Emanation of Youth
Text by Takeshi Miyauchi
春めいてくる季節にはフレッシュなものに触れたくなる。ということで、ちょいと強引ながらレゲエ・シーンに新たな芽吹きを感じさせる3組のアーティストを案内したい。
まずは、女性シンガーのChee(チー)。2001年よりラヴァーズ・ロックのバンドで活動をはじめたという彼女は、いくつかの7インチ/コンピ盤への参加を経て、これまでに競演したのはCool Wise MenやYour Song Is Goodのメンバーによる“High & High Session”や、bonobos、マーレーズ、Papa U-Gee、Shiba-Yankee、Fly-Tほか多くのレコーディング・セッションにも参加。ライヴハウス・シーンとダンスホールを自由に行き来する、希有な存在といえるだろう。そんな彼女の名前がさらに知れ渡ったのが、フィーチャリング・シンガーとしてステージ上でも多く共演しているFriscoが2005年にリリースした「Runnin' Away」。スライ&ザ・ファミリー・ストーンの名曲を、デニス・ブラウン「Love Has Found Its Way」トラックにのせて歌われたこのナンバーはレゲエ・シーン内外から厚い支持を得て、Cheeの歌声が広く認知されることとなる。そんな追い風の中でリリースされるのが、彼女にとって初のミニ・アルバムとなる、『Voice Of Chee』。リード曲「Friends -桜前線 07-』は、ゆるやかなグルーヴが心地良いトラックに、Cheeのちょっとハスキーで艶やかな、だけどやさしく包み込んでくれる彼女の歌声の魅力がきらめいて映える、まさに気分が春めいてきそうなナンバー。その他、Cool Wise Menの光風TPをゲストに迎えた「Happy Birthday」や、"Wipe Out" 使いの「恋のダイヤル6700」カヴァーなど、カラフルなヴォーカル表現を堪能できる一枚となっている。
続いて紹介するのが、博多から飛び出した新星ダンスホール・デュオ、Natural Radio Station。それぞれに音楽活動をしていたLico Lionと勝男により、2004年結成。地元博多を拠点に九州全域のダンスで実力をあげてきた彼らが、2月28日ミニ・アルバム『ありがとう』をリリ−ス。タイトル・チューンは、文字通り自分の周囲に向けた感謝の気持ちをストレートに伝えるメッセージ曲。その他「World Need Da...」など、身の丈レベルで世情を歌う彼らは、若い世代をはじめ広いリスナー層から注目を集めそうだ。
最後に紹介したいのは、東京を拠点に“ラガマフィン・ブルース”を謳う、源(みなもと)。ソロとしてもアルバムをリリースし、これまでにSteph Pocketsや心-Gの作品にもフィーチャリングされてきたMinaoと、旧知の仲であるBoy-Marの二人からなるこのデュオは、ヒップホップからミクスチャー系のアーティストとの交流も深いとか。そんな彼らの初のフル・アルバムとなるのが『源流(みなもとりゅう)』。多彩なサウンドをバックに、二人のキャラの際立ちが活かされたコンビネーションは、聴き手を惹き付ける力を持っており、ステージ映えも期待できそう。
百花繚乱咲き乱れるシーンの中で、大輪の花を咲かせるだけでなく、しっかりと根を下ろした活動で魅せてくれるのは……じっくりと見守っていきたい。
「Voice Of Chee」
Chee
[Formular / QWCF-10007]
「ありがとう」
Natural Radio Station
[Music Mine / IDCZ-1003]
「源流」
源 [minamoto]
[KSR / KCCD-256]