(U KNOW)What the deal is
●今月のジャム
5/30に、ダウンタウンはサントスでDJクール・ハーク、KRSのブロンクス2世代のショウが行われた。相変わらずスタミナ自慢のKRSの長尺のショウはPファンク並みだったが、ヒップホップがサウンド・システムをルーツとする事すら知らない現代のファンに、ハークが60年代ソウルから、どうビート文化が進化したのか、セットで見せつけた?
●今月のジャム 2
今年で5年目だかのトゥルー・スクールと銘打たれた70年代ブロック・パーティを再現する企画が今年も続いている。しかしながら、雨天が続き、盛況とは言えないが、6/4にジャジー・ジェイがズールーネイションの伝統を偲ばせる名セットをプレイした。そして、執拗なる小雨のなか、6/11にグランドウィザード・シオドロが、往年のスクラッチ・ショウを新旧のレコードを取り混ぜ披露、現役ぶりを証明してみせた?
●今月の誕生日
ラップ・パイオニア、メリー・メルと、ブルーシーBの誕生日を祝って、5/23、ブロンクスはハンツ・ポイントのニュー・プレイヤーズ・クラブでバッシュが行われた。DJは、AJスクラッチが務め、最近のヒップホップ中心のセットで、パイオニア達は渋い顔をしていた?
●今月のジャム 3
一瞬、いつぞやのデフ・ジャム全盛期のツアーの再現みたいなギグが5/24、ミッドタウンのBBキングで行われた。新作をドロップしたばかりだが、まったくメディアから無視されているメソッド、レッドマン両氏のデュオに、EPMD、レゲトン・シーンから帰ってきたノリ、プーバ抜きのブランニュビアンが出演。再びスモーキーな珍しいNYの会場となった?
●今月の出版
ディスコ・ウィズというDJは、実際2人存在していた。一人はブラックで、一人はラティーノである。今、ディスコ・ウィズというと、大抵の人が後者を指すのだが、その彼の自伝が出版された。パイオニアDJ、MCの一人であるグランドマスター・カズとのパートナーシップから、初のラティーノ、ヒップホップDJとしての経験から、殺人未遂で服役など、赤裸裸な人生を飾る事なく語っている一冊である。出版を記念し、6/5にブルックリンはパワーハウス・アリーナでパーティが行われた。もちろん、カズがDJを務め、ラティーノMC達、ウィッパー・ウィップなどがショウを行い、チャーリー・エイハーン、なぜかナイル・ロジャースがこの自伝の朗読を行った。入場料を払うと本ももらえるという企画は、なかなか憎い?
●今月のオールド・スクール
デスコメット・クルーをご存知の人は少ないであろうが、80年代のNYのノイズ・シーンとヒップホップが衝突した時から存在するグループで、今でもラメルジーなどと活動を続けている。そのクルーを率いるステュワートと、やはりそのノイズ・シーンで活躍したが、常にアンダードッグ視されてきたが佳作を多く残したライヴ・スカルのマーク・Cの新しいユニットが、そういったシーンが存在していたロウワー・イースト・サイドのケイク・ショップで6/11にギグを行った。オーディエンスにもそういった80年代シーンに居た懐かしい面々もいて、一瞬タイムスリップしたようなセッティングでした?
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]