Magnum Sounds Come
Get Ya Ears Ready
Text by Hajime Oishi
Sunset the platinum sound、Infinity 16、Blast Starという日本を代表する3サウンドから、それぞれのプロデュースによる音源集が到着。通常のミックスとも違う、彼らのこだわりが随所に見られる入魂の3作品となった。その中身をチェックしていこう。
ジャマイカは言うに及ばず、昨今日本のサウンドマンたちによる音源制作/プロデュースが盛んだ。かつてからその道を探求していたMighty Crown、Mighty Jam Rockのほか、Racy BulletのMA$AMATIXXXXも同クルーであるEnt Deal Leagueの音源などで腕を奮っている。それはダブ録りで得られたスキルを音源制作の面でも活かしていこうとする姿勢の現れと言えるだろうし、なによりもそれらの音源からは日本独自のダンスホール・スタイルを確立していこうとするサウンドマンたちの心意気がビシビシと伝わってくるのだ。
Sunset the platinum sound
今回新たに届けられたサウンド・プロデュース/制作盤の一枚としてまず紹介したいのが、先頃発表された自身プロデュースのコンピ『Platinum Compilation Vol.1』も好評のSunset the platinum sound制作による『Concrete』。これはSunsetが2005年のレーベル設立時に第一弾として発表され、Fire Ball「亜熱帯ゾーン」などでも使用された“Concrete”リディムのワンウェイで(オケ制作はKirk Benett)、Atooshi「No.1」やH-Man「まだまだ」などダンスではお馴染みとなった高速ジョグリン・チューンが満載だ。また既発の代表曲だけでなく、Boogie Manの「King Of Reggae」やDeli「Abre O Olho?? Acorda」といった新録曲も収録。Sunsetの看板オケであり、現場で“テスト”を繰り返されていくなかでその爆発力が証明されてきた“Concrete”だけに、リリースから2年経とうとも衝撃度はまったく薄れていない。まさにモンスター・リディムであることを証明する1枚だ。
"Concrete"
Sunset the platinum sound
[Victor / VICL-62360]
Infinity 16
続く『Dream Lover』は、先日NYで行われたクラッシュ“International Cup : Garisson Showdown”でBlack Katらを下して優勝を手にしたInfinity16が初めてプロデュースを手掛けたシングルだ。湘南乃風、Minmi、Moominという縁深い面々が集った「Dream Lover」は、湘南乃風のヒット曲も手掛けたTaka“Blood”I(Super Trash/Riddimix)とInfinityの共同制作による温かなトラックが印象的なミディアム。MinmiとMoominの柔らかな歌声の合間を縫うように湘南乃風の熱いメッセージが響き渡る、Infinityと仲間たちの絆の強さを感じさせる仕上がりだ。また、盟友Gokiを招いた「つぼみ」のほうも、Gokiの歌心が染みるナイス・ミディアム。前述のクラッシュでの優勝も含め、大きな躍進の年となるであろうInfinityの勢いと気合いが溢れるシングルである。
"Dream Lover"
Infinity 16
welcomez 湘南乃風, Minmi, Moomin
[Far Eastern Tribe / UMCF-5004]
Blast Star
最後に紹介するのは、Ari-TとKaz Fireの2人による、結成11年目を迎えるBlast Starプロデュースの『Miami Shine』。マイアミなど海外でも多くの現場をこなしてきた彼ららしく、ジャマイカ陣営半分/ジャパニーズ半分という面子で制作されている。最近絶好調のStephen McGregor(Freddieの息子)によるスウィートなミディアム・オケに乗ってAlaine、Turbulence、Moominが歌声を競う3曲からスタートし、その後もLukie D×Minmi&Rudebwoy Face×Han-Kun、Vybz Kartel×Yoyo-C×Rudebwoy Face、Lutan Fyah×Mr.Perfect×Reiliという競演が全4リディム12曲に渡って繰り広げられる訳で、ジャマイカ/日本のフレッシュな面々を招きながら、それを1本の糸に結び合せてBlast Starの世界を表現した技アリの一枚である。後進への影響・衝撃も少なくないはずだ。
"Miami Shine"
Blast Star
[Universal / UPCI-1060]
こうした試みが実を結んでいくこと、それは日本ダンスホール・シーンの成熟を現すものとも言えるだろう。引き続き、志あるサウンドマンたちの奮闘に期待したい。