PUSHIM
RENAISSANCE
Text by Nobuhiko Mabuchi / Photo by Akira Okumura (D-Cord Management Ltd)
既に配信リリースされている「LOVE THIS MUSIC feat. JING TENG」、「DANCEHALL RUN DI PLACE feat. SPRAGGA BENZ」に続くアルバム先行シングル「ルネサンス」。仏語で再生や復興を意味するタイトルを掲げたメッセージ・チューンが、極上のバラード曲として届けられた。
今夏12週連続で全国各地の野外フェスに出演してきたPushimが、そのショウで「I pray」の流れから“One Love!”とメッセージし、大観衆が手を繋ぎ“和”を生み出すという感動の光景が広がったバラード曲。それが今作「ルネサンス」だ。
「アルバムに向けてバラードを作ろうという構想はだいぶ前からあったんですけど、バラードは作ろうと思って作れるものではないので、気持ちが高まってイメージが膨らむまで作らずにいたんです」
そう語るPushimは、あるときフッと沸いてきたこんな気持ちから今作を書きはじめたという。
「TVで観るニュースや新聞が伝えている記事って、悲しい出来事ばかりやなと思って。何でウチら人間ってもっと仲良くできへんのやろという素朴なギモンに直面して、そこから曲のテーマが決まりました」
彼女が今作で伝えたかったのは“愛すること”と“心(魂)の復興”というメッセージだ。戦争、テロ、殺人、喧嘩、醜い争いの根本にあるネガティヴな魂を、ポジティヴな方向へと導いてくれるものは愛する心。この曲のラストをPushimは“争いの星の上で君と今生きているんだ だから愛して欲しい”という言葉で締めくくっている。
歌詞の世界観を演出するワンドロップ系の心地よいミディアム・トラックをプロデュースしたのはPushim本人、そして彼女の名クラシックス「a song dedicated」や「I Wanna Know You」を手掛けてきた名手・森俊也。さらにミックスはシンガーものには絶対の評価を受けているジャマイカ屈指のエンジニア、Rohan Dwyer(Tarrus Rileyなども手掛けている)が卓を操るという強力布陣だ。
ちなみにジャケット写真はPushim本人が撮影したもの(Pushim a.k.a. 篠山富心が撮影した気まぐれ写真館をオフィシャルホームページで連載中!http://www.pushim.com/)。これまでも彼女は自身の作品に関わるアートワークには意見を通し、楽曲をパッケージするジャケット・デザインにもこだわりを持ってきた。今作では肌の色が違う手と手が優しく繋ぎあっているその写真で、曲の世界観を見事にフレーミングしている。
また、カップリングには「HEY BOY」のリミックスとなる「HEY BOY, HEY GIRL feat. COMA-CHI & MICKY RICH」を収録。Pushimのサビのフレーズやコーラスのみを残し、次世代を担うNO.1フィメイル・ラッパーComa-ChiとEnt Deal Leagueから技巧派シングジェイMicky Richがかなりエロティックに掛け合う、超レゲエ的なリミックスに仕上がっている。フロア受け抜群でサウンドマンもいち早く反応しそうなキラーチューンだ。
今夏の野外フェスをひとつの愛で包み込んだ名曲「ルネサンス」、そしてスペシャル・リミックス「HEY BOY, HEY GIRL feat. COMA-CHI & MICKY RICH」の2曲を収録する今作。レゲエ・マナーをしっかり踏襲しながらオリジナルの歌声とソングライティングでスタイルを築き、ジャンルを越えて評価されるPushimの魅力をじっくり堪能できる作品だ。
"ルネサンス"
Pushim
[Ki/oon / KSCL-1319]