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302    ARTISTS    RED SPIDER

Junior from Red Spider
Ruggamuffin Ruler From West
 
Text by Naohiro Moro
 

昨年12月のゼップ大阪での実況録音盤を皮切りに、コアなダンスホール最前線、チル系ミディアム集、新人企画と、2枚組を含む3作のバランスのいいプロデュース作品を短期間に立て続けにリリースし、2008年、気を吐く“西の雄”RED SPIDERのJUNIOR。そんな多忙な彼にメールで質問を投げかけ、応えてもらった。
 
のっけから私事なのだが、40数年、関東近郊で生きてきた僕なのだが、縁あって、このところ、仕事の絡みで名古屋に居たりしている。そして、そこで感じることがある。何を、って、箱根から向こう側では、あまり分からなかった「RED SPIDER」の存在感を、だ。
 
場合によっては「何を今更言ってるのだ、オッサン! お前だけだ!」と怒られることなのかも知れない。その上、僕は、レゲエ・ライターとして、これまでも、何度もJUNIORを取材して来たし、いろんなところでRED SPIDERについて書かせてもらってきた。つまり、彼のプレイ・センス、度胸、音楽性、プロデュース能力などが優れていることは充分認めてきたし、それを文章にしてきたつもりだ。
 
で、何を知らなかったのかって、それは、東海以西におけるRED SPIDERの圧倒的な人気を、だ。「そっか、やっぱ、そんな人気あんだぁ」て、ことである。
 
ゼップを一人でパンパンに埋め尽くした地元大阪は、ま、当然として、僕が目にした名古屋では、2月のラディックス、4月のダイアモンド・ホールと、短いスパンで、各ハコのキャパを軽くオーヴァーする動員を実現している。正に「鉄板」なのだ。客層も若く、健康的で、実に楽しそうだ。
 

 
因みにゼップ大阪ワンマンのことについてJUNIORに聞いてみると…
「ONE SOUNDでどんだけ出来るかというのもあるし、DUBもけっこうあるので、普段かけない曲もかけたかったし、一人やから流れも自分で作れるし、面白かったからやって良かったですね。普段、どこかにブッキングしてもらって、呼ばれた時とかは、30分を2ターンぐらいで終わりですからね」とのこと。思えば、ジャマイカでは「一晩ONE SOUND」は別に特別なことではない。もちろん、ジャマイカと日本では大きく違う国ではあるが…。このゼップ大阪ワンマンの模様は実況録音を収めたCD『緊急事態』で聞くことが出来る。
 
「まず、売れてる曲は売れ線、売れてないのはコアって言うのはちゃうでしょう。どっからどこまでが売れ線なんかは難しいと思うけど、まず、音に関して言えば、オレがよくピコピコレゲエって言うてるんですが、単に現場とかで活動してない人達について言うてるんじゃなくて、本場の音をちゃんと聴いてる人は分かると思うんやけど、ベースラインやったり、キッックの音、ハイハット、スネア、ピアノとかの音がペラペラのやつ(曲)の事を言うてるんですけどね。J-POPに消化されるんじゃなくて、うまい具合に日本語でメッセージ伝えてる人達の事をハードコアやな思います。でも、最近はジャマイカ人に音だけ作らせて、リリックは空っぽの人もいてるじゃないですか?! DeeJayって言うのは特殊なジャンルなんで、ただ単に韻踏んだらよいって思ってる人も多いし、韻踏み過ぎて意味分からん事になってる人もおるし。ただ単にVIBESだけでもっていく人もけっこう増えてきてるから…。グルーヴ感、メロディ、日本語、この三つをけっこう気にしてる人はすごいと思います。三木道三とかですね。でも最近の“売れたらアカン”みたいな流れはサムいっすね。一人でも多くの人に聞いて欲しいからCD作ったり、でかいイベントで歌ってるんでしょ。別に売れたくないならメジャーでCD発売する意味あんの? 日本でやるんやったら“レゲエのマナーに乗っかって日本語でメッセージ伝えれるか”とちゃいますか?! 別にレゲエのオケじゃなくて、例えばHIP HOPのオケでもちゃんとDeeJayできる人もいてるし、DeeJayとしてのマナーを守らなアカンのちゃいます?と、俺は思います」
 
これは「“売れ線系”と“コアなもの”みたいな構図が、レゲエでも言われる様になってきましたが、どう思いますか?」という問いに対するJUNIORの回答だ。ひとつ間違うと問題発言になりそうな、少し危険な意地悪な質問に、誠意を持って応えてくれた。
 
JUNIORがこう応える真意には、彼がハーコーな言動、活動と同時に、バランス良く、MINMI、湘南乃風といった国民的人気を誇るオーヴァーグラウンドのレゲエ・アーティストとも活動してきた部分があるからなのだろう。しかも、そこら辺りは、JUNIORにとって何の矛盾もない部分だ。なぜならMINMIの初CD作も、インディ時代のHAN-KUNも、JUNIORはいち早く手掛けているからである。彼らが爆発的な人気を獲得する過程をJUNIORは見ていたのだろうし、そうした絆を、彼は今でも保っているに過ぎない。
 
レゲエを表現している以上、レゲエを愛してないアーティストがいるはずない。そして、それが「レゲエ」か、否か。それを判断するのは、最終的にはリスナーであるべきだ。そうあって欲しい。そうしたことへの回答、つまり「J-POPに消化されることのないレゲエとは、どんなものなのか」が、『ROCK CITY 4』、『モーレツ・レゲエ・ワークス』、『YOUNG BLOOD 4』などといった、JUNIORの活発な最近のプロデュース・ワークの作品集の中に垣間みることが出来るのかも知れない。いずれにせよ、彼のエネルギー、創造意欲が燃えたぎっていることは想像に難くない。2008年の活動を見守りたい。
 
もう5月である。つまり、今年も、もう終わった様なもんだ。だってもう夏じゃないか。夏になったら、野外フェスにいっぱい行って、遊んでるうちに、あっと言う間に、すぐ終わっちゃうんだ。そしたら今年ももう終わりでしょ?…て、そんな訳ないか。ともあれ、今年も実りあるシーズンの到来を祈るばかりである。
 

"Rock City 4"
V.A.
[Victor / カエルスタジオ / VICL-62739〜40]



"モーレツ レゲエ ワークス"
V.A.
[Victor / カエルスタジオ / VICL-62810]



"Young Blood 3"
V.A.
[Victor / カエルスタジオ / VICL-62789]

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