HAKASE-SUN + COBA-U
REGGAE SUNCONCIOUS MELODY
Interview by Takeshi Miyauchi / Photo by Hiroto Sakaguchi
6作目となるアルバム『南国タキシード』を完成させた、HAKASE-SUN。日本屈指のレゲエ・キーボーディストの隣にいるのは、各地にCoba-U菌の感染者を増加させている"レゲエ・ドール"。はてさて、二人をつなぐ接点とは?
コンスタントなペースで、ソロ・アルバムをリリースしてきた、レゲエ・キーボーディストのHAKASE。昨年は、井口奈己監督による映画『人のセックスを笑うな』の音楽を担当した。
HAKASE(以下H):サントラをリリースして、自分の中の、レゲエとは違うツボの部分を出すと、身体が軽くなるというかね。あれでいろいろ出し尽くしたんで、今回はからっぽな感じで作りはじめた。
HAKASE-SUN名義の6作目のオリジナル・アルバムとなる『南国タキシード』は、レゲエをフィルターに、カリブから沖縄まで、パン・パシフィックな音楽風景を彼ならではの解釈で描いていく。
H:ホントは"南国タクシー"でもよかったんだけど(笑)。南国といっても、そんなにトライバルなものになるワケでもなく、西洋音楽の中で南国的な光景。ヴァン・ダイク・パークスの『Discover America』とか、細野晴臣さんの『泰安洋行』とか、ああいう感じの南国系のコンセプト・アルバムを意識して作って。メロディにしても、コード進行にしても、気持ちよく自然に流れていくような......ビールを飲みながら楽しく聴けるようなね。それは、ここ数年ライヴの本数が増えてるのも影響してるのかもしれない。俺の中では、これまでに(ソロ・アルバムを)5枚出して、また最初の頃に戻ったような感じもあるんですよね。で、1周するごとにいろんなものがそぎ落とされて、成熟してきて、だんだんシンプルになっていけばいいなって。
アルバムには、HAKASE-SUNのサウンドに抜群の相性をみせるヴォーカリストの武田カオリ、最近ではCool Wise Manで活躍のトロンボーン奏者icchieや、Ego-Wrappin'など引っ張りだこのサックス奏者・武嶋聡など豪華なメンツが顔を揃えているが、なんといっても注目は全編にてギターを担当した、松竹谷清の参加だ。
H:今年の3月、リトル・テンポでゲストに来てもらって、ちょっと軽く清さんと飲んでるときに、この人にギター弾いてもらえたら素敵だなってひらめいちゃって。実際やってもらったら最高でした。こういうサポートっぽいのをやるのって久しぶりだと思うけど、楽しんでやってもらえて。オーセンティック系のもあるし、UKラヴァーズっぽい曲もあるし、沖縄民謡もあるし、すごく華のあるアルバムになったかなって感じてます。
ここで、もうひとつの作品を紹介。昨年デビューを果たしたレゲエ界においては貴重な(?)アイドル=Coba-U自身が企画し、童謡や唱歌をレゲエ・アレンジでカヴァーした『童謡レゲエ』がリリース。本作のプロデュースをHAKASEが担当している。という事で、Coba-Uにもインタビューに参加してもらおう。
Coba-U:私は、童謡が好きでよく聴いたり歌ったりしてたんですけど、どれも単調な感じでまとまってるイメージがあって、もうちょっとかわいいのがないかなって思っていたんです。そこにHAKASE-SUNの不思議な魔法をかけていただいて。一番びっくりしたのは、1曲ごとのストーリーも色濃くなって、今まで私がイメージしてた童謡よりも、はるかに深いものになってるなって思いながら歌いました。
H:「椰子の実」は絶対ナイヤビンギだと思ったし、「赤い靴」はスカだって思ったし、アレンジは結構直感でひらめきましたね。とにかくCoba-Uちゃんの声が綺麗なんですよ。だから彼女のピュアな魅力を出せたらなっていうのはあって。若い娘さんの将来を華々しいものにしたいですからね(笑)。制作の順番としては、Coba-Uちゃんのアルバムのほうを先に手がけてたので、そこで使ったドラムのトラックを『南国タキシード』でも使ってたりして。曲は全然違うんだけど、そういうつながりもあったりして。ある意味、兄妹アルバムみたいなね。まあ、親子アルバムでもいいんすけど(笑)。
「Coba-U & HAKASE-SUN ダブルCD発売記念ライヴ」
7月11日(土)新宿Open(03-3226-8855)
"南国タキシード"
Hakase-Sun
[Nowgomix / NGCA-1038]
"童謡レゲエ"
Coba-B
[Bahamas / GNCL-7011]