THE LIVING FIRE / CHUCK FENDA
[GREENSLEEVES / GRELCD298]
5thエレメント離脱後、S・ブラウン(エロールの息子)の強力バックアップのもと放つC・フェンダa.k.a.プアピープル・ディフェンダの2nd。衝撃的な歌詞で放送禁止になった「Gash Dem」始め、(ジャケ通り)直球勝負が武器。大ヒットしたC・アンダーソンとの「Coming Over」も無論いいけど、タンヤと燃やす青白い炎も渋い。不条理を黙認できない時、燃やして浄化。とりあえずコレ、いあみのっ![輸入盤](遠井なつき)
ON MY MIND / DA'VILLE
[VP / VPCD1752]
「イン・ヘヴン」のヒットで日本のレゲエ・ファンには人気の高いダヴィルの最新作。昨年、日本で発売された2nd『キャント・ゲット・オーヴァー・ユー』と数曲ダブるものの、約6割がアルバム未収録曲なのでコチラも要チェック。M・グリフィスとの「オール・マイ・ラヴ」はシングルがリリースされた当時大好きな曲だったので、久々に聴いてグッときた。プロデュースはスティーヴン・マクレガーが担当。[輸入盤](小池信一)
PAPADUB / PAPADUB
[ONE NOTE RECORDS / NBIP5034]
ジャズ、ファンク畑のミュージシャンによって結成されたバンドです。これがデビュー作。純粋にレゲエに対する熱を多彩なスパイスで味付けして聴かせます。テクニックは抜群! 更にファンキー+躍動した生音=レゲエ心が注入された素晴らしい作品。カツオのオススメポイントはハモンド・オルガンです。あたたかに音色をたっぷり楽しんで下さい。LSKが参加したヴォーカル曲は最高の出来映えで二重丸。[輸入盤](磯野カツオ)
オール・ザット・マターズ/サトリ
[スカ・イン・ザ・ワールド/SIWI65]
何て優しい歌だろう、聴く人の気持ちにすんなり溶け込んでしまう魅力に溢れている。決してシャウトはしない、けれどソウルが伝わる。60年代のロック・ステディを情景にしてSatoriの新色が加わったモダン・サウンド。サックス奏者でもあるマルチ・プレイヤーだけにMood演出も見事。Sam Cookのカヴァーが収録されています。それは、ソフトだけど芯の強い彼の良さを象徴した1曲。聴けば聴くほど愛着がわく作品。(磯野カツオ)
シェイク・イット/ザ・ペッパー・ポッツ
[スカ・イン・ザ・ワールド/SIWI71]
前作が好評だったスペインのグループの新作。これは大変だ、ドリーミー度が増しているぞ、半端じゃありません。彼女達のキュートさは全世界をハートマークにしてしまう勢い。ワクワクしっ放しさ。夢、60's、ガールズ・ポップ、ハーモニー、ワオー! 皆が好きで憧れる物ばかり詰まった箱なのね。爽やかな青空の下で踊りながら聴いたらもうたまらない。60年代には戻れないけど、僕らにはPetter Potsがいる。(磯野カツオ)
ベスト・オブ・ハセ-T〜プロデュース・ワークス“ブーム・ボックスVOL.1”/V.A.
[コロムビア / COCP-50987]
マイクを握る若き熱血漢が増え続け、新しいリディムの需要が伸び始めた時代に先陣を切ってプロデュースとトラック・メイクに尽力してきたハセ-Tの仕事集。アーティストに提供したトラックやテーマ毎によって制作してきた数々のコンピ・シリーズで氏の引き出しの多さと構成力は実証済みだが、どんなタイプのオケであろうとハセ-T節が滲み出ているのが分るはず。ノンストップ・ミックスは盟友MA$AMATIXXX。(大場俊明)
ジェネレーション・ティーチャー/ゲン-T
[ジャポニカ / GT-CD01]
Hase-Tと同様、Gen-Tの「T」は「Teacher」の「T」(実際、教員免許を持ってるとか)。ラバダブ三兄弟の一員として地元北海道を中心に夜な夜な「レゲエとは何ぞや」とヤンチャな生徒達に授業をしているDJ。先生ならではのメリハリのある声とユーモラスを交えながらの地元密着型のリリックスが、Japonicaによる80'sフレイヴァ溢れる軽快なサウンドと相まって、ニンマリ顔でついつい腰が動いてしまうのでした。(大場俊明)
サドン・デストラクション/シャギー・トージョー
[ピリカ・アトゥイ/アルファエンタープライズ / YPR-4027]
何を称して「純粋なレゲエ・ミュージック」と言うのかは分らないが、ここには確かにそれがあると思う。スタイルとしてはいわゆるニュー・ルーツと言っていいだろうが、シャギー・トージョーの求道者としての突き詰め方、アーティストとしての表現力、それを形にするプロデュース力、それら全てが彼の純粋さゆえに発揮された作品だと思う。ここには開かれた音楽が隅々まで詰まっている。只々身を委ねるべき。(大場俊明)
レゲエ・ドリヴン カヴァー・ヒッツ/V.A.
