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Unmissable Story extra pieces from Ruffn' Tuff vol.10
Clevie Brownie

 
Interview by Shizuo "EC" Ishii / Translated by Mizuho Takahashi / Photo by Masataka Ishida
 

 
ボビー“デジタル”ディクソン。キング・ジャミーのエンジニアとして数々のヒット曲のレコーディングに立ち会った後、1987年に自身のレーベル、デジタルBをスタートし、現在も尚、先頭を走り続けているトップ・プロデューサーの一人だ。人より先をいく最新型トラックはもちろん、60〜70年代のリメイク・トラックも抜群のセンスを誇るボビーに話を聞いた。
 
 ファンデーション・ミュージックが好きかって? もちろんさ。ルーツを愛するのは当然だ。ルーツがなければそこから派生するものは何もないからね。ファンデーションはとても大切な、俺には欠かせないものだ。もう昔の話だが、俺は80年代にDJとしてココ・ティと1曲レコーディングしたんだ。その時のスタジオのノリで何となくやったが、市場に出してみたら見事に撃沈だったね。でも、それだって俺のファンデーションから出てきたものだったんだ。小さい頃から聞いてきた音楽や、スタジオで積み重なっていったヴァイブスやらが、自分の中から溢れ出てくることがあるからね。

 60年代の曲で好きなもの? ホントのことを言うと、当時の曲はどれも大好きさ。あの頃の曲はどれもいい歌ばっかりだから、一曲だけ特に選ぶことはできないな。あの時代の音楽全体が好きなんだ。全部がいい。好きなグループ? あの頃はものすごい数のグループがあったからな。とてもじゃないけど一つだけ選んで名前を挙げるなんて無理だ。あの当時に生まれたグループはどれも素晴らしいからね。お気に入りのプロデューサー? これも選べないな。俺は彼らが作った曲を聴いて学んできたし、そこから更に向上したいと常に心がけているからね。コクソンでもキング・ジャミーズでもスライ&ロビーでも、基礎を築いてきたプロデューサー達には心から敬服している。俺が今言えるのは、自分自身が成長して、この音楽をやり続けるってことだけだね。

 ジャマイカのプロデューサーは金を出すだけじゃない。創造されるべきものが創造されるべく手を貸す役目がある。どう言ったらわかりやすいかな? つまり、プロデューサーとはこの音楽の質を高める努力を怠らない人間なんだ。アーティストの持っているいいところを作品でしっかり表現できるようにしたり、励ましたり、刺激してみたり。アーティストとプロデューサーはパッケージみたいなものさ。アーティストがただスタジオにやって来て歌うだけじゃない。トラックのデキはどうか、リリックはいいか、キーを外さずに歌っているか、プロデューサーが全てうまく行ってるかどうか確認するんだよ。

 一番大切なのはメロディだと思う。メロディが良くなかったら、たとえどんなに駆り立てられるリズムがあっても、どんな秘密兵器があってもダメだね。メロディの良くない曲は面白い曲になりようがない。人の心に届くのはメロディだ。リリックが聞き取れなくても、メロディの成り立ちは感じ取れる。たとえ言葉がわからなくても、「なんだ、この曲? いいなぁ」となるのはいいメロディゆえなんだ。俺はメロディが聞く人の心を動かすと思っているよ。

 レゲエ・ミュージックは急成長している商品だ。レゲエが世界中の人の心や魂を揺さぶったり、あらゆる種類の芸術にインスピレーションを与えている。なにしろレゲエはわかりやすい音楽だからね。俺達みたいなゲットー出身の人間は、一瞬でビートを掴んで、二、三度身体を揺らしているうちにヴァイブが伝わってくる。音楽を、ただ感じるんだよね。音楽が差し出すものを、ただ感じるだけだ。
 
 その時代、時代ごとに存在していた音楽スタイルに関わってきた人達がジャマイカには大勢いる。俺もある時代から今までこの世界にいるわけだが、各々の時代の楽曲を違った形で紹介していきたいと思っている。そうすることで、より若い世代は、その時代とも関わりを持てるようになるだろう? 当時のことを知らないからといって仲間外れにされるんじゃなくて、その時代の文化や、この音楽がどう生まれたのかを知ることができる。だから俺は時に曲をリサイクルしたり、オリジナルのアーティストに実際に頼んで歌入れしてもらったり、若いシンガーにファンデーション・ソングに挑戦してもらったりするんだ。オリジナルのアーティスト達が突然、ドッと消えてしまったらどうする? その時のために、クラシック・ナンバーを甦らせることができるシンガーを誰かが育てておかなくちゃな。「この歌、覚えているぞ」とリスナーに言ってもらうためにもね。カバーやリメイクは若い世代に古い世代の音楽を紹介していくためにやっている。彼らはリメイクから、この音楽の歴史を学んでいくんだ。この音楽がどういう道を歩んできたか、俺達ジャマイカ人は決して忘れちゃいけない。礎を作った世代には敬意を払う。どんな小さなことでもいい、自分にできる形で敬意を表したいと俺は思っているよ。
 
"Best Of Digital-B 1"(SOLD OUT)
V.A.

[Overheat / OVE-0011]
 
"Best Of Digital-B 4"(SOLD OUT)
V.A.

[Overheat / OVE-0021]
 
"Best Of Digital-B 11"(SOLD OUT)
V.A.

[Overheat / OVE-0062]

 
 
■DVD
「Ruffn' Tuff 〜 Founders of The Immortal Riddim」DVD
監督:石井 "EC" 志津男
[Dex Entertainment / DXDS-0064]


  
■CD
「Ruffn' Tuff 〜 Founders of The Immortal Riddim」
O.S.T.

[Overheat / OVE-0100]
¥2,625(tax in)カリプソ、スカ、レゲエなど全16曲のベスト・セレクション。

 
■BOOK
「Ruffn' Tuff:ジャマイカン・ミュージックの創造者たち」
監修:石井“EC”志津男
A5判/192ページ

リットーミュージック¥1,890(tax in)

出演者の中から13名のインタヴュー+石井、石田、落合のエッセイ集。

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