Pushim
 
text by Takue Okabe / Photo by HB
 

 7月に発表した5枚目のアルバム『Sing A Song... Lighter!』を引っ提げ、約2年ぶりとなる全国ツアーを敢行したPushim。ここでは、事実上ファイナルとなる横浜Blitzでの追加公演を間近に控えた11月23日、Zepp Tokyoでのスペシャルな一夜の模様をお届けしよう。
  
  オープン時間の17時を少し過ぎたあたり。すっかり冷え込んだ11月の外気からまぬがれ、会場へ足を踏み入れると、フロアはSunset The Platinum Soundのプレイですっかりイイ温度に。本ツアーでは東京と大阪でオープニングを務めた彼らだが、この日も、流石のジョグリンが炸裂。縦横無尽に客を躍らせ、1時間たっぷり間違いないエナジーを注入してくれた。そして、いよいよ本編。バックを務めるHome Grown、WADADA、恐山がステージへあがり、Pushimのヒット曲メドレーが奏でられた後、輝かしい光にまとわれ今日の主役が登場! 
  
「FOREVER」「Anything For You」「Colors」と、ビッグ・チューンを立て続けに歌い上げる。その後、一人ヴァージョン(作品ではルチアーノと共演)での「As One」、情熱のダンス・チューン「Jamaica Jamaica」など、“ツアーだからこそ”の嬉しい選曲が続くのだが、笑えたのが「Girls say yeah」にちなんだガールズ・トークMC。「お風呂に入らない人!」「ケチな男!」と嫌いな男のタイプを会場の女子達とやりとりしたり、バンド・メンバー男性陣とダンス・バトルを繰り広げるなど、“笑けること好き”Pushimならではの演出で大いに楽しませてくれた。一転して「未来をクリエイティヴしていく力を!」とシリアスに提示したのが、Ao Inoue(Dry & Heavy)を招いての「スーパースター誕生」。重量サウンドに絡みつく2人の強靭なヴォーカルとシビれるほどコンシャスなリリックスに打ちひしがれた。さらに前半最後「コレも2人で歌うで!」とBoogie Manとの「そばにいて2006」を披露。究極ラガマフィン×クイーンの感動的共演に、会場はマッシュアップ! 
  
 

パープルのドレスに衣装チェンジして「Here I am」からスタートした後半では、「Rain or Shine」など、しっとりしたナンバーが続く。“東京スペシャル”なるゲスト=Boy-Kenも登場し、極上のポジティヴ・チューン「Don't Feel No Way」で観客の心は1つに。氏の決めフレーズ「イッチバ~ン!」を2人で言い合うというまさにスペシャルな場面も見られ、贅沢な夜です、ホント。クライマックスは勿論、2006年、各所で温かい涙を誘ってきた珠玉ナンバー「I pray」。心震える名演で本編ラストを飾った。Ryo the Skywalkerの飛び入り参戦(!)に沸いたアンコールを経て、約2時間半にわたる公演は終了。幸せそのものといったホクホクの笑顔で観客に投げキッスを贈り、Pushimはステージを後にした。  彼女がその日残した言葉??「この音楽で傷を癒し合おう。私たちは皆、強い」。これには、込み上げるものがあった。音楽を通じて、“強くあること”の真意を伝え続ける彼女の姿勢は、偉大ですらある。今回のツアーで多くの人の心に火を灯したクイーン=Pushimに大きな拍手を贈りたい。
 
"Sing A Song... Lighter!"
Pushim
[Ki/oon / KSCL 1019 (CD)]



今回のツアーでも披露された楽曲(シングル「Anything For You」「I pray」など)を多数含む、2年振りにリリースされた5thアルバム。


"Visions 1999~2003
-Pushim Music Videos Vol. I-"
Pushim
[Ki/oon / KSBL 5827 (DVD)]


今回のツアーでも披露された楽曲(シングル「Anything For You」「I pray」など)を多数含む、2年振りにリリースされた5thアルバム。
1999年のメジャー・デビュー・シングル「Brand New Day」から、今や彼女の代表曲となった「FOREVER」(2003年)までのミュージック・クリップ集(11曲収録。特典として彼女の数々の楽曲で多大なる貢献をしているDean FraserとSteven Stanleyのインタビュー映像もあり)。なお、この印象的なジャケットは、Pushim本人の筆による自画像。