[ビクター / VOCP63748]
「目に青葉、耳にドリヴン、春のドライヴ」なんて唱を詠める程、新緑の季節に気持ちいいカヴァー・コンピの登場。スウィートなのに重くなく、切ないのに湿度低めに、サンチェスやT・リネン、ダヴィルら美声シンガーがカヴァーするダンスでも定番の名曲達に、ちょい懐かしいシャインヘッドやラスタ勢もしっくり組み込まれた好盤。中でもトーラス・ライリー「Stay With You」(原曲ジョン・レジェンド)、いいです。(遠井なつき)
レジェンド・オブ・ダンスホール〜グリーンスリーヴス・ミーツ・レゲエザイオン/V.A.
[ユニバーサル / FAEC / POCE-15502]
レゲエの着うたでお馴染み、レゲエザイオン選曲による、タイトル通りの80年代のダンスホールと現在のダンスホールをつなぐコンピレーション。W.Smith「Under Mi Sleng Teng」やA.Bailey「Punanny」といったファウンデーションからT.Matterhorn「Dutty Wine」やMr.Vegas「Do You Know」まで必ず聴いた事があるだろうビッグ・チューンがズラリと並び爽快。いい曲しか入ってないので入口としては最適。(大場俊明)
ポートレイツ・オブ・ジャマイカン・ミュージック/O.S.T.
[ユニバーサル / UICY-4338]
スカ誕生からダンスホールに至るまでのジャマイカン・ミュージックの流れを貴重な映像で綴ったドキュメンタリー映画『ポートレイツ・オブ・ジャマイカ』の上映を記念して作られたアルバム。収録曲はアイランド・レーベル所有の音源から厳選されたもので、70年代ルーツ・レゲエ期の作品が中心。俗にいう名曲は数曲しか収録されていないが、マニアックなセレクションから選曲者のこだわりがヒシヒシと伝わってくる。(小池信一)
ダンスホール・ハイ!! 3/V.A.
[フライングハイ / FLH-28]
Fly-Tによる全曲録りおろしの人気コンピ・シリーズの第3弾。今回はタイプの異なる3つのリディムを用意し、ArareやRicky-Gといった注目の若手達から、Shiba-YankeeやZeebra Manなどのヴェテランまで17名ものマイク持ちが競演。なんと言っても嬉しいのはV.I.P等で活躍したHey-Zの復活作となる「We Need A Love」。Chappa Ranksとの共演というのもまた粋な演出だ。しかも申し分ない仕上りだ。(大場俊明)
ビッグ/メイシー・グレイ
[ユニバーサル/UICA-1026]
レコード会社を移籍しウィル・アイ・アムのレーベルから発表された新作。前半の展開では音作りもシンプルに、「楽曲の良さ」一本で勝負した結果、けれんみのない歌世界が現出、彼女の音楽を混じり気のない状態で抽出するウィルの手管には再度舌を巻くことに。ただし、後半に並ぶキレキレなファンク・チューンには、彼女の凄みを改めて見せ付けられた格好。ナズからファーギーに至る多彩なゲストも華を添える。(石澤伸行)
ヴェテラン/マーカス・ヒューストン
[ユニバーサル/UICU-1128]
男子トリオ、イマチュアのリードシンガーとして活躍した後、数々のドラマや映画でも露出を続ける彼による3枚目。フロアを直撃した「Like This」等ではウェッサイ流儀で賑々しくキメるが、本作の醍醐味はミッド曲にこそありそうだ。どこか90'sな雰囲気を湛えたスムースでドラマティックなサウンドと艶やかなマーカスによる喉ワザとの組み合わせの妙は、彼が次なるステップへと歩みを進めたことを伝える。(石澤伸行)
エル・カミーノ/エイドリアナ・エヴァンス
[レキシントン/LEXCD07001]
2年ぶり3作目。ボッサやフォークを始め、相変わらず間口の広い音楽性が披露されているものの、強い印象を残すのは“ヒップホップ・ソウルへの回帰”。それも、夫ドレッド・スコットとの共同作業が織り成す、90年代を彩ったドープネスとメロウな空気感だ。極めつけはシングル曲「Hey Now」の屋敷豪太とドレッドによるリミックスか。彼女のたおやかな歌声を優しく包み込むような端正な仕事にウットリ。(石澤伸行)
イントロデューシング…ジョス・ストーン/ジョス・ストーン
[東芝EMI/TOCP-66660]
16歳でデビューした白人ソングストレスによる3作目。プロデュースを手掛けたラファエル・サディークの仕事が冴えまくり、ビート主導のアップ群や綺麗なミッド曲まで含め、彼女による“鋼の如きヴォーカル”の魅力が存分に引き出されている。コモンやローリン・ヒルらが迎えられ、作品全体が醸す情景はなかなかに華やかだが、彼女は浮き足立つことなどないどころか、アルバムをひた向きなまでに牽引している。(石澤伸行)
