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293    ARTISTS    LIKKLE MAI

Likkle Mai
MW
 
Interview by Jose Saito / Photo by Yura
 

自身のプライヴェート・レーベル“MK Starliner”を立ち上げ、よりダイレクトに音楽活動をスタートさせたLikkle Maiのソロ第2章はレゲエの原点に回帰した名盤! サンプルの発送からライヴのブッキングまで東奔西走する彼女に話を聞いた。
 
 「(1stソロ・アルバム)『Roots Candy』を出して、フジロックからカフェみたいな所でのアコースティック・ライヴまで色々なステージを体験してきて、(自分に)求められてるって感じたのが“レゲエ”と“日本語のリリック”だなって。
 よりお客さんと密なコミュニケーションをって思うと、やっぱり日本語の方が絶対有利だし、前作ではレゲエっていう枠をとっぱらって音楽そのものにフォーカスしたんだけど、私自身も人生で一番影響を受けている音楽は圧倒的にレゲエだから、今回は得意なことを素直にやってみたという。……本当にね、この1年間歩んできた流れがこの『MW』に如実に現れているんじゃないかと思います」(Likkle Mai/以下括弧内は彼女の発言)
 

彼女の考えはいつも明確で核心を突いている。自分が一番のレゲエ・ファンであるという自負があるからこそ、オーディエンスが何を欲しているかということがよく見えるのだろう。
 
さて、文字通り本作は彼女の原点回帰とも言えるレゲエ・アルバムなのだが、冒頭を飾る、打ち込みのリズムに生の管楽器が映えるルーツ・ステッパー「My Woman」や、泣きのホーン・アンサンブルがグッと心に沁みるロック・ステディ「Home Sweet Home」、Little TempoのTicoによる開放的なスティール・パンの音色が心地よい「Shine On Me」など、とにかく明るいイメージの楽曲やホーンの華やかさが目に付く。
 
「元々スカって大好きで、ホーンはセクションになった時が一番気持ちいいなって思ってて。今回、バンドには西内徹さん(Reggae Disco Rock-ers)、芝井(直実)さん、Icchieさんとか錚々たるメンバーが参加してくれているんですけど、文句なしにレゲエの『ワァーッ!』って両手を上げたくなる感じが出てますよね。今まで得意としてきたマイナー・コードはそれだけでクールに聴こえてくるんです。でも今回は明るくて楽しい、そして力強いレゲエを提示したいっていう気持ちがあって。“My Woman”とかもホント、そういうイメージ」
 
では、実際のレコーディングについてはどうだったのだろう。
 
「録り方もすごく工夫して、音楽スタジオは一切入らなかったんです。“Home Sweet Home”なんかは森俊也さん(Dreamlets他) の生ドラムなんですけど、それは国立(市)の地元のクラブを借りてテーブルとか全部片して録ってみたら、部屋鳴りがあって凄く良い音で録れたんですよね。で、『これは使えるぞ』っていうことで、ホーンセクションもそこで録ったりとか。結構、そういう意味では“国立サウンド”なんですよ(笑)」
 
そんな100%ホームメイドな本作。誰に一番聴いて欲しいだろうか。
 
「私の場合はレゲエのあるジャンルだけにフォーカスしているわけじゃなくて、スカからダンスホールまで一貫してレゲエのスペシャリストなんで、そういうレゲエの懐の深さっていうのをこのアルバムで体現したかったんですよ。あと、女の人がもっとこないとシーンが盛り上がらないでしょ? ダンスホールDJの方って、より男性的な世界観じゃないですか? それは否定しないけど、もっと女性とか、今まで足を運ばなかった人がいないとこれから先、私も食えないし(笑)。……それは男性には出来ない、私にだからこそ出来ることかもしれない」
 
このように、シーンの中で自分の役割をはっきりと認識しているアーティストはどのくらいいるのだろうか? 更にはプライヴェート・レーベル“MK Starliner”(ネーミングはやはりマーカス・ガーヴェイの“Black Starliner”より拝借したそう)を立ち上げ、その活動の一切を自分達主導のものへと移行。これはかなりの自負と覚悟だ。
 
「だから私、今こそレゲエ・ミュージシャンなんですよ。『後ろ盾がないっていうのはこういうことか!』っていう思いもしてるし、背負ってるものもあるし、ある意味レゲエを歌うのが本当に楽しくなっちゃって」
 
“操り人形になるくらいなら、自由な人間として墓に入るわ!”……ラストを飾るジミー・クリフのカヴァー、「The Harder They Come」の詩世界そのままに、確かなヴィジョンを持って前に歩き始めたリクル・マイ。これからの動向にも注目だ。
 
"MW"
Likkle Mai

[MK Starliner / MKD-001 ]

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