アーティストを見つけ出してプロモートして欲しいよ。ケイプルトンのプロモーションに関しても、デフ・ジャムはそこまで力を入れてないと思う。俺をプロモートしているTVTの方がよっぽどいい動きをしている。とにかく色々なレコード会社に、もっとレゲエ・ミュージックに興味を持って貰いたい。どんな音楽ジャンルにしてもいいプロモーションが必要なんだ。変な曲でもお金をかけていいビデオ・クリップを作ってプロモーションすればヒットする場合もあるだろ?
●スケア・デム・レーベルの今後について教えて下さい。
B:自分のアルバムの制作を中心に活動していたから、シングルはずっと出してない。だけど今後は若手アーティストをもっとプロデュースして行こうと考えているよ。
●今ベストだと思われるトラック・メイカーは?
B:皆それぞれ違うタイプのトラックを作るし、ヒット・トラック・メイカーでも時にはショボいトラックを作るから、ベストと言える人はまだいないな。だからこそ色々なトラック・メイカーと色々なタイプの曲を作るんだ。時にはかっこいいトラックだと思ってもヒットしなかったり、「バダ・バダ」の様に奇妙なトラックがヒットしたりするから、俺は色々なトラック・メイカーと仕事するのが好きなんだよ。
●米国のティンバランドやラフ・ライダーズの作るトラックはレゲエの影響を受けていると思いますが、あなたはどう考えますか?
B:確かにファットでディープなレゲエのドラム・ビートやベース・ラインを取り入れているよ。ニュー・スタイルのヒップ・ホップだからジャマイカ人も彼等が作るトラックを気に入っている。
●今後のリリースは?
B:年末から2000年にかけてTVTからニュー・アルバム『Ghetto Dictionary』をリリースする予定だ。まだソロで6曲しかレコーディングしていないけれど、これからビッグ・アーティストをフィーチャーして行くから日本のみんなも期待していてくれ。
●日本のファンにメッセージを。
B:日本人の音楽に対する姿勢は本当に最高だ。他の国の人達にも見習って欲しい程、日本のレゲエ・ファンはレゲエを大切にしてくれている。今年俺が録ったスペシャル・ダブ・プレートの数も日本のサウンド・システムが一番多いんだ。感謝しているよ。