ザ・トゥルース・アバウト・ラヴ/レマー
[ソニー/EICP-754]
これまでの作品が、活動拠点となるUKで大きな評価を受けてきた男性シンガーによる3作目。自らも制作に関与する一連の演目は、どれも楽曲としての旨みに満ちているが、今回のポイントはなんといっても彼の歌が醸す力強さだろう。マーヴィンやサムといったソウル・ジャイアンツが憑依することもしばしばで、特にジョス・ストーンとの競演曲は、彼女の絶好調ぶりも相俟って、涙腺直撃の佳曲となっている。(石澤伸行)
キングダム・フォールズ/ネイト・ジェイムス
[東芝EMI/TOCP-66665]
1年ぶりの2作目。欧州を拠点に自身のレーベルを根城としつつ、ここ日本での活動も精力的な彼。本作では様々な“試み”を窺わせる中、前作同様ポップな質感を味方に付けたファンク・チューンで、自らを輝かせている。白眉はジェイミー・ジャズによるプロデュース曲か。ここでのしなやかなファンキネスに、ネイトの朴訥なヴォーカルが乗ることで、甘酸っぱい歌世界が描き出され、思わず胸が締め付けられる。(石澤伸行)
ザ・サウンド・キャッチャー/DJヴァディム
[ホステス/BBE/BBECD080]
独特な感触のサウンドでコア層から強い支持を集める彼の新作は、ブレイクビーツとジャズの見事なブレンドを届けてくれるBBEから。ゲスト・ラッパーやシンガーの参加曲が増え、彼らしいストイックなブレイクビーツへの探求を活かした上でのエンターテインメント性が増量。あくまでもヒップホップをベースにした、レゲエやダブを新しい視点で捉えた楽曲が多く、これまで以上に幅広い層へアピールする事だろう。(飯島直樹)
アシトン君臨〜心の中でダンスしてね!/スーテック・コレクティヴ
[サード・イヤー / XECD-1072]
永遠の初期衝動を保っている事にかけてはこの人の右に出る者はいないのでは? 数え切れない程の名義/コンセプトを持ち、そのどれもに徹底した完成度を与えるアトム・ハートと、彼が移住したチリ出身でEUでも活動するオリジナル・ハムスターによるアシッド+レゲトン=アシトンなる新しいスタイル提示。「???」と思いつつも、南米特有の底抜けの明るさにつられて、納得させられてしまう強引さに今回も完敗!(飯島直樹)
クヌアカ/マコッサ&メガブラスト
[OCTAVE-LAB / OTLCD1091]
ドラム&ベース〜ダブステップ然り、バイリ・ファンキ〜ボルチモア・ブレイクス然り……ダンス・ミュージックが新しく解釈される度にいち早く順応する点では、彼らがピカ一だとリリース毎に思わされてしまう、ウィーン発Dubclubクルーから。元祖ダブ・ブレイクビーツRockers Hi-FiクルーFarda Pや、その流れでの若手MC Ras T-Weed、さらにはKool Keith(!)までもフィーチャーしたMC陣も負けじと新鮮。(飯島直樹)
ミリオン・ウェイ・オブ・リッスン/DULO
[ロイヤリティ/ RLTR-CD-001]
ターンテーブリスト/DJとして、またヒップホップの枠に囚われないMix Tapeの在り方を提示した先駆者として、D.I.Y.スピリットも思わせるアンダーグラウンドな姿勢を保つアーティストとして、数多くのファンが動向を気にかけてきたDJ Kiyoの変名インストゥルメンタル・プロジェクトがスタート。オリジナリティとは何かを悩む人にこそ聴いて欲しい、サンプリングという手法を突き詰めた結果のオリジナルな世界。(飯島直樹)
アレパ・イミグランテ・オーケストラ・グレイティスト・ヒッツ/V.A.
[RL66 / RL66-011]
マイアミをベースとするダンス・ミュージック〜ブレイクビーツ・クルー、Beta Bodega Coalitionのニュー・ラインのベスト盤。チリ、エクアドル、ジャマイカ、ヨーロッパ出身のアーティスト達が集う、色々な意味で変化しているUSメルティング・ポットを体現するコミュニティ・コンピとも受け取れる。厳選されたサンプリングから時に感じられる濃厚なルーツ回帰とは裏腹に、クオリティは驚く程先を行くトラックが多い。(飯島直樹)
アフロ・ビート・スーダン・エイド・プロジェクト/V.A.
[ルーディメンツ / RMT-CD003]
芸術を通してアフリカの危機的状況を訴えるNYのModba Produc-tionsが、ダルフール紛争の続くスーダン支援活動に全収益を寄付する事で、アフロ・ビートと足並みを揃えた平和へのメッセージを伝えようとするコンピ盤。アフリカンに限らず、ココロやアコヤ・アフロビート・アンサンブルといったNYをベースにする多国籍バンドによる、紛争について言及する率直な姿勢が、彼らの音楽と共に人種を越えて注目に値する。(飯島直樹)