リディム・オフィシャル・ウェブサイト
THE MAZE

(U KNOW)What the deal is
　
雨期が終わり、初夏らしくなったNYですが、さすがに雨が続くと出不精になり、野外のイヴェントも今年はダメージが大きかった。スニーカーを犠牲にしてまで、雨天、泥まみれでも見たいアーティストは中々居ないか？
しかし、夏になると決まって映画『ワイルド・スタイル』が何周年とか、同じ内容ばかりの企画がまかり通るのがムカつく。いつまでピンプしたら気が済むんだろうね？
　
●今月のジャム
今年で5回目を迎え、すでに毎年恒例となった「ブルックリン・ヒップホップ・フェスティヴァル」が6／20、雨天の中、エンパイア・フルトン・フェリー公園で行われた。出演は、ファラオ・モンチ、スタイルスP、デッドプレズ、スミフ・アンド・ウエッスン、グランド・プーバ、Jピリオド、DJプレミアなどで、チップフーの飛び入りなどもあり、完全にスニーカーを犠牲にしているハードなヘッズたちのみで盛り上がった。NYではおなじみのラルフ・マクダニエルが、渋いホスト振りを発揮し、今年からはじまったセカンド・ステージでは、ヒップホップ・ピュアリストな若手らが出演し、普段のNYとは思えない日となった？
　
●今月のジャム2
ノトリアスBIG、2パック、バスタ・ライムス、ラッピン・イズ・ファンダメンタル、マイルス・デイヴィス（！）などのプロデュースでおなじみのイージー・モービーが、ダウンタウンはアリバイ・ラウンジで6／25、久々のDJプレイを披露した。私が率いるゲリラ・サウンド・システムがホストをつとめたが、ちょうどマイケル・ジャクソンの命日と重なり、マイケルへのトリビュートのプレイもあった。モービー氏のセレクションは、渋めのヒップホップからファンクまで、NYで切磋琢磨してきたDJらしいもので、素晴らしかった。尚、動画がmyspace.com/sumniteで見られる？
　
●今月のジャム3
なんと、不運の才人、チコ・ディバージが静かに出所していて、復活していた。7／16にブルックリンはヴォン・キング公園でフリー・コンサートが行われ、記憶ではそれほど古くないナンバーの数々を演奏、相変わらずのディバージ兄弟節も連発で、若くて彼を知らないファンも曲は分かるようで、素敵な夜となった？
　
●今月のPファンク
といってもピンと来ない貴兄が多い今日この頃だが、Gファンクと言えば分かるかな。分かんねえだろうな...。俺にも古いこのフレーズですが、確か4、5年前に制作されたPファンクのドキュメンタリーが7／8、ハーレムはマーカス・ガーヴィ公園で上映された。後々、オフィシャルなリリースがあるのだろうが、ジョージ・クリントンをはじめPファンクの面々や、ほとんど未発表な当時の映像など、あっという間の90分で、ファンにはたまらない出来である。若手といってもPファンクと比べてだけど、Gファンク組のインタヴューもあり、エディ・グリフィンがアニメーションでガイドをつとめ、現代にきっちりリンクしている？
　
●今月のよくある話
ラッパー、パプースがギャング抗争の原因と、NY市警から漏れてしまったニュースですっぱ抜かれた。最近、市内の刑務所、ライカーズなどで起きた14件の暴力沙汰は、パプースがギャング、ブラッドと2006年に揉めたのが発端であり、事件はその報復であると『ニューヨークポスト』紙に書かれた。とにかく、スタジオで侮辱されたと思ったブラッドのメンバーが、直後にパプースの取り巻きに発砲し、4万ドルと言われる貴金属などを奪ったのにはじまり、パプースが刑務所で慰問コンサートを行った際に、仲間のギャングたちに隠語で報復を訴え、直後に殺傷事件が勃発したらしい。なお、NY市警からの正式のコメントは一切ない。セルフ・デストラクション？

　
沼田 充司
DJ／プロデューサー。 レーベル＜ブダフェスト＞主